第215話 焦り
模擬戦は中止となり俺達は城の執務室に移動してきた。
中には片側に10人分の席がある、長方形の長いテーブルと椅子が置かれている。
俺の隣の席にはビッチェ王女が向かいはサバイア国王と、ガストン宰相、オバダリア侯爵、騎士団長リベラ、団長補佐コニーがそれぞれ座っている。
「勇者エリアス殿。此度は試すようなことをしてすまなかった」
「気にしておりません、国王様。それが当たり前だと思います」
「そう言ってもらえると助かる」
俺の実力を見せてから周りの人々は低姿勢になっているな。
それは当たり前か。
そんなことを考えていると国王が切り出した。
「魔物の巣窟はここ王都より東にあるアレン領のアウルの森になる」
あぁ、やっぱり、そうだと思った。
要約すると森から魔物があふれ出し、近隣の領に散らばって生殖するようになったようだ。
そこを元から叩けばこの魔物騒ぎは終わると言うことになる。
後は歳月をかけ散らばっている魔物を各個撃破していけば、いずれは元の平和な世界になる、とこういうことだ。
理屈から言えばそうなるけど、どれほどの時間がかかることか。
でもそれしかないだろう。
ここで俺が動くことで過去がどうなるのかわからない。
俺自体が歴史のイレギュラーなのか、それとも登場人物になっているかはわからないからだ。
だがどう行動すれば正解なのかが分からない以上、進むしかないだろう。
「実は討伐遠征の前に一つ片付けてほしいことがある」
「どんなことでしょうか?サバイア国王」
「実は王都から徒歩で3時間くらいの場所に魔物が住み着いているらしい。その森には騎士団や、見習い神官の訓練程度の魔物しかいない。だが手始めに身近なところか一掃してほしいのだ」
「わかりました。出発はいつでしょうか?」
「そうだな騎士団長リベラ、騎士団員の都合はどうだ?」
「は、200名程度であれば明後日でも出発可能です」
「それは頼もしい。では準備を頼む」
200名だと中隊規模だな。
魔物を舐めているのか?
だけどその人数で頼もしいのか、不足なのかは行ってみないと分からない。
この世界の基準はどうなのだろうか?
「サバイア国王、質問があります」
「なんだね、勇者エリアス殿」
「この国の兵士の規模はどのくらいなのでしょうか?」
「聞いて驚くでないぞ。我が王都の騎士団員は600人規模だ」
やっぱりそうか?!
以前の世界でも都市人口は少なく王都でも5万人居ればいい方だった。
それが300年前なら更に少なくなる。
「国王、お待ちください!!」
「なんだ、オバダリア侯爵」
「私の兵士も50人ほど参加いたします」
「おぉ、それは頼もしい!!加勢を感謝する」
参加を申し出たオバダリア侯爵は、焦りと切羽詰まった顔をしていた。




