第十一話 瀕死です。とある記憶
いつもに比べるとだいぶ短くなってしまったので二話同時更新です。
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-???-
私が行った実験の結果は、到底満足行くものではありませんでした。
彼女、あるいは彼を真似て作った疑似人格は疑似人格以上の働きをしなかった。
あらゆる会話の結果は、私の予測通りの答えしか返ってこない。
例えるなら、人間の子供が幼少期に行う人形遊び。
二人で会話している様に見えて、その実態は独り言を言っているのと大差はありませんでした。
今は単純に、あの人が恋しい。
*
-フェイ?視点-
目が覚める。何かよく分からない記憶を見ていた気がする。
夢の様に、内容は薄れて行っているので詳細は思い出せそうにない。
一先ず、現状の確認をしたいところだが、とても体は起こせそうにない。
地面は砂漠の様になっていて、寝心地は悪くなかったのは不幸中の幸いと言えるだろうか。というか今の状況が不幸と言えるのかもよく分からない。
悲しいことに意識を失う前の記憶ははっきりとしていた。つまり神狼を討伐した時の記憶だ。
とは言え、自分の意識の様でそうじゃない感じで、やけに鮮明な他人の記憶みたいではあるが。
俺の身に何があったのか。原因は分からないが、現象は説明できる。
俺は何故かレベルアップしていた。ただそれだけの話だ。
俺が使っていた《信仰の祈》という魔法はレベル七十になって覚えられる魔法。
この魔法の効果は、聖女の『信仰度』というゲージを上昇させ続ける魔法であり、ゲージを最大近くまで貯めると、強力な回復魔法や攻撃魔法が使える様になる、と言った具合のものだ。
だがデメリットもあり、ゲージの値がマックスの値を超えると、MPが全損し、ヒーラーとしての仕事が一時的に出来なくなってしまうのだ。なのでいいタイミングで《信仰の祈》を再使用し、ゲージの上昇状態を解除しなければならない。俺が最期にぶっ倒れたのも、これが原因な気がする。
これで今まで使えなかった魔法が使えるようになった件については説明がつく。
次の疑問は、あの変なテンションは何だったのか、ということになる。
これについても、憶測ではあるが、何となく分かる。
さっき挙げた『信仰度』。これは上昇度合いによって四つの段階として分けられている。一番低い段階から混乱・錯乱・狂乱・憑依となっており、とっても不穏な字面であることが分かる。
ゲーム時はフレーバー的なものであり、ストーリーの要素として組み込まれていたぐらいだが、この世界では実際にその状態が俺の精神状態に反映されてしまうのかもしれない。
せっかく強い魔法を使えるようになったのに、これでは安易に使わない方が良さそうではある。
まあ、これであの異常事態の説明は自分なりにまとめることが出来た。何故あのタイミングだったのか、という謎は残っているが、今はMP切れの影響で頭も思うように働かない。
色々と回復するまで休憩しよう。
「……え?」
そう思ったところで、とんでもない疑問が頭に上ってきた。
何故俺は今まで気にすることがなかったのか。
何故俺はこの状況を容認していたのか。
意味が分からなかった。
俺は――――一体誰なんだ?




