第11話 ボートで美少女JKと2人きり。
「すみませーん、ボート貸してくださーい」
「あいよ。あんた学生さん? 船舶免許ある?」
「いえ持ってないです」
「じゃうちは手漕ぎタイプになるけど」
「はい。それでお願いします。ちなみに釣り具もレンタルできますか?」
「釣り具ね、合わせて三千円だけど……っと、お連れのお嬢さんがいたんか。なら2人で五千円だ」
俺は財布から五千円札を取り出しておっさんに渡す。
るしらちゃんのスパチャをガマンする必要があるけどこれは仕方ない。
必要な出費だ。
「せんぱいがそんな大金出すとこ初めて見ました。陽葵、自分の分出しますよ?」
「いや誘ったのはこっちだし。今回はいいから」
「えーなんか怪しくないですかぁ? せんぱい後ろめたさがあるんじゃないですか? 2人きりのボートで陽葵にワンチャン狙ってます? だったら引くんですけど」
「ねーよっ! 特にいまの姫谷になんかしようって気はぜんぜん起こらん」
「それはそれでなんかイヤでーす」
「扱いムズすぎんだろ、おまえ……」
とまあそんな感じで。
ボートと釣り具をレンタルすることに成功。
だんだん雨雲が見えてきたな。
このままいい感じに雨が降ってくるのを待つとしよう。
☆★☆
それから1時間が経過。
特に雨が降る気配もなく、だらだらと時間だけが過ぎっていく。
ボートはちょうど湖の中心あたりまで来ている。
ここまで来れば、湖岸まで戻るのにけっこう時間がかかるな。
あとは雨さえ降ってくれたら、姫谷をずぶ濡れにさせて風邪をひかせられるって思ったんだけど。
「あのぉー。せんぱいお魚釣る気あります?」
「あるぞ? だから糸垂らしてるじゃないか」
「でもそれエサ付いてないですよ?」
「こーゆうのはな。エサなんか付けなくてもモーションかければ自然と魚は寄ってくるもんなんだよ」
「でもそのモーションすらかけてないじゃないですかぁ」
「うぐっ……」
さすがに鋭い。
警戒されてるな。
たしかにいまは特にやることもないわけでそりゃ釣り竿の動きくらいは見てるか。
「ほんと目的なんなんです? 五千円も払ってまじ意味分かんないですし」
「まあいいじゃん~。自然の景色でも見て癒されようぜー」
なるべく怪しまれないように振舞ってるけど、ボート返却の時間もあるし。
あまり長い間ここにとどまってはいられない。
「ここに魚はいないのかな? ごめんだけどポイント変えてくれる?」
「えーまた移動ですかぁー? なんで陽葵ばっかなんですか? せんぱいも漕いでくださいよぉ~」
「ひめたにえん。ちょっと太ってきてるんだから。ダイエットだと思ってさ」
「いつも菓子パンばっか食べてるせんぱいにだけは言われたくないです。あとひめたにえん言わないでください。キモいしうざいんで」
ぶつぶつと言いながらも体型がちょっと気になるのか、姫谷は素直にボートを漕いでくれる。
ぶっちゃけ、姫谷はうちの学校の女子の中でもかなりスタイルがいい方だ。
ウエスト回りの肉付きなんかはちょうどいいし、ほんとはダイエットなんてする必要はない。
でも普段から見られる立場にいるから、昼はサラダのみにしたりとか、陰でいろいろ努力しているのだ。
俺にはむりだな、TikTokerは。
で、なんでこんなことをさせているかって言うと、汗をかいてほしいからなわけで。
汗をかいてもらえば、冷えたときにそれだけ風邪をひく可能性が高まる。
もう6月だが、曇り空の下だと若干肌寒い。
雨が降ればさらに気温は下がるはずだ。




