第18話 俺が風邪をひいてしまう。連絡できる相手も後輩の美少女JKしかない。
翌日。
ピッピッ、ピッピッ――。
「ぅ……んん……っ」
あれぇ……スマホどこ置いたっけ……。
ふとんの中から手を伸ばそうとするも、思うように腕が動かない……。
くそぉ……一度出るしかないかぁ……。
「――ぅぅ、っ!?」
な、なんだよ……?
なんかすごい気持ち悪いし……吐き気がする……。
そのままベッドから出て立ち上がってみるも。
「ぉ、おっえ……」
すぐに頭がくらくらとしてくる。
あ、これヤバいやつじゃん……。
完全に風邪だ……。
「……おっとと……」
すぐにベッドに倒れてしまう。
両親もいないこの状況でこれはマズい……。
なんか急に寒気もしてきたし、のども痛いし……。
昨日冷房つけて寝たからなのかぁ……?
こんな状況になるのって、いつ以来だよ……。
俺って……ぜんぜん風邪とかひかないタイプだったのに……。
「と、りま……がっこに、電話しないと……」
でもなかなか体が思うように動いてくれなくて。
やっとの思いでスマホに手を伸ばす。
「……あ、せ、せんせ……? あの、おれ佐藤です、充勇二の方です……。ちょっと風邪ひいちゃったみたいで……」
『おう佐藤かー。梅雨だし体調崩すやつも多いからなぁー。気をつけろよー』
「えっと……そう、なんっすよ、はは……。なんか急に起きたら、具合悪くなってて……」
ブチッ。
ツーツーツーツー。
「……」
切りやがった。
まぁそうだろうって思ったよ……。
担任なんてほとんどしゃべったこともなかったし。
陰キャだからとかじゃなくて、俺はそもそもクラスから必要とされてない。
「みんな……俺が休んで……嬉しいだろうなぁ……ふへへ……」
あーだるい。
頭の中がぐるんぐるん回ってるぅー。
「ヤベ……俺、このまま死ぬんじゃね……?」
誰か……誰でもいいから、なんか助けてほしいんだけど……。
親はいま、関西だし……。
そうだ……!
こういうときこそ、るしらちゃんに長文赤スパ送って励ましてもらおうっ!
天才かよ俺っ。
スマホをひょいと取り出してYouTubeをひらく。
が。
「るしらちゃんの配信ない」
あれ?
るしらちゃんと話せなくね?
あんなに大金貢いだのに……。
いざってときぜんぜん声聞けないし、励ましてもらえない……。
「ははは……バカじゃーん……」
これまでいくらスパチャ送ったよ。
親のクレカも内緒で使ったりして……。
アフォは俺だ……。
こうなればリアルに頼るしかない。
スマホで連絡先を開く。
登録件数6件。
見ろ、この絶望なまでの少なさを!
2つは両親の携帯だ。
関西行ってるからまず電話したところで来るのむり。
次は近くのゲーセンとア〇メイトの電話番号。
登録するものがなかったから無駄に登録して放置してるやつだ。
「おっ、そうだよ……これがあった」
バイト先の電話番号!
たしか今日の夕方シフト入ってたから断る件も含めて店長に電話してみよう。
あわよくば、なにか食べる物でも買ってきてもらえるかもしれないし。
『んんがああ!?? テメーひとり休むとシフト埋めるのにどんだけ労力使うと思ってんだよゴラァ!?』
「……す、すみません、でも……なんか俺、ほんとに体調が……」
『テメーら能天気なガキがそうやって簡単に休むからこっちが何度も出るハメになるんだろうが!! 死ね!!』
ブチッ。
ツーツーツーツー。
あ、俺このバイトむりだわ。
まだ1か月もやってないけど明日辞めるって伝えよう。
「はァ……」
つらい……。
なんか店長の罵声聞いたら頭もガンガン痛くなってきたし……。
風邪って、こんなにも心細いものなんだ……。
ふらふらの頭でスマホにもう一度目を落とす。
そこには最後の連絡先が表示されていた。
【姫谷陽葵】
俺、あいつのこと、こんな状態に追い込んでたんだ。
風邪ひいて変わった声に興奮して、勝手にキスまでしようとして……。
「最低だなぁ俺……」
俺には姫谷しかいないのに。




