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少し短いですが、かけたのでここにお納めします。
さてどうしたものか。
「ナンシーどういうこと?」
「今この光景を見て分かりませんか?」
二階の応接室から見える外の風景にはいつも見ている金色の草揺れる絨毯に規則を乱したくても乱せない畦道が山脈の向こうまで続き、今。その畦道をこのゼント王国の印のついた馬車が少数精鋭ではあるがそれでも100人の護衛を引き連れて我がルドガー邸にまで波のように押し寄せているのが見て取れた。
「お嬢様に直接申しますと断れてしまうことは明白だということでしたので、お嬢様を抜いた方々で話し合った結果この国の第一王子であらせられるアレン・ゼント様と許嫁関係になっていただきます」
はああああああ!?
「これはこれはよくぞおいでくださいました国王」
「よい、これは我らが無理に話を通したものよくぞ急な申し出に答えてくれた」
「わざわざこんな辺境にまでお越しくださらなくてもお呼びいただければこちらから足を運びましたのに」
「なに辺境とは言え、この土地の発展は目覚ましいものがある。現地を確認しておきたくてな、それに私も直接そなたの子供に会いたくなったのでな、アレンが申すのだあのお方は何物にも変え難いこの国の秘宝、誕生日にプレゼントをよこすのならルドガー家のエレットととの許嫁関係が所望だと全く横暴な息子に育ったものだ誰に似たのやら」
大声で笑う声は俺が待たされている二階の応接室にまで轟いた。
階段を上る音を俺は今心臓の音と勘違いするかのように、複数の足音がこの部屋にまで届いている。扉が開くと同時にお父様と国王、それに連なるように王妃、そしてアレン・ゼントが顔を見せた。
俺はすぐさま立ち上がり隣にいるウィーナとともに腰を折った。
「よい、ここは公式な場ではないため力を抜いてもらって構わない、それによく顔を見せてくれぬか? アレンの言葉がどれだけのものか確かめたいのでな」
俺はそういわれるなりゆっくりと顔を上げた。
「おお!」「まぁ」国王と王妃は声をそろえて感嘆の声を漏らした。
「父上! 言った通りの方でございましょう?」
「うむ、そのようだな、アレンの言葉に嘘偽りはなかったようだ」
そのまま王家の方々が対面の椅子に腰を下ろし、そのまま俺も腰を下ろすように促された。
「さて、それでは、エレット嬢よ、早速で悪いが我が息子であるアレンと許嫁になってほしいのだが?」
「是非ともよろしくお願いいたします王よ!」
「エレット嬢はいかがですかな? 無理に話を進めてしまうのはいささか気が引けるのでな、聞くところによるとアレンは幾度となく断られているのだとか、まぁだからこうして直接出向かされたわけなのだが」
「わ、私は・・・」
クソ、アレンめ逃げられることを分かった上で直接出向きその場で話をつけてしまおうという腹か、確かにこの場に私の逃げ場はない。
この場を治めるには一にも二にも許嫁を承諾するしかない・・・計ったなアレン!
したり顔のアレンに殺意を抱きながらもこの瞬間エレットは逃げ道を探していた。
たった一つの逃げ道であるドアには王家の護衛が二人表脇に立っている、10歳の私がそこへ飛び込み逃げおおせられる確率は・・・zeroだニュースに【ルドガー家の1人娘エレット嬢、第一王子であるアレンゼント様との許嫁関係の白紙化を図り逃亡しようとするも家来につかまる】こういった見出しで家来につかまりYESかはいを言わざる負えなくなる。仮に逃げ出せたとしても国中のお尋ね者になってしまうかもしれない、これでは気軽に生きていくことすらできないだろう。
ならば、こうだ、私はお父様のお嫁になりたいと言ったら・・・クソこれは前に使った手だ、お父様とお母さまは私が未だに純真無垢な少女と信じていらっしゃる!・・・る!
お父様とお母さまを騙すのは私の心に多大なる損害を与えることになる! つまり両親への良心の呵責に苛まれてしまう!
つまらないダジャレは出てくるというのにどうして案は出てこないのだ! そうだ、最後の砦ナンシー!
私はナンシーの方に顔を向けるとナンシーは即座に首を振り。
「ゴホン、国王様身分を弁えぬメイドに発言の許可をいただいてもよろしいでしょうか?」
国王は何も言わずに首を縦に振った。
「お嬢様、もはやこれは運命とまで言えましょう、ここから逃げおおせるなど考えないで下さい、ですが本当にお嫌と言うのであればはっきり自分の口でおっしゃってください、国王自ら赴き可否を解いているわけでございます、断られることもご承知の上で連れて来られたのでしょう? アレン王子」
「その通り、少し大掛かりになってしまいましたが国王に足を運ばせられたのは私としては僥倖、エレットの住むこの町に直接足を運びたがる御方が私の父であり、国王であると言うこの運命、私はこの機会を逃すつもりはなかった、だから急な話になってしまって本当にすまないと思っているエレット」
王子は突然立ち上がり俺の前に立ち俺の手を取り、引き上げた、俺と王子の距離はほぼzeroに等しかった。
「どうだろうかエレット、この僕と将来を共にしていただけませんか?」
そのとき、私は反射神経と言うものを知った、人間本当に嫌なことが起こると咄嗟の行動に出てしまうことに。
大きく振りかぶられたその手が王子の頬を撫でた。
「ッパァン!」
今まで聞いたどんな撫でる行為にも及ばぬ凄まじいオノマトペを用いて。
部屋一帯の空気が今にも嵐が起こりそうな程にどんよりとしたものに変わる。
私は気づけば二階の窓を開け放ち、先日の宣言通り大空へと羽ばたいていた!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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先日とは6話のことです!