第13話 またもや天使の声を披露してしまう美少女JK。
翌日の早朝、LINEが届いた。
ぴこーん。
『ばかばかばかばかばかばかせんぱいばかばかばか』
うーんこの不穏なメッセージ。
しかもグロ画像まで貼られてるし。
相当恨まれたな、これは。
まあでもこんなLINEが送られてきたってことは、俺の目論見は成功したんじゃないか?
☆★☆
案の定、姫谷は風邪で学校を欠席していた。
放課後に駅前の洋菓子店へ寄ってスイーツを購入。
さすがに姫谷の見舞いに行くのに手ぶらってわけにもいかないよな。
ピーンポーン。
「あーい? おっ、佐藤じゃーん」
「たびたびすみません。あいつの見舞いに来ました」
「えーなに? 昨日ひまりーとなんかあったん? ひまりーぜんぜんしゃべってくんなくてさー。なんかびしょびしょの状態で帰ってきたじゃん?」
「へっ!? な、なんかあったんでしょうかねぇ……アハハ」
「ん? ま、いーけど」
ふぅいぃ……焦ったぁ……。
結衣さんの存在完全に忘れてたわ……。
事実を知らされたら俺なぶり殺されるな、うん。
にしても姫谷のやつ。
結衣さんに昨日のこと話してないんだ。
こういうところはやけに機転が利くつーか、なんとも姫谷らしい。
ぶっちゃけ助かったぞ。
「あいつの好物買ってきましたっ! ほら、最近ダイエットしててろくに食事取ってないじゃないですか!」
「そーなん? ただなぁー、食べられるかな? ひまりーさ。前よりも体調悪そうなんだよね」
「えっ、まじっすか!?」
「なんで嬉しそうなん?」
「いえっ! ぜんぜん嬉しくなんかないっすけど! むしろ悲しいさえありますけど!」
とか言ってなんとか平静を装う。
そうか、前よりも体調悪くなってるのかぁー。
こりゃ脳がとろける声にも磨きがかかっているにちがいない。
さっそく拝聴しなくちゃ。
「とりま中入ってー」
「わーい、失礼しまーす♪」
☆★☆
前回と同じ要領で姫谷の部屋の前に到着。
ドアからしてすでにファンシーな面構えをしている。
昔からキャラもののぬいぐるみとか大好きだったもんなぁ。
10万人のフォロワーも風邪をひいた姫谷がまさかあんな甘くとろけた声を出すなんて想像もしてないだろう。
その声を俺だけが独占できる状況にいまある。
これほど姫谷の知り合いでよかったと思った瞬間もない。
コンコン。
「おーい、姫谷ぃー。だいじょーぶか? 元気にしてるー?」
俺はある種の期待を抱きながらドア越しに声をかける。
すると、すぐに望んでいた声が返ってきた。
『……しぇ……こほっ、こほっ……しぇん……ぱぁぁひぃ……?』
うひょぉぉっ~~!
これこれこれっ!
この舌足らずな声よっ!
完全復活してるじゃん!
『きれ……くらはっらん……れしゅかぁ……こほっ、こほ……』
「うんっ! 俺、ひめたんがインスタにのせたいって言ってたズコットケーキ買ってきたよ!」
『……ひょょぅ……なん、れしゅかぁ……ああぅっ、ンんっ……こほっ、こっほ……入っれ、くらはひぃ……』
「ありがとー! おじゃまするよー! 失礼しまぁぁぁす~~っ!!」




