第10話 なぜか後輩の美少女JKとのデートは湖で。
「……で、期待してきたんですけど。なんですか? そのせんぱいのださださなかっこは」
「まーな」
「陽葵、早起きしてすごくオシャレがんばったんですけどぉー」
黄色のペプラムブラウス、グレーのフレアミニスカート、アンクルストラップサンダルと流行の初夏コーデでオシャレしてきた姫谷とは対照的に俺は黒のレインウェアに身を包んでいる。
もちろんこんな格好をしてきたのは、これから雨が降ってくることを想定しているからだ。
「せんぱーい。今日雨の予報みたいですし。ショッピングモールに行きません? そこならなんでも揃ってるじゃないですか」
「けどおまえTikTokerじゃん? 俺と遊んでるとこバレたら即SNSに晒されるだろ?」
「えーべつにせんぱいとならいいですよー。むしろ歓迎しちゃいます」
「そうやってからかうのはいいから。つか今日は俺の予定に付き合ってくれるんだろ?」
「むぅ……。でどこ行くんです?」
「まずは電車に乗る」
「えー新宿まで出るんですかぁー? ここで事足りるじゃないですかー」
ファッションやメイクは都会のセンスに染まってるんだが、姫谷はこういうところが垢抜けない。
地元が大好きなんだろう。
そこは俺も同意できる。
「方面は逆だ」
「逆? 逆ってなんかありましたっけ?」
「行けば分かる」
☆★☆
電車に揺られること20分。
着いたぞ。
目の前には霧に包まれた湖が見える。
「せんぱい、ここって……」
「相模湖だ」
子供の頃はよく両親に連れられてここへやって来たもんだ。
自然はあるし空気はいいし、なんだか懐かしい気分になる。
「ちょっとなんですかここ? 今日デートですよね? なんでこんなとこ来ちゃったんですかぁ……?」
「今日は釣りをしようと思って」
「釣りっ? なんで釣り!? 意味分かんないですし、まじむりです。少しは乙女のコンディション考えてください。わたしのこのかっこ釣りするように見えますか? それにせんぱい釣りなんてやったことあるんです?」
「いーや初めて。この前、るしらちゃんが釣りやってるポ〇モンの配信があったんだけどさ。それ見てたらどーしてもやりたくなっちゃったんだよね」
「それってゲームの話ですよね? せんぱいってやっぱあたおかですか? 脳みそ腐ってません?」
言いたい放題言われてるがここはガマンだ。
「いいじゃん。実際やってみたかったんだし。付き合ってくれよ」
「いや知らないですし、せんぱいの心境とか」
とは言いつつも姫谷がそこで帰ることはなく。
しっかりと俺の後について来てくれる。
「もぉ~仕方ないですね。せっかくここまで来たんですから、せんぱいがお魚一匹も連れずに落ち込む姿を笑ってあげることにします」
「おぉーそうしてくれ~」
なんだかんだ言っても最後は付き合ってくれるのが姫谷だ。
この素直さはこいつのいいところだって言える。
ちょっと強引だったけど、なんとか釣りをする流れに持っていくことができた。
あとはどうやって姫谷に風邪をひかせるかだ。




