第7話 部屋の中から美少女JKの甘ったるい声が聞こえてくるんだが。
「お、おじゃまします……」
いつくらいぶりだろう。
こうやって姫谷の家に上がるのは。
中学の頃は学校が違ったからあんま交流なかったし、小学校以来か?
外壁がブラックに塗装されたL字型の大きな豪邸だけど、姫谷はここで結衣さんと2人で暮らしている。
旦那さんは随分前に交通事故で亡くなってしまったらしい。
姫谷と知り合ったときにはもう結衣さんは未亡人だったし。
俺も詳しくはよく知らない。
結衣さんはたしかフリーのファッションデザイナーとして働いていて、姫谷を養っている。
世間がリモートワークに切り替わる前からリモートしてたわけだ。
いや……養っているって表現はどうなんだ?
姫谷なら自立できるくらいの稼ぎなら、ぶっちゃけ秒で稼げちゃうんだろうけど。
ルックスがいい若い女子はとにかく優遇されるのが世の中だ。
日々のバイト代を稼いで小金をスパチャにぶち込んでいる俺とは住む世界がやっぱちがうよなぁ。
「そこ上がって左がひまりーの部屋」
「知ってます」
「佐藤、緊張してんの? 体ガチガチだって」
「は、はいぃっ~~!? べっつに緊張なんかしてないんですけどぉーっ!」
「んひひ、まぁゆっくりしてって♪」
ゆっくりとか言われても俺いま学校抜け出して来てるんだけど。
分かってるのかこの人は。
☆★☆
コンコン。
「姫谷ぃー、見舞いに来てやったぞー」
5秒ほど待ってみる。
返事はない。
寝ているのだろうか。
コンコン。
「おーい。だいじょぶかー、生きてるかー? ひめたんのためにわざわざせんぱい来てやったんだぞー?」
いつもの姫谷ならつっこみでも入れてきそうなところだ。
もうちょい待ってみる。
シーン。
うーん、返事はなしだ。
どうしようか。
このまま引き上げてもいいんだけど、結衣さんのことだ。
一度、姫谷の顔見るまでは帰らせてくれないだろうし。
もう少し粘ってみるか。
コンコン。
「姫谷ぃー、入っていいのー? 入るぞー? 着替えしてても知らないぞー? 一応言ったからなー?」
これで反応がなければ寝てる確定だ。
素直にこのことを伝えて帰らせてもらおう。
そう思ってたんだけど。
『……ぁぁっ、しぇ……しぇん、ぱぁい……?』
なにっ?
なんかいまめっちゃ脳がとろけるような声が聞こえたような。
なんだよこの感覚っ……。
コンコン。
「ひ、姫谷っ? 入っていいの……?」
『……ぁん、ひゃ……しぇん、ぱぁい、だぁ……』
「!?」
その瞬間、ぞわぞわとした感覚が背中から這い上がってくる。
ちょっと待て。
なんだこの甘ったるい声!
中にいるのほんとにあの姫谷か……っ!?
『うれひぃ……でしゅぅ……しぇん、ぱぁぁいぃ……んぅぅ、入ってきて……くだちゃい……』
「おおおぅっ!? は、は、入るぞっ……!?」