第17話 後輩の美少女JKとキスしてしまいそうなんだが。
「うっし、録音かんりょー」
心ゆくまで姫谷の激甘ボイスをスマホに録音し、これからどうしようかと考えていると。
「……っ、んぁっ……はぁ、はぁ……マ……ママぁ……?」
「お、気付いたか?」
「ふ、ふぇっ……しぇん……ぱぁい……?」
どうやら朦朧としてた意識がはっきりとしたようだ。
でもまだ山場は越えてないんだろう。
依然として苦しそうにしてる。
こういうときこそ好感度を稼がないと!
俺はあくまでも紳士に振舞って姫谷の手をスッと取る。
「辛いよな苦しいよな? でもだいじょうぶ。俺がおまえのそばにずっとついててやるから」
「……んんっ、ぁっ……しぇんぱぁい……やさしぃひぃ……」
まさに思い通りの展開だ。
不安な状況にあるからこそ俺が頼もしく感じられているはず。
少しは好感度も上がったかな?
誰のせいでこうなっているのか、そこはぜひ思い出さないでほしい。
「……こほっ、ごほっ……ひまりぃ……つらひ、でしゅけどぉ……がんばりぃ、ましゅっ……けほっ……」
「おうっ! 俺がそばで看病してやるから安心しろ!」
ああ、そうだよこれだよ。
俺は姫谷とこんな風に話したかったんだ。
ずっとこの声を守っていきたい。
「しぇん、ぱぁいぃ……ひ、ひまりぃ……げんきに、なっらぁはっ……あゥゥっ、ふああぁんっ!?」
「だいじょうぶか!?」
汗でべっとりとさせた豊満なボディを姫谷がくねらせる。
熱があって相当苦しいのかもしれない。
胸元は大きく開いていてビックバン級のおっぱいがいまにもこぼれ落ちそうだ。
一応目におさめておく。
「はぅぅっ……ひまりぃ……しぇんぱぁひにぃ……つ、伝え……んくぅ、ンはぁ、はぁ……伝えなひゃ……いけらぃこぉ……ありましゅっ……」
「伝えなきゃいけないこと?」
なにこの胸の奥がカッと熱くなるような感覚は。
心臓がドキドキしてくる。
まさか姫谷のやつ、俺に告ろうとしてる?
これっていわゆる吊り橋効果ってやつじゃね!?
(っ!)
姫谷の柔らかい手がぎゅっと力を込めてくる。
かわいらしいまつ毛を震わせて、くりっとした大きな瞳を俺に向けて。
「……んはァ、んふぅ、はぁ……ひまぃ……ずっぉ……しぇん、ぱぁいが……しぇんぱいのこぉが……」
あれ?
これ完全に求めてきてるじゃーん。
つまりアレでしょ?
ここでキスする流れってことだよね?
俺まちがってないよねっ!?
「しぇん……ぱぁいぃぃ……」
なにかを求めるように姫谷が目を閉じる。
あぁまじか!?
俺ついにキスしちゃうんだ。
しかも相手は姫谷っ!
ぷるっぷるっに潤ったJKの唇がいま俺の目の前に……!
この間も姫谷はハァハァと辛そうに甘い色の混じった吐息を繰り返していて。
なんかもういろいろ飛び越えて俺の頭は真っ白になってた。
頬をほんのりと赤くさせて、目を瞑って待ってくれているその姿は、控え目に言ってかわいすぎる。
女の子からこんな風に求めてきてくれているんだ。
男の俺がここで恥をかかせるわけにはいかないでしょ!
俺はスーっと深く息を吸い込むと覚悟を決めた。
「い、いいんだな? いくぞぉ、姫谷……」
少し緊張しながらも唇へそっと顔を近付ける。
その距離あと数センチ。
熱い吐息が顔にかかってくる。
俺、ほんとに姫谷とキスを……。
ドッスン!!
「オオオオラァァァ!! このクソガキいぃぃぃいッ~~!!」
「んうぅっ!? ゆ、結衣さんっ!?」
げっ、おいまじか!?
あのまま酔いつぶれたんじゃなかったのぉーーっ!?
真っ赤なドレスで部屋へ乱入してきた結衣さんはすぐさま俺の胸倉を掴む。
「佐藤ぉぉッ!! うちを差し置いてひまりーに手出すとはァいい度胸じゃねーかあああああああんんんッ!!」
「ヒィィッ!?」
まるで獰猛な野獣だ。
だてに元ヤンじゃないっ!
結衣さんは俺の体を姫谷から強引に引きはがす。
怖いぃっ……!!
「うちがどんだけ佐藤にまじすこかわかってねーじゃんっ!! 好きだったんよぉ~~っ!!」
「は、はいぃっ!?」
いまどさくさに紛れて好きとか言ったよね!?
娘の前で好きとか言ったよこの人っ!
「やっぱひまりーじゃんかぁーーっ! やだやだやだやだ~~!!」
いや、やだと申されましても……。
年齢考えればあり得ないって分かるでしょ!?
17歳差だよ……?
ま、それが分からないのが結衣さんなわけで。
「ふええぇぇぇぇええええんん~~~~っ!!」
なぜか姫谷の上に倒れ込んで手どんどん叩いて泣いているし。
正気かこの母親。
病気の娘の前だぞ……?
「佐藤しばらく出入り禁止ぃぃーー! 出てけぇぇーーーっ!!」
「ぐわぁっ!? な、なんでぇっ!?」
バンッ!!
蹴り飛ばされて追い出された挙句、ドアも閉められてしまう。
あぁ……俺、まだ姫谷とキスできてないっ!
チャンスだったってのに、ちくしょぉ~……。
結局、この日はそのままマンションへ帰ることになった。




