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第109話 目標

 夕方になり俺は、アリッサさんとオルガさんに呼ばれた。

 商業ギルドのノエルさんを、迎えに行く時間になったからだ。


 3人で商人ギルドに向かう。

 中に入るとノエルさんが、ギルドの人に挨拶をしていた。

 帰るだけなのに大げさだな?


 ノエルさんは振り向き俺に気づく。

「エリアス様、お待たせいたしました」

 そう言った。

 俺は今来たところですけど…。

 アリッサさんとオルガさんは頷いている。


 俺達はノエルさんと一緒に商業ギルドを出た。


「私の泊っている宿屋はあそこです」

 そう言われみんなで宿屋に入ってい良く。

 

 この国は賃貸で家を借りるより、宿屋に寝泊まりした方が安く食事も付いてくる。

 自炊しなくても良いので、宿屋暮らしの人が多い。

 

「この部屋です」

 そう言われ俺達は中に入る。

「荷造りはしておいたので…」

 ノエルさんに言われ部屋の中を見ると、風呂敷の様な布の中に服が入っていた。

 

「エリアス君、頼むわ」

 アリッサさんに言われ、俺は首を傾げた。

 うん?


「その荷物をエリアス君のマ(・)ジ(・)ッ(・)ク(・)・(・)バ(・)ッ(・)グ(・)で収納してほしいの」

 あぁ、そう言うことか。

 ノエルさんはストレージのことは知らないからね。

 俺は言われた通り荷物をストレージに収納した。


「さあ、行こうか」

 オルガさんが言い、みんな後に続く。

 ノエルさんは宿の人と別れを惜しんでいる。

 あれ?

 これからノエルさんは、どこに行くのかな?

 

 アリッサさんを先頭に4人で歩いている。

 このままいくと、俺達の屋敷だけど…。

 あぁ、やっぱりそうだ。


 本館の中に入り俺達の部屋がある三階に上がる。


「私達はエリアス君の両側の部屋だけど、ノエルさんはどうする?」

「では私はエリアス様の向かいの部屋で…」

 二階、三階は各七部屋ある。

 階段がある関係で三部屋ある向かい側が四部屋だ。

 俺は三部屋の真中に住んでおり、その両側がアリッサさんとオルガさんの部屋だ。

 では四部屋側の向かいの部屋がノエルさんか。


 でもどうしてだ?

 あっ!わかったアパート経営だ。

 部屋は余っている。

 それを利用して、人に貸そうと言う事か。

 なんだ、みんなも言ってくれればいいのに。

 

「エリアス、ノエルさんにも家具のセットを出してあげてくれないか」

 オルガさんに言われ、ストレージの中で『創生魔法』で言われた物を創った。

 ベッド、テーブル、椅子4つ、タンス、三面鏡ドレッサーと椅子のセットだ。


 ノエルさんは三面鏡を見て、とても嬉しそうに眼を輝かせていた。

 そして俺はストレージに仕舞っていた、ノエルさんの荷物を出した。


「明日は寝具を買ってこないとな。まあ、今日は良いけど」

 なんてことを言うんだオルガさん。

 寝具の無いベッドで、ノエルさんに寝ろと言うのか。

 

「今夜はノエルさんの歓迎会ね。なごみ亭に美味しいものを、食べに行きましょう」

 アリッサさんがそう言う。

 そして4人で『なごみ亭』に向った。


「こんばんは!」

「あら、いらっしゃい!!」

 サリーさんが迎えてくれる。

「4人前でお願いします」

「わかったわ。空いている席に座ってね」


 席に座って待っているとこの店の看板娘、10歳のアンナちゃんがサリーさんと一緒に食事を持ってやってきた。

「お待たせ、エリアスお兄ちゃん」

「ありがとう、アンナちゃん」

「ねえ、エリアスお兄ちゃん。その女の人はだ(・)あ(・)れ(・)?」

「あぁ、ノエルさんだよ」

「そういうことを言っている訳ではないのよ?!」

「では、どう言う?」

「また女の人が増えたの?て聞いているのよ」

「いや、そう言う訳では…」

「じゃあ、どう言うことよ。エリアスお兄ちゃんは体力馬鹿なの?奥さんが2人も居てまだ足りないの?そんな無駄な体力があるなら、他のことに使いなさい!!お父さんなんてお母さん1人で、へた…」

 モゴ、モゴ、モゴ、

 見るとお母さんのサリーさんが、鬼の形相でアンナちゃんの口を手で塞いでいる。


「アンナ、何言っているのかな?ちょっと、こちらに来なさい」

 ズル、ズル、ズル、

 そう言うと奥にアンナちゃんを引きずって行った。


「かわいい子ね」

 ノエルさんが笑っている。

「おませさんなんですよ」

「人気があるのね、エリアス様は」

「そんなことはないですよ」

 俺達は夕食を済ませ屋敷に戻った。



「美味しかったわねオルガ」

「そうね、アリッサ。エリアスの調味料を使って、料理のレシピも教えているもの」

「さすがアンテナショップね」

「アンテナショップとは、なんでしょうか、オルガ様」

「なんだっけ?エリアス」

「俺が代わりに説明します。口で美味しいと言っても伝わりません。特に調味料や料理はそうなります。そこで試しに販売してもらい、お客の反応を見ることです」

「それはいい考えです、エリアス様」

 ノエルさんは感心している。


 そこからみんなで他愛の無い話をした。

「それでは、そろそろお風呂に入りましょうか」

「そうねアリッサ。エリアスみんなで入ろうか?」

「な、なにを言っているのですかオルガさん。ノエルさんも居るのですよ?」

「いいじゃないか。別館はこの時間、お客がいないんだから」

「いえ、そういう問題では…」

「あぁ、そうか。エリアスは後でじっくり楽しみたいタイプか」

 な、何を言っているのかな?

 オルガさん?


 俺達は入浴を楽しみ部屋の前まで戻って来た。


「それじゃあ、お休み~」

「おやすみなさい。エリアス君、ノエルさんに優しくね。お手柔らかに」

 そう言ってオルガさんとアリッサさんは、自分の部屋に入って行った。


 優しくて。

 するとノエルさんは、自分の胸辺りで両手をモジモジしている。

「こ、今夜からよろしくお願いします」


 こ、こう言うことか!

 寝具が無くても、良いと言うのは。


 そして今夜は俺と…。

 頭一つ背が低いノエルさんを、俺は抱きしめた。





 この世界に転生してきて3ヵ月。

 現実味がまるでなくて、ゲームの世界に居るようだった。

 だから無茶もできた。


 でもこれは紛(まぎ)れもない現実だ。

 そしてこの人達とこれから俺は生きて行こう。


 それには目標をもとう。

 この世界で俺にしかできない大きな目標を…。





 と、日記に書いておこう。

 つけてないけど。


 (=^・^=)ミャオ~~~~~~~~ン!!


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