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第12話 美少女JKが水に濡れてスケスケに。だがガン見する度胸は俺にはない。

「……うんしょ、うんしょっ……」


 オールを精一杯動かしてボートを前進させる姫谷。

 ハァハァと熱のこもった息を吐き出しながらすごいがんばってくれている。


 というか、薄手のペプラムブラウスを着ているせいか、生地がぴったりと張り付いておっぱいの形がくっきりと浮き出てしまってる。


 オールを動かすたびに、たわわなふくらみが上下にブルンブルンと動いてなんとも目のやり場に困るんだが……。

 ボートも狭いし、けっこう密な空間だよなぁ。


 こういうときはかしこまっていた方が警戒される。

 逆に開き直るべきだ。


「あ、いまパンツ見えた。黒パンでしょ今日」


「はい? 見えたんじゃないですよ? 見せたんです」


「へーすごいなぁ、完全に痴女じゃん」


「ですです。陽葵、せんぱい誘ってるんですよ? せんぱいって陰で人殴ってそうな顔してるのに意外と純情ですよね~」


「姫谷は意外とおっぱい大きいよなぁ?」


「よく言われまーす」


「しかも美少女」


「はいそれもよく言われますね。だから……ちょっと黙っててもらえます? せんぱいと、会話するだけでも、こっちは大変なんですからぁ……!」


 謎のストロングスタイルで威圧してくるひめたん。

 俺が手伝いもせずに、釣り糸だけを垂らしてるのがよほど気に食わないようだなぁ。 


 けど、これはほんと申し訳ないけど手伝う気はない。


 姫谷にはたっぷりと汗をかいてもらって風邪をひいてもらう。

 それこそが俺の悲願だからな。


 そのとき。


「あ……雨降ってきちゃいましたよぉ、せんぱい」


 ぽつぽつ、と。

 小粒の雨が静かに降り始める。


 待ち望んでいたものの到来に俺はようやく胸をなでおろした。


 サッとレインウェアのフードを目深にかぶる。

 俺が風邪ひいたら元も子もないしな。


「えーちょっとズルくないですかぁ? よく見たらそれ雨具じゃないですかっ!」


「たまたまだよ。こゆう機能もあるってだけで」


 装備が万全な俺に対して、姫谷は完全にデート服で来てしまってる。

 このまま雨が本格化すればまちがいなく風邪ひくよね。


 が。


「……あれ? やんじゃいました?」


「なんでだよ!?」


 雨はぴたりとやんでしまう。

 しかも雲の隙間からは光が差し込んできちゃってるし!


 これ完全に晴れる流れじゃん!?

 俺の五千円っ……!!


「よかったです。これで濡れずにお魚釣れますね、せーんぱい?」


 姫谷は俺の気も知らずに能天気に手漕ぎを再開させる。

 ぐぬぬ……。


 こうなりゃ最終手段だ。


「えい」


「ひゃうっ!?」


 俺に肩を押されて一瞬で姫谷が水面に落下する。


 ずぼーーん!


「わりぃ、手がすべっちまった。てへ♪」


「ズバババッババ~~……っ!?」


 姫谷は手足をバタつかせてあぷあぷとさせる。


 てそっか、そういえばこいつカナヅチだっけ?

 すっかり忘れてたわ。


 いろいろと問題になる前に引き上げる。

 コンプライアンスって大事だよね。


「……ちゅべたい! しゃぶいぃっ……!?」


「ごめんなー? つい手が滑っちゃってー」


「ひどいひどいひどいですっ! 完全に故意だったじゃないですかっ!?」


「〝湖だけに鯉だった〟……なんちゃって」


「うわぁ……うわ……ないですないです、ドン引きです……。こんなことへーきでするとか、せんぱいっていう人自体に引きましたし、怖いし、意味分かんないですし、このまま一緒にいるとかほんとむり……死んだ方がマシです。そのおじさん臭い言葉聞いたらよけい寒くなってきましたし……ぅぅぶるぶる……」


 なんか先輩としての尊厳をいろいろと失った気もするが……まあいい。

 結果オーライだ。


「……しゃ……しゃぶいっ……。もうやだ、今日は陽葵帰りますっ……!」


 姫谷は全身びしょびしょの濡れ濡れだ。

 ブラジャーなんかも透けて見えちゃってるけど、さすがにこんなことした後でガン見する度胸はない。

 

「そうだな帰ろうな? でもちょっと時間かかかるかもー。湖のど真ん中にいるし」


「帰りはせんぱいが漕いでくださいっ!」


「あいてて……。なんかおまえ押したときに手ひねっちゃったみたいで。なんで俺むりだわ」


「いま押したって言いましたよね!? 完全に狙ってるじゃないですか、この状況! ほんと怖いですし、ふつーにせんぱい落として帰ります!」


 ミニバッグの中から警棒を取り出してぶんぶんと振り回しはじめる。


「わわっ! まてまて!」

 

 このままだと本当に突き落とされてしまいそうだったので、大人しく姫谷の言うことを聞くことに。


「なにか変な行動起こしたらすぐ警棒ですから!」


「へーい」


 片手に警棒、片手にスマホを持って圧をかけてくる姫谷にこれ以上逆らえるはずもなく。

 

 湖上でもケータイの電波届くみたいだし。

 変なことして警察に通報されたくはない。

 

「ぅぅ……しゃぶいぃ……」


 けど、結果的にはミッション達成したと言えるんじゃないかこれは。


 それから俺はぶるぶると震える姫谷を乗せて湖岸まで戻った。

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