表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

悪徳令嬢 エレット・ルドガー 誕生

あらすじでも書きましたが、タイトル長いのはやっつけ半分ぐらいあります笑


この一話だけで終わらない様に頑張りたいけど、続きを投稿するのはまだまだ先です、何となく一話だけでも投稿しようと思い今に至ります。


短編で大体の成り行きは書いてありますのでよろしければそちらをご覧ください。


※女神の会話文に【w】笑いが入っているのはテンポを気にしたためです邪道かもしれませんが腹を抱えながら笑い転げているとかいれるとモヤっとしてしまったので・・・

 「クソッタレ!」

 俺こと窓際壁男(まどぎわかべお)は今人生の頂点へと立たされていた。そう物理的な意味で。

 

 「この高さからなら逝ける」


 腫れぼったい目に黒こけた頬おまけに身体は寸胴で誰が見ても醜い身体を持て余す30代なお年頃。

 

 そんな彼は今高所へ身を晒しながら今までの長い半生を振り返っていた。

 

 職場では残業残業残業、3度の飯より残業が好きと上司には蔑まれ、全ての業務を俺に斡旋もとい押し付けてきやがった。

 時たま上司が自分で仕事をしようもんならミスミスミス。

 お前は3度の飯よりよりミスが好きなんだなと大声出して言ってやりたかったが、そのミスを全て俺に押し付けてあいつは呑気に定時退社、くそぅ!? 俺が何をしたって言うんだ! 挙げ句の果てには俺の成果全てを自分の手柄のように振る舞い、俺は何も出来ない本当のゴミクズ以下の扱いを受けてきた。


 だが俺にも1つの生きる希望があった、そう今までは。

 あの日の俺はどうかしていたんだと思う、普段なら絶対に行かない小洒落たバーに赴き、1人で酒を飲んでいた、いやあれは飲んでいたとは言わないな、浴びていたって言った方が正しいか、そんな所に向こうも1人でお酒を飲んでいる可愛いギャルみたいな女性がいたんだ。

 これが正解だと言わないのであれば俺は間違いなんて無縁の人生を歩んでいたんだろうことは一目瞭然で、俺は何故か高嶺の花であるその女性に自分から声をかけていた。


 「ひ、ひとり・・・ですか?・・・」


 酔っていて呂律が回っていないとかそんなんじゃなくてただただ人見知り隠キャの俺にはしつこいようだがハードルが高すぎたんだと思う。

 酒の力ってのは偉大なんだと世紀の大発明なんだとその時初めて実感した。

 せいきを使ったことは未だ無いんだけどさ。

 

 だがそんな俺を見ていたバーテンダーも主役はお前じゃない! 悪いことは言わないから引っ込んでろ! みたいな顔でこっちを睨んでたのに早く気づくべきだったんだとは思う。

 けど彼女はまるでサキュバスのように俺という1人の男を誘惑するかのようなそんな魅力的な女性だったんだ。


 「そうですけど?」


 彼女はその一言だけ口を滑らせ、何も言わなくなってしまった、普段隠キャの俺がそれ以上口を聞けるわけもなく、俺自身もダンマリになってしまった。

 

 「マスター、あちらのお嬢さんに同じのを1つ」


 俺は口を滑らせるのと同時にグラスまで滑らせようとしていたのだが命知らずの冒険者の俺にマスターは気前よく否を唱えてくれた。

 それが当然だと言わんばかりに。

 「あんた辞めときなって、あの子とアンタじゃ流石に住む世界が違うアナコンダとネズミだよ因みにアンタがネズミだからな? 体がでかいからって勘違いすんじゃねぇぞ?」

 それが親切心って奴なんだと、けれど俺はこんな見てくれの世界の中では親切心という物を知らなかったからだろうか? そんなのもお構いなしにいいから! と少し声を張り上げていた。


 「あ、あちらのお客様からです」

 店員ならもっと客に愛想良くしろと、送った俺が馬鹿みたいじゃないかその時はそう思ったんだが突然頭の中からアルコールが脳天にストローでも突き刺されたみたいに吸い上げられてシラフに近い状態になったかと思うと。

 俺はどんな顔をしていただろうか? 元々醜い顔がブギーマンのように実像を持たず形の無いぐちゃぐちゃな顔になっていたのかもしれない。

 そのまま金を置いて店を出ようとした時だった。


 「待って、お酒ありがとうございました」


 俺の今まで脈打つだけの心臓が取り出され、心臓に対して直にマッサージを受けているかのような早さで警笛を鳴らし始めた。

 この女性と言う危険分子に。


 「あ、い、いや、その」


 女性と話したのはいつぶりだろうか?ママと話したのだってもう2年近く前なんじゃ無いのか?

 会社の事務の女の子には基本無視されっぱなしだし、お陰で事務の仕事は大抵自分でできるようになったのだが・・・今はそんなことはどうでもよくて!


 「大丈夫ですか?」


 「あ、い、いや、その」


 アイヤソノしか言えないロボットか俺は!

 本当に俺はその時、なんて返していいのか分からなかった。

 不甲斐ない自分からこの場を立ち去ろうと思ったその時だった。


 「あの連絡先だけでもよければ!」


 これが噂に言う美人局!? 俺は警戒をレベル10まで跳ね上がらせながらも携帯をポケットから素早く取り出し、LINEのQRコードの画面を出していた。

 その時震えていた手を彼女はそっと握り。

 

 「今日寒いですもんね」


 手を触れられた事により白い息、髪や体から香る少しきつめの香水なんかが気にならない程に俺は彼女の顔に釘付けになっていた。そんな彼女は携帯をまじまじと見てこういった。


 「あ、アイコン可愛いですね! 熊さんですか!?」


 「あ、それ、俺」


 「ご、ごめんなさい!」

 

 クソ、親に会わな過ぎてあんたの顔忘れちゃうからLINEのアイコンを顔にしとけと言われて渋々していたのだがLINEの友達は2名だけ、説明するまでもなく両親だったので使わずほぼ放置状態だったから自分の顔だってこと忘れてた!


 「い、いや大丈夫」


 「あ、もうこんな時間終電来ちゃう、すみません、また今度機会があればご一緒しましょ?」


 もしこれが本当に美人局であっても俺は構わないと思った。こんな綺麗な女性他にいるもんか。

 と思っていた時期が僕にもありました。


 あれがデートでなければなんというのか彼女とは頻繁に食事に行き、時々家に遊びに来るまでになっていた、けれど俺は性根からの陰キャのため彼女には手を出さないでいた。

 気づけば彼女とはほぼ同棲生活になっていたのだが、彼女はどうやら働いていなかったらしい、俺はそんなことはどうでもよかったのだ、初めての恋を知りその時は舞い上がっていたのだろう、彼女が風呂に入っているときに彼女の携帯から着信音が鳴る、見てはいけないパンドラの箱ただ画面が明るくなっただけの表示を見ると次から次へと表示される男の名前、なにが泰明だ、なにが雄介だ、なにが良成だ、俺は壁男だ!


 そして気づけば俺はどこかのビルの屋上にいた。


 どうせ彼女は4股の挙句ホスト狂い、俺の稼いだ金を生活費と言って()()()にあて、彼女は昼間っから酒浸り、俺は昼間っから罵声浸り、こんな人生もう散々だ! 思い残すことは。

 親に孫の顔を見せてあげられなかったこと。

 彼女に竿を入れていないということ。

 ぐらいだろうか?


 まぁ4股してる時点で俺になんか興味・・・興味無いんだろうけど・・・


 目から鱗が頬を伝う。そうだ最初から彼女は俺の金目的だったのだ! こんな隠キャで根暗で不細工のどこに好きになるところがあるんだ! 一昨日きやがれすっとこどっこい!


 「あ」


 俺は足を滑らせた、何故って? この寸胴が本当にどっこいしちまったからああああああああああ


 目の前に広がるは白皚皚のような世界。


 そう言われると綺麗な情景を思い浮かべちまうだろうが綺麗とか汚いとか言うならそんな真っ白の世界にただ1つの太った体を地べたに寝そべらせてる俺がいるからきっと綺麗では無いだろう。

 

 俺は、死んだか、死んだな間違えなく。


 死んだらあれか?まずは三途の川とやらを探さなきゃ行けないんだっけか? まぁ聞くところによるとご先祖さまが川の向こうでこっちゃこいこっちゃこいしてるらしいからすぐ分かるんだっけか?まぁいい向こうの世界にいるよりはマシだ、天国で悠々自適にのんびり暮らそう。


 「残念でした!」


 突然目の前に現れたのは見紛う事なく巨乳でナイスバディの女神様、歳はそうだな3千年は生きてる感じだろうか? それなのに若々しく、年甲斐も無く薄い羽衣みたいなのを纏ってやがって、色んな意味で目の毒だ。


 「あの、さっきから全部聞こえてるんだけど?」


 「うわ出た出た、勝手に人の心読み取っちゃう系かよ、人間はこれだから困るのよね見た目で判断するからとか説教してくるんじゃねぇだろうなぁ?」


 「ここまではっきりもの言ってくる人間も珍しいわね、その見てくれからしてあなたさては魔物の類かしら? だとしたら呼ぶ相手間違えちゃったかしら。いけない」


まるで買い物に出てきたのにメモ書きを家に置いてきた主婦のような挙動を見せる女神。


 「おまっ!!」


 俺は自分の身体? 霊体? を見直すと金はないけどまぁそう言われるだけの蓄えはこの身体に贅肉と言う形でしてきたので何も言い返せなかった。


 「貴方のその図太さをこんな形で終わらせるのなんて汗顔の至りだわ、あ、別に貴方が太っているからよく汗をかきそうって意味で言ったんじゃ無いのよ決して、そう決して」


 「馬鹿にしやがって!」


 「まぁまぁ落ち着きなさいな、そんな貴方にビックチャンス! 人生を1からやり直せちゃいます!」


 「転生って奴か?」


 「話が早すぎて困るわ、短足のくせに頭だけはでか・・・回転が速いのね。そのまま物理的に回転して油汗を此方にまで吹き飛ばさないで頂戴ね」


 「っく!?」


 我慢だ我慢だ俺、ここで怒ればこの転生云々の話は全ておじゃんになっちまうかもしれない、本当の意味でのセカンドライフを楽しめなくなる。


 「そう言うことよまぁお聞きなさい。窓際壁男、貴方は自分の不幸な境遇において自殺を図りました、その人生が余りにも醜く・・・あまりにも悲痛で私は天から見ていて腹を抱えて・・・笑い泣きをしていました。いや心を痛めていました」


 「いやもう言い直さなくて良いから」


 「そう? そんな貴方に神々達はお手を差し伸べたいけどちょっと不潔だから声かけるだけにしようと、そして今転生が認められたのです! はい拍手!」


 女神は1人で拍手をしていた。


 「と言うことで、転生できることになった訳なので、このガチャを引いていただけるかしら? 現世での異世界希望ランキングにより基づき作られたこのガチャガチャ! きっと貴方の望む転生先になることでしょう!」


 「何でガチャなんだ?」


 「それはね、希望にそぐわない結果が出てその場で自殺していく転生者が一時期多発して各異世界の自治体が死体処理に困った事があったの、でもガチャを引かせる事によりそれが貴方の運命とか言っておけば、運命を飲み込もうとする物が多い地球では反発だったり不満が出なかったってわけ、アイデアの勝利ね! ささ早く早く!」


 俺は言われるがまま現世にあるようなあのガチャガチャの機械を回した。


 【悪徳令嬢】


 「ちょw悪徳令嬢とかwww貴方令嬢の意味分かってるの? 腐っても令嬢よwwwその顔で令嬢とかw嫁に行くときに結納金も払われない格安令嬢とでも名乗った方が良いんじゃないのwww」


 こいつ言わせておけば・・・!?


 こうなったら2回引いてやる!


 「あ!」


 【美顔ローラー】


 「美顔ローラーってwww貴方つくづく運が無いのね良いわその豪運に身を任せてプレゼントするわ美顔ローラーwwwそれ持ってさっさと異世界でも何でも行っちゃいなさい! 良い人生を!」


 こうして俺こと窓際壁男(まどぎわかべお)は異世界でのちに悪徳令嬢と呼ばれるエレット・ルドガーへと転生したのであった。

 

最後まで見ていただきありがとうございました。

よろしければ評価感想待ってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ