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第1話 今日も後輩の美少女JKにジャマされる。

「せんぱーい。今日もおひとりですね」


「はぁ、またおまえか」


「その態度なくないですかー? 陰キャバリバリの生活送ってるせんぱいのためにわざわざ2年生の教室までやって来たんですから」


「誰も頼んでないし」


「まーたVTuberなんか見てガチ恋こじらせてるんですか。せんぱいがいくら貢いだところで一生関わりないんですけど。よく親近感湧きますよね?」


「そのセリフも聞き飽きたぞ」


「あ、じゃちょっと相談乗ってもらってもいいですか? 陽葵、今日も告られちゃいまして。バスケ部の天王寺先輩とサッカー部の八神先輩、どっちが陽葵に相応しいって思います?」


「んなの知るかよ。俺はるしらちゃんの切り抜き見るのに忙しいんだ」


「せんぱい、そんなもの見てなにがおもしろいんですか? 人生楽しいですか? ちゃんと息できてますか?」


「おまえと話すよりも何十ッ倍もおもしろいねっ!」


「もっとリアル見ましょうよー。ここにいるじゃないですか。かわいいかわいい後輩が。中の人が彼氏と付き合ってたらどうするんです? ガチ恋の末路って知ってますか?」


「うがぁぁぁーー!! うるさいっ、黙って帰れよ!」


 だいたいこいつ、ルックスは完璧なのに声がまるでダメだ。

 まわりの男子どもはその重要性がわかってない。


 るしらちゃんみたいな脳天に響くようなスイートボイスを持ってないと。


「いつも言ってるだろ? 俺はルックスにはまったく興味ないんだよ」


「でもせんぱい、それ矛盾してません? VTuberってアレですよね? イラストできゅんしてるわけですよね? それって容姿見てるってことじゃないですか」


 なかなか鋭いつっこみを入れてきやがる。

 たしかにVTuberなんてイラストありきだって言うやつも多い。


 だが俺は断じてちがう。

 声オタから入ったからこそ声を聞いて萌えてるわけだ。


「気付いてますよ? せんぱいそぉ言ってますけど、陽葵と会話するときだいたいおっぱい見てますよね?」


「は、はぁいぃ~~っ!? 見てねーし!?」


「必死ですね。目がえっちいです。ちょーウケます」


 チッ、バレてか。


 そりゃ俺だって男だ。

 おっぱいくらいは見る。


 特にこいつのはめちゃくちゃでかい。


 深緑色のブレザーから覗く白のワイシャツは、いまにもはち切れそうなほど大きな膨らみを作ってる。

 ちゃんと聞いたことはないがたぶんEカップはあると思う。


「ほらほらぁ、スマホなんか見てないでこっち見てもろていいですかー? 一緒にお昼ごはん食べましょーよ?」


 そう言ってちょこんと俺の隣りの席に腰を下ろす。

 たまたま空席なのをいいことにこうやっていつも俺の邪魔をしてくるのだ。


「昼休みにせんぱいを独占できるサブスク、陽葵加入済みなんですから」


「だったらまずは金払え」


「そんなのただに決まってるじゃないですか。この美少女JK陽葵ちゃんがわざわざ来てるんですよぉー? だから相手してくださいよ、せんぱーい♪」


 あぁもう。

 毎回うっとうしいたらない。


 どうしてこうルックスはいいのに声はこんな残念なんだよこいつはっ!


 ま、天は二物を与えなかったってことだな。


「そーやってスマホばっか見て無視してると下の名前大声で呼んじゃいますよ?」


「ハッ、いまさら」


()()()せんぱぁ~~いぃっ!!」


「だぁーっ! やめろぉヴォゲッ!!」


 充勇二という名前にクラスの陽キャどもがにやにやと反応する。

 また始まったよ。


 俺はスマホにかじりつくように視線を落とした。

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