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第三話

 本部に戻り、再び田島と資料を見返す。しかし、動画の意味もアンパンマンの正体も犯人もわからない。

「コーヒーいります?」

「いる」

 カップを受け取って口をつける。心地よい苦味で頭が冴えた気がするが、だからといって妙案が浮かぶわけではない。

 たまには砂糖とか入れてみようか。糖分が脳にいいって言うし。

「アンパンマンは君っさ〜、ってはっきり言えたらいいんですけどね」

「なにそれ」

「知らないんすか。アンパンマンの歌ですよ。アニメ見てたら流れるっしょ。それでも日本の国民ですか」

「覚えてないなあ。なんでその曲を知らないだけで、そこまで言われなきゃならないのさ。ひどいな」

 この動画はなぜ、なにを伝えるために撮られたのか。それがわかれば、アンパンマンの正体もおのずとわかるはずだ。

「犯人が犯行現場にメッセージを残すのってなぜだと思う?」

「次のターゲットを怖がらせたいとか?」

「それなら、もっとわかりやすくするだろう。確実に次は自分だと思わせないと意味がない」

「じゃあ……、我々をミスリードしたいとか? 別の誰かを犯人に仕立て上げるために、それらしいものを用意した」

「だったら、被害者の指に血をつけて犯人に仕立て上げたい者の名前でも書いてしまえばいい。死にかけの被害者が最後の力を振り絞って書いたみたいに」

「そうですね。わざわざこんな手の込んだことをする必要はない」

「そもそも、ライングループに投稿までした理由はなんだ? 見せびらかす事によって、どんな利点がある?」

「たくさんの人に見て欲しいとか?」

「アーティストじゃないんだから」

「アーティストかもしれないじゃないですか」

 困ったことに、絶対に違うとは言い切れないからタチが悪い。

 なにをどう考えても、答えは「そんなことをする必要はない」に行き着いてしまう。

 また電話がなった。田島がとって、受け答えをしている様子を見ながらコーヒーをすする。

 受話器を置いた田島が、ふー、と深いため息をついて、げっそりした顔でこっちを見る。疲労の色が濃い。早くこの事件終わらないかなあ、とか考えていそうな顔だ。

「早くこの事件片付かないかなあ」

 なんてこった。大当たりだった。

「先輩、やっぱり犯人は狂人の類かもしれないっす。人の反応を見て喜ぶタイプのお騒がせ野郎ですよ」

「今度はなに?」

「祐一くんのランドセルから滅多刺しにされたアンパンマンの人形が見つかったそうです」

「……事情を聞きに行こうか」

 犯人の狙いはなんだ。何を伝えるために、こんな手の込んだメッセージを飛ばしている?

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