表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/254

第48話 アバンス商会会長 アイザック

 私の名はアバンス商会会長アイザック・エリントン。

 我が商会が領内において、今の地位に就くまでの道のりは並大抵のものではなかった。 祖父の代から商会をやり、最初は下級貴族からお得意様になって頂いた。

 儲けるためにお金を使い、貴族に取入る。

 そしてその上の爵位の貴族を紹介してもらい、やっと私の代でここまでになった。

 長男も32歳となり、もうそろそろ店を任せても良い頃だった。


 そんなある日、黒髪の10~12歳に見える美少年と獣人の女性が来店した。

 少年は小麦粉100kg、椎茸と鰹節を購入してくれた。

 すると突然、小麦粉や椎茸、鰹節が消えたのだ。


 マジック・バッグだ!!私は突然のことで少年に詰め寄ってしまった。

 それを止めたのが連れの獣人の女性だった。

 良く見ると女性は、ここら辺では有名なAランクの冒険者だった。


 連れの少年とパーティーを組んでおり、しかも少年はEランクだと言う。

 それではあまりにもバランスが悪いと思うが、それでもうまくやっているようだ。


 その意味が分かった。

 少年はこの店の広さと同じくらい入る、マジック・バッグを持っていたからだ。

 獅星龍のオルガと呼ばれるこの獣人は、誰とも組まず1人でやっていると聞く。

 彼女が魔物を倒し彼がマジック・バッグでそれを収納して運ぶ。

 これだけで十分に価値がある。


 今度、王都に買い付けに行く予定があった。

 王都で商品を仕入れ、アレン領で売る。

 都会で流行っている物を仕入れ田舎で売る。

 このやり方だから商売が成り立つのだ。


 王都に店を出せば人口も多く、それに比例して客も多くなるだろう。

 だがその分、競争相手も多く上手くやって行けるとは思えない。

 それだからこのやり方を貫いている。

 そしてそれには危険が伴う。


 王都まで天候にもよるが片道6~7日はかかる。

 そこで仕入れれば仕入れるほど、持ち帰るために必要な馬車の台数も多くなる。

 そして道中の警備に冒険者が、その分だけ必要になる。

 一つ間違えると経費倒れになる。

 

 だが彼のマジック・バックの容量が30坪はあるこの店と同じくらいなら、馬車6台分くらいにはなる。彼に頼めば私たちが乗る馬車1台で済むのだ。

 そして護衛も少なくでき、経費削減が出来る。

 さっそく私は彼らに交渉し運搬と護衛を頼んだ。

 

 これは最強の組合わせだ。

 大容量のマジック・バッグを持つ少年と、護衛のAランク冒険者。

 これから彼ら2人は商人や貴族の間で、人気がでるだろう。

 その前に懇意にしてもらえばと思い、相場より依頼料は高めにしておいた。



 だが2人だけでは心もとない。

 少年はEランクだから、護衛にはならないだろうから。

 エリアスと言う少年が薦める、Dランクパーティーの3人組に依頼を出した。

 馬車1台に冒険者4人なら十分だろう。



 それから数日後、今度はエリアスという少年とオルガ様。

 そしてなんと伝説にもなっている、疾風のアリッサ様を連れて彼はやってきた。


 寝具を3人分、買いに来たと言う。

 そしてこれから3人で住むと言う。

 これは先見の明がある。 

 いずれ彼のマジック・バッグのことが世に知れれば、引く手あまたになる。

 今のうちに仲良くなりたいのは、私だけではなかったようだ。


 そして彼は木工加工が得意のようで、家具を見てほしいと言う。

 マジック・バッグから出された家具を見て、私は心を奪われた。

 こんな綺麗に加工された家具は見たことが無い。


 それにこの三面鏡ドレッサーというのは素晴らしい!

 鏡が前と左右の板に三面に付いる。

 その左右に板を出すと前と左右から、髪型が見えるという。

 これは必ず女性に人気がでる予感がした。

 

 貴族でお金を使うのは女性の方だ。

 女性相手の商品は多少、高くても売れる。

 それにこの歪みの無い美しい鏡なら必ず売れるだろう。


 私はさっそく、定期購入の交渉をした。

 4人掛けのテーブル、椅子4つ、タンス、三面鏡ドレッサーと椅子のセット。

 全部で100万で仕入れることにした。

 この3倍で売っても、飛びつく人が多いだろう。

 もっとも三面鏡ドレッサーに、一番最初に飛びついたのは私の妻だったが…。

 これで売れると確信が持てた。



 聞くと宿屋の『なごみ亭』の並びの屋敷跡を購入したと言う。

 あそこは昔からある不良債権で、商業ギルドが売れず持て余していたところだ。

 人が住まなくなった屋敷は老朽化が酷く、草や木々で覆われてしまっている。

 それを刈り家を直して住むには、莫大な費用が掛かる。

 そんな物好きはいないはずだった…。


 それをエリアスという少年が1人で改築したという。

 そんなことはありえない。

 だが不思議と彼なら出来そうな気がした。

 暇があれば見に行こうと思っていたが、時間が無くて確認はしていなかった。

 今日たまたま道で会い、用事の帰りに店に寄ってくれれた。

 その時に高級家具の追加注文をした。

 あぁ、そうだ、失敗した。

 分かっていれば、たくさん高級家具を作ってもらえば良かった。

 王都で売れば3倍以上に売れるはずだ。


 そして今夜は家のお披露目会で、ワイルドボアとビッグベアの肉を振舞ってくれると言う。

 肉はとても貴重で、狩人や冒険者が狩って売るので供給も不安定で高い。

 森に行ったら『たまたま出会い狩った』と軽く言う。

 普通ではない!本当なら生きて帰ってこれない。

 なぜならビッグベア、特にワイルドボアは大掛かりな討伐で倒す魔物だからだ。


 いくらAランクの獅星龍のオルガが一緒でもあり得ない。

 それならエリアスと言う少年も、知られていないだけで戦闘能力が高いのか?!


 その場所は店から近くで、私は供の者を2名連れ徒歩で向かっている。

『なごみ亭』を過ぎそろそろ屋敷跡に近付いたと思うと高い塀が見えて来た。

 塀の向こうには見たことも無い大きな屋敷が…。

 いいや宮殿と言ってもいいほどの建物がそこにそびえ立つ。


 いつの間にこんな建物を…。


 巨大な門の前に着くと、見たことのある男女が門を見上げ立って居た。

 商業ギルドのギルマスのアレック様と受付のノエル様だった。

 読んで頂いてありがとうございます。

 更新は不定期になります。

 よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いてありがとうございます。
もし面白いと思って頂けたら、★マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] どの物語にも共通してるんだけど、魔法があって工程をすっとばせるのに転移者や転生者が作る以外に建造物や馬車も進化しないのは何故だろう。
2022/01/04 07:36 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ