表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/254

第99話 団らん

 俺とアリッサさんは、アルバンさんを連れ得意先回りに出た。

 まずは屋敷から近い『なごみ亭』から挨拶だ。


 時間はお昼近く。

 この世界では一日二食が普通だ。

 だから昼は食堂はやっていない。


「こんにちは!」

「あら、いらっしゃい」

 奥さんのサリーさんがでてきた。


「ビルさん居ますか?」

「待っていて、いま主人を呼んでくるから」

 そう言うとサリーさんは奥に消え、ビルさんがやって来た。


「なんだいエリアス君、俺に用だって?」

「紹介したい人がいまして。今度、うちの商会で雇ったアルバンさんです」

「ほう、人を雇ったのかい?」

「えぇ、これからは俺の代わりに納品に来ますから」


「よろしくお願い致します、アルバンです」

「俺はこの宿屋の主人ビルだ。と言っても、宿屋も手間の割りには儲からないから、食堂一本に絞ろうかと思っているところさ」

「それも良いですね、ビルさん。昼食をやるのはどうですか?」

「昼から飯なんて食べるのかい?」

「昼食と言う習慣はこの国にありませんが、お腹は空きますよね?」

「あぁ、そうだな」


「量は通常の2/3くらいにして、その分料金も安くすればどうでしょう」

「それも良いな。どうせ昼間は客がいないことが多いんだ。考えておくよ」

「それからカレーの材料のことですが、組合を作るのはどうでしょうか」

「組合だって?」

「そうです。数人が協力して共同目的のために結成する団体のことです」

「それを結成してどうするんだい?」

「カレーの材料を欲しいと言う店が、6軒あると言いましたよね」

「あぁ、そうだ」

「カレーの材料が欲しい店の集まりを作るのです。カレーの材料には限りがあります。その組合に入ればその時に卸せる材料を卸し、店の件数で分けてもらうと言う事です」

「そう言うことか」


「店によって欲しい量も違うと思います。そして足りない場合はみなさんで、均等に分けて頂くことになります」

「そうか、わかったよ。欲しい店に声を掛けてみるよ」

「では他にも回るので、またきます」

 そう言って『なごみ亭』を後にした。



 今度は商業ギルドだ。

「アルバンさんはアレン領の方ですか?」

「いいえ、王都から流れてきました」

「ではアレン領の商業ギルドは、知らない訳ですね」

「えぇ、そうです」



「こんにちは!ノエルさん」

「いらっしゃいませ、エリアス様」

 俺はノエルさんにアルバンさんを紹介した。

 今後、俺の代わりに来ることが多くなるかもしれないと話した。

 そしてギルドマスターのアレックさんにも挨拶をした。

 昨日の今日だったけどアレックさんは、アルバンさんの件は何も触れなかった。

 さすが、大人です。


 紹介も終わり帰ろうとすると、ノエルさんに小さい声で言われた。

「もう少し待っていてくださいね、エリアス様」

「は、はい、わかりました」

 俺は分からなかったが、とりあえずそう答えておいた。

 何を待つのだろう?

 アリッサさんは頷いていた。

 なんだ2人で?



 それから商業ギルドを出た俺達は、アバンス商会に向った。

 



「ようこそいらっしゃいました、エリアス様」

 丁度、アイザックさんが居たのでアルバンさんを紹介した。

「先日は妻がお邪魔致しまして、とても喜んでおりました」

「楽しんで頂けたなら良かったです」

「それにまた新しい商品を卸して頂けると聞きました」


「えぇ、そうです」

「まあ、エリアス様。アリッサ様」

 声がしたので見るとオルエッタさんが奥から出て来た。

「先日はお邪魔致しました」

「いいえ、こちらこそ」


「今日は納品でしょうか?随分、早いのですね」

「えぇ、それと紹介したい人がおりまして」

 俺はアイザックさんとオルエッタさんに、アルバンさんを紹介した。

 お互いに自己紹介した後に、納品をした。


 

「この前お約束したドライヤー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、鉄の急須きゅうす、白いテイーカップセット、シャンプーとボディソープです」

 事前にアリッサさんにはドライヤーはやや高く、それ以外のお茶などは富裕層なら買えるくらいの金額にするように話してあった。

 

 そして浄水器はウォーターサーバーの形にした。

 金額はやや高め。

 蛇口の上の部分にろ過材を入れて、その上に水を入れる場所を作る。

 井戸からの水を上から入れ、下の蛇口からろ過されて出てくる。

 そしてろ過材の掃除の仕方も話した。


「これで美味しいお茶が飲めますわ」

「そんなに違うのかい、オルエッタ?」

「勿論です、あなた。この水で作ったお茶を飲んだら他のお茶は飲めません」

「それほどの、ものなのか?」

 オルエッタさんとアイザックさんが話している。


「えぇ、まずは我が家からお客様に出す、お茶用として買わせて頂きます」

「ありがとうございます」


 アルバンさん商談中に何度も、あまりの額の大きさに目を見開いていた。



 それからアルバンさん家族の寝具を3セット購入してた。

 俺達は今後のことを話し、アバンス商会を出て屋敷に向った。






 屋敷に戻りアルバンさん家族の、二階の部屋に寝具を3セットだした。


「どうぞ、使ってください」


「ここまで奴隷の私達にして頂けるとは…」

 アルバンさん達は感動していた。


 そして他の施設も詳しく紹介する。

 温泉、娯楽施設、照明魔道具、魔道コンロ、冷蔵庫。

 蛇口を捻れば好きなだけ出る水やお湯。


 どれも見たことが無い物ばかりで、アルバンさん家族は驚いた顔をしていた。

 この屋敷にある魔道具を販売する場合は、商業ギルドやアバンス商会に卸していることを説明した。

 

「それはもったいない。直接販売すれば驚くほどの金額で売れるかと…」

「アルバンさん、言いたいことは分かります。でもそれは買い手が居て初めて成立することです。どんなに高額で売れても、買い手を探すのに時間がかかります」

「それはそうですが…」

「それだけの物を買ってくれる、伝手が無ければ売れません」

「私も商売をやっている時は、お客探しが大変でした」

「その通りです、しかもエリアス商会は新参商店です。だから老舗の商店や商業ギルドに卸したほうが、利益は減っても手間がかからないのです」


「他の人の販売網を使って商売をする、ということでしょうか?」

「聞こえは悪いのですがその通りです。売れる商品があれば、どんどん卸していく。それなら規模は大きくなくてもやっていけますから」

「良い考えだと思います」

「規模が大きくなれば、従業員が増え経費も掛かり利益も減ります。そしてそれを維持するために、売上をあげないといけません」

「そうですね」

「だから当面は卸でやって行こうと思っています。大型の物は俺が運びますから、アルバンさんは慣れるまで調味料がメインになると思います」

「分かりました。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」




 その夜の夕食は俺が作り、一階の食堂でみんなで食べた。

 アルバンさん家族に、調味料を知ってもらうためだ。


味元(あじげん)』を使った野菜スープ。

 ソースで食べるオークカツ。

 醤油ダレのオーク唐揚げと肉野菜炒め。

 そしてサラダは刻んだキャベツにソースを。

 トマト、キュウリにはマヨネーズをかける食べる。

 

「美味しい」

「ほんと、美味しいわ。エリアス様」

 アルバンさんの奥さんの、アルシアさんが美味しそうに食べている。

 9歳になる娘のアディちゃんもとても喜んでいる。

「エリアスお兄ちゃん、お料理じょうず~!」


「ほんと、エリアスは料理が上手いな」

「そうねオルガ、美味しいわ」

 アリッサさん達も喜んでくれている。


 俺もそう言われて、まんざらではなかった。


 まあスープに『味元(あじげん)』を入れ、揚げ物を作り、生野菜にマヨネーズをかけただけだけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いてありがとうございます。
もし面白いと思って頂けたら、★マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ