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プロットなしで思いついたことを只々列挙しているだけのなので、もっとうまくことをまとめられたのではないのかと少し不完全燃焼ですがとりあえず今は前に進みたいので投稿します。ダグには将来まだ登場してもらわねばなりませんので、こんなことではへこたれさせません!
誤字脱字勘弁してください!
この物語は、大空に羽ばたくことを夢見た、そう言わば悪徳令嬢ライト兄弟物語ような・・・
エレットが二階の応接室の窓から飛び出し、地面へと着地すると、足への衝撃が重くのしかかってきた。
二階の窓を一瞬ちらりと振り返ればそこには王子とナンシーがこちらを異形を見るような目で見降ろしていた。そして外で待たされた家来たちも、どうしていいのかわからずただただ俺を見ていた。
どうやら家来に私を追わせる様子はないらしい
私はすぐにその場から逃げ出し、町の中へと姿を消した。
「お、王子!?」
家来の1人が声を上げた。
「黙れ!」
これは家来に対して、そしてこの場にいる全員、国王に対しての言葉でもあったのだろう、ことを荒げたくないその一心でアレンは沈静化させようとした。
「これは一本取られましたね、意思表示と共にまさか逃走まで図られるとは。まぁまぁルドカー卿落ち着いてください、私はあの程度はなんとも思いませんし、それにより彼女に魅かれさえしているのですから。さて、ここで問題なのですが、私はエレットを是が火にでも許嫁にしたくなってしまいました、ルドガー卿並びに国王がお許しなさるのであればですが。まぁエレットの気持ちと言うものもございましょう、ですので私はエレットを追いかけとうございます、よろしいでしょうか? 国王」
「少し男気に欠ける性格だと思っていたのだが、どうやらエレット嬢がそなたを男にしたらしいな。だが、これはエレット嬢の意志を尊重するべきだとは思わんか?」
「その通りではございますが、けれども私目はあのお方が諦められないのでございます、あのお方が私目の手に入らないのであれば、金輪際女性と共になる事はないでしょう、それゆえ国王の座は王の血筋を存続できるであろう第二王子であるイグル・ゼントに譲ってしまってもいい覚悟でございます」
「我はルドガー卿がいいというのであれば、異論はないが?」
国王はアイクに目を向けるが、そんなもの異を唱えられるわけもなく。
「い、異論などございません! そ、それよりもなんと詫びればいいのか・・・」
生きた心地のしないアイクの顔面蒼白の様子を見ながら。
「それではあまり大人数で行っても逃げられてしまうと思うので、メイドのナンシーと一頭馬を借りて行きたいのですが、国王それにルドガー卿、ナンシーよろしいですかな?」
三者は頷いた。
「それでは私が戻って来るまで本題である農地のお話でもしておいてください、その話が終わるころには戻ってきたいと思います、それではナンシー、エレット嬢の行きそうな場所へ案内していただけますか?」
「はい、かしこまりました」
アレンとナンシーが馬にまたがり颯爽とかけていくのを家来たちは追いかけたくても命令には逆らえぬとただただ指をくわえてみていた。
「ところで王子! なぜそこまでお嬢様を好いておられるのですか? 私にはあのようなおてんば盛りの女性では純粋に王室にそぐわないかと思われますが?」
「なぜだろう、エレットの話をパーティーで聞いた時から胸騒ぎが止まらなかったのだ、容姿が素晴らしいというのは見てみなければ到底わかるまい、それに容姿がいいだけならナンシーでも構わないであろう、けれどなにかそれ以上のものが彼女の存在を助長させたのだ、会うまで地平線の彼方よりも待ち遠しく、出会ってからはこの陸繋ぎの大地を泳いででもエレットに会いに行きたいという思いが溢れ出てしまったからにはもう始末に負えない、私の心はいうことを聞かぬ赤子のようにはしゃいでいたのだ」
その時馬の後ろに乗っていたナンシーに王子の顔は見えなかったが、彼の顔は少し歪んでいた。
「なにかおかしなことを言ったような気もするが、けれど今この状況が腹を抱えるほどおかしいもので、その先にエレットがいるとなると、より一層おかしなものに思えて仕方がない、わかってくれるか?」
「何となくですがわかります、エレット様はいつも心を揺さぶる言動をなさりますから、決して悪態をつかれようとも嫌いになれなどしないのでございます」
「いつも一緒に居られるナンシーが俺は羨ましく思うよ本当に」
「たとえ王子であろうともこのお立場は譲れぬものにございます。エレット様のわがままを聞いていいのは私だけでございますから」
一方その頃町まで逃げてきていたエレットは当然のように肩で息をして、今後のことを考えていた。二度目になるがこのままつかまれば、島流しに合い辺境でのスローライフ生活が幕を開けること請け合いで、それでもいいのだが今絶対に王子と顔を合せるのはまずいどこか逃げる場所はないかと暗中模索していると向こうの方から、見慣れた少年と、その脇にもまた見慣れた少女二人が寄り添っていった。
「ダグ」
「お嬢様、どうされたのですか?」
未だ肩で息をしているエレットを見てただ事ではないことを察したダグは少し険しい顔をしていた。
「い、いやちょっとね」
こちらも気ごちない愛想笑いを返すのみでどう話せばいいのやら、話していい事案なのかを思考していると。
「そういえばルドガー邸にゼント王国の馬車が大勢の家来を連れてやってきたという噂を耳にしましたがそれが原因で?」
「近からずも遠からずと言うとこね」
真実は話せないと少し濁した形になってしまったがダグは呼吸の荒さを見て、内情を察してくれたようだ。
「お疲れのようですし、どうでしょう? お嬢様がお嫌でなければ家でまた少し休憩なされませんか?」
もはや帰る家も、寄る所さえないと思っていたエレットには思わぬ吉報だった。
「少しの間お邪魔してもよろしいかしら?」
「はいもちろん!」
ダグは破顔一笑。そして二人の少女もまた、エレットに近寄り手を引いて、4人はダグの家へと赴いた。
ちまちまとあたりに寄る少女二人を微笑ましく思いながら俺は気づけば前回の後悔の念を口に出していた。
「この家から逃げ帰った私がまさかこの家に逃げ帰って来るとは思わなかったわ」
「それは私もですよエレット様」
「最近は忙しくあまり顔が出せなくて大変申し訳ないと思っていたの、けれど忘れてしまうのも1つの手だとも、自慢に聞こえてしまうかもしれないのだけれど、最近私は第一王子に気に入られてしまいましてね、執拗に迫られていましたの、どうしたものかと思っているうちに今日、許嫁の話を持ち込まれてしまって、どうしていいかわからぬ私は、突然逃げ出してしまっていたの、それなのにダグの家に逃げ込んできてしまうとは、情けなくも申し訳ない話だわ」
俺はただただダグの顔を見ていた、気持ちを伝えてきてくれたダグ、それに応えない俺。その上許嫁の話をテーブルクロスのように被せてしまう俺。
ダグに答えを出さなかった俺が、王子に答えを出していいのか、そもそも答えを出すつもりなどなかったのだが。
「ごめんなさい、ダグ。私は今はあなたの気持ちにもそしてきっと王子の気持ちにも答えることはできないでしょう、でも王子はきっと諦めない、それはあなたも同じかもしれない、それでも身分の違いは覆せない、私はきっと王子のものになってしまうのでしょう、でもその前にあなたにこのことを告げるためにここに来たのかもしれないわ、まぁ正直に言えばただただ逃げてきただけなのですけれど」
「ありがとうございます、エレット様の口から真意が聞けて嬉しく思います、あなた様は王子のものになろうとも、あなた様の心は誰のもでもない、そういうことでございますよね?」
「いいえ、私の心は王子のものになるのです」
しまった、思わせぶり、期待を持たせる言い方をするべきでは決してなかった、彼を。彼の中から私と言う存在を消さなければいけなかったのだ、彼のこの闘志溢れるその眼差しに危険を感じながら。
けれど一度言ってしまった言葉は元には戻らず、彼の海馬を蝕むことは明白で、エレットが手をこまねいていると。
ダグ家の扉がノックされた。
私とダグは扉の前まで赴き、来訪者を確認した。
「お嬢様、こちらにいらっしゃいましたか」
言うまでもなく、ナンシーとアレンがそこにはいた。
「先ほどは失礼いたしました、今回の急な申し出に驚かれたのでございましょう、そのことは皆承知の上、ささ皆様がエレット邸でお待ちです行きましょうエレット」
アレンは何も、そう何も聞かぬまま、嫌な顔をするだけで平然と凛々しく私をなだめにかかった。
「これはこれはお初にお目にかかります第一王子よ、私エレット様の側使いをさせていただいておりました、ダグと申します、なんでも今エレット様はあなた様から逃げて着ておいでだとか?」
「いいえ、先ほどの話をお聞きにならなかったのですが? 少し驚かれただけと、まさかエレットが私から逃げることなどあるはずがない、でしょう? エレット?」
「いいえ、確かにエレット様は私に逃げてきたとおっしゃりました、その強引すぎる解釈に辟易してしまったのではないですか?」
「それはダグあなたの方ではないのですが? 内情も知らず、他人様のもめごとに口を出すなど」
ああ、いけない、このままでは。
「王子? ダグ? もうお辞めになって。ダグ、すみません先ほどまで気が動転しておりましたの、今はもう大丈夫。さぁ行きましょう王子、ナンシー。皆様に謝って、王子とのお話を進めなければ。ダグ、急な来訪にもかかわらず御承知してくださって大変感謝していますわ、それでは私共はこれで失礼します」
柄にもなく。柄とはなんだろうか? 自分が自分でいやになる、こんなことするべきではなかった、してはいけなかった、一人の少年の思いを目の前で無残にも引き裂き、砕いてしまった自分自身が。
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