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第44話 招待

 俺はDランクパーティ『餓狼猫のミーニャ』の、3人と向かい合って座っている。

 そしてエメリナさんに、お付き合いしてほしいと言われているところだ。


「エメリナさん。せっかくのお申し出ですが、俺は今が精いっぱいでして…」

「どうして?私の、いいえ私達3人の、どこがいけないのでしょうか?」

 えっ?!

 1人から3人に増えてる。

 どうすればいいんだ?


 俺はオルガさんの方を見たが、視線を逸らされた。

「そ、そうですね。どこがと、言う訳では…」

「では、お付き合い頂けるのですね?!」

「いえ、そう言う訳でも…」

「それなら、いいでしょう?」

 犬猫をもらう話ではないのですよ。


「い、今は余裕がありません」

「では、余裕が出来たらいいのでしょうか?」

 オルガさんを見ると、ニヤニヤしている。

 面白がってないか?

 それにさっきからオルガさんの尻尾がペシッ、ペシッ当たってうるさい。


「では、前向きに…機会があれば…」

「やっ、やったわ~!!2人共、エリアス君が考えてくれるって!!」

「そ、そうねエメリナ。これで私達は冒険者をやらなくて…」

「そうよマルガ。待ちに待ったこの日が来たのよ!!」


 あっ、いや、そんなこと言ってませんから。

 向こうの世界にいた時の悪い習慣が出てしまった。

 嫌ならはっきり断ればいいのに、それも言えない。

『前向きに』とか、『機会があれば』で逃げる癖が…。

 同じ日本人なら『断られた』と分かるのに、この世界の人達は分からない。

 逆に優柔不断は相手を傷つけるだけになる。

 それなら…。

 

「エメリナさん、マルガさん、シュゼットさん。御免なさい!!」

 俺は3人に頭を下げた。


「あなた達と付き合いする事は出来ません!!」

「どうしてですか?!!」

「どしてって、さっき出会ったばかりですよね?俺達!!」


「「「 うっ!! 」」」


 3人が同時に、何かの攻撃を受けたかのように手で胸を押さえている。

 そして『気づいたか?!』みたいな、顔をして…。



「あははは!!どうやらあなた達の負けみたいね。私は別に構わなかったのに」

 オルガさんが笑っている。

 俺にはそれが分からない。

 逆の立場だったら自分以外に、付き合っている人がいるなんてあり得ない。


 きっとこの世界では、愛とか恋より生活できることが前提なんだろうな。

 大きな産業も無くて、定期的に働ける職場も無い。

 安定した収入を得られる職があれば、冒険者なんてやらないだろうし。




 パンッ!!パンッ!!パンッ!!パンッ!!

「はい、あなた達。ここまでね!」

 オルガさんが手を叩きそう言った。


「じゃあ、また夕方、私達の家でね!!」

「「「 はい、オルガ姐さん!! 」」」


 俺達は立ち上がり、冒険者ギルドを出た。




「あ~あ、やっぱりオルガ姐さんの前では、言わない方が良かったわね?」

「なに言ってるのよ、エメリナ。また夕方て、言ってくれたでしょう?」

「だってシュゼット。帰り際にオルガ姐さんは言ったでしょう、()()()()でね、て」

「えぇ、確かに言われたわ。私達の家で、と…」

「それは私達2人の家、と言いたかったのでは?」

「わからないわマルガ。でも寛大そうに話していたのに、オルガ姐さんの尻尾はエリアス君をペシッ、ペシッ叩いていたし…」

「私のものよ!!て感じだったわ」

「無意識だったのかしら?複雑ね、女心は…」


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 俺達は冒険者ギルドを出て、商人ギルドに向かっている。

 先日、収めた『味元あじげん』の反響を聞くためだ。

 3日後には王都に依頼で出発するから、その前に知りたかった。


 商業ギルドの中に入り、受付のノエルさんに話しかける。

「こんにちは、ノエルさん」

「ようこそいらっしゃいました、エリアス様。本日はどの様なご用件でしょうか?」

「実は3日後に依頼で王都に向い、アレン領を14日くらい離れることになりまして」

「まあ、そんなに?」

「はい、その前に先日、納めました『味元あじげん』の反響を知りたくて」

「それは、もっともです。さあ、こちらにどうぞ」

 俺とオルガさんは、部屋に案内された。


「ここで、お待ちください」

 ノエルさんにそう言われ、ソファに座って待つことにした。


 トン、トン!!

 しばらくするとドアがノックされ開いた。

 ノエルさんがギルドマスターのアレックさんを連れて入って来た。



 ギルマスのアレックさんは俺達の向かいのソファに座る。

「待たせて、すまなかったなエリアス君」

「いいえこちらこそ、お忙しいところ突然伺いましてすみません」

「相変わらず、礼儀正しいねエリアス君は。どこかの貴族のご子息なのかな?」

「まさか、もし俺が貴族なら、商人の真似事なんてしていませんよ」

「まあ、そうだが。『味元あじげん』の話だったな」

「はい、そうです」


「実は反響が凄くてな。『なごみ亭』で使っている調味料だと言ったら、すぐに完売してね」

「俺が泊まっていた宿屋で、試験的に使ってもらいまして。反響が良かったので、売ることにしたんです」

「なんだ、そうだったのか。では聞くが賞味期限はあるかね?」

「いいえ、ありません。砂糖や塩と同じように長期間品質が変わりませんから」

「な、なんとそんなに長持ちするのか?!」

「見た目が変色したりしなければ使用できます」

「それは良い、それ程保つなら500、いいや1,000個卸してもらえないかね?」

「せ、1,000個ですか?!」

 俺は驚いて、つい大きな声を出してしまった。


「そうだろうな、いきなり1,000個と言われても無理だろう。王都から戻ってきてからでもいいぞ」

「いいえ明日、納品に来ます」

「そんなにあるのかね?」

「えぇ、絶対の自信がありましたから、たくさん作って置きました」

「それはこちらも助かる。早い方がいいからね。では明日、納品を頼むよ」

「わかりました。あっそうだ、急ですがお2人は今日の夕方、空いていますか?」

「今日の夕方?いったい何だい?」

「実はワイルドボアとビッグベアの肉が手に入りまして」

「わ、ワイルドボアとビッグベアだと?!」

「えぇ、そうです」


 エリアスは知らなかった。

 ワイルドボアが体が大きく戦闘力が高いため、肉は美味しいが仕留めることが難しい高級肉だと言う事を…。

「購入した家でみんなで今夜集まって、焼肉を食べよう思いまして」


 焼肉を食べる?あの家で?庭で焼いて食べると言う事か。


「良いのかい?!私達まで参加して?」

「ええ、肉は十分にあります。普段お世話になっていますから、ぜひ来てください」

「悪いね。では夕方には終わるから、それから伺うよ」

「はい、お待ちしています」


 そして俺達は商業ギルドで『味元あじげん』の材料や、砂糖、塩、大豆などを購入した。

 その時ギルマスのアレックさんから、随分買うね、と聞かれた。

味元あじげん』の次回分と、他にも作りたいものがあることを話した。

 すると他にもあれば、教えてほしいとも言われた。


 この世界は新しいものに飢えているから!!

 読んで頂いてありがとうございます。

 更新はゆっくりとなります。

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