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第100話 薄利多売

 次の朝になった。

 アルバンさん親子が起きてきて、一階の居間にみんなで集まった。

 

「ではこれからは起きたら各自で、『なごみ亭』に食事に行ってください」

 みんな揃っても特に何もないからだ。

 アルバンさん親子は、えっ?と言う顔をしていた。


「エリアス様、私達は奴隷です。それを自由にしていいとは…」

「堅苦しいのは嫌いなので。やることをやっていれば、後は自由にして下さい」

「それでは先日、身の回りの物を買う時に頂いたお金が、まだ残っておりますのでそれを当面の食事代に当てようと思います」

 

「あの~エリアス様。私達は何をすればいいのでしょうか?」

 アルバンさんの奥さん、アルシアさんが聞いてくる。

 そうだった。


「では主にマヨネーズと醤油タレを作ってもらいましょうか」

「わかりました」

「アルバンさんも、手が空いている時に手伝ってください」

 アルバンさんには商業ギルド、アバンス商会、『なごみ亭』の営業をやっもらう。

 でも毎日、回ることも無いから家族でやってもらおうか。


「そう言えば作業場はどこにあるのでしょうか?」

 アルバンさんが聞いてくる。

 あぁ、そうだった。

 今までストレージの『創生魔法』で創っていたから作業場がなかった。


「作業場ですね、分かりました。今出しますから、外に出ましょうか」

「今出す?ですか」

「そうです。ではいきましょうか」

 俺はそう言うとアリッサさん、オルガさん、アルバンさん、アルシアさん、

アディちゃんの6人で外に出た。

 作業場というからには広くて運びやすい場所にないとな。


 そう思い俺は門の近くまで進む。

 ここら辺でいいか?

 俺はストレージの中の『創生魔法』で2階建ての蔵を創る。

 そして門の内側の右に作業場を出した。


〈〈〈 ドンッ!!〉〉〉

 

 その場に居た全員が、無意識に軽くジャンプした。


「エリアス様、これは…」

「アルバンさん、見た通り作業場です」

「そう言う話しでは…」

「エリアスはこういう奴だ、アルバンさん。慣れてもらわないとな」

「オルガ奥様、そう言われましても」

「まあ、奥様だなんて」

 クネ、クネ、クネ、クネ、


「さあ、中に入りましょうか?」

 蔵の中に入ると正面は14畳くらいの作業場になっている。

 テーブルや椅子もある。

 そして仕事がしやすい様に台所、トイレ、浴槽も完備している。

 二階に上がると六畳くらいの部屋が4部屋ある。

 各部屋に窓があり、陽が入るようになっている。


「エリアス様、これは…」

「ですからアルバンさん、見た通りの作業場です」

「いや、しかし…」

「エリアス、これはどう見ても家だぞ」

 オルガさんが突っ込んでくる。


「では住居兼作業場ということで」

「なんと、エリアス様?!この家に住んでも良いのでしょうか?」

 あ、はい?

 アルバンさんがなにか言っている。


「奴隷である私達に良くしていただき、ましてこんな大きな家を与えてくださるとは…。このアルバン。家族共々一生、エリアス様に付いて参ります」

 あの~。

 奥さんのアルシアさんも感動している。


「今日からここに住めるの?エリアスお兄ちゃん、《《大ちゅき》》!」

 9歳の娘のアディちゃんも喜んでいる。

 少し噛んだけど。


「そ、そうだね。ここに住めば効率も良いからね、あは、あははは!!」


 納品用の商品を棚に出していく。

 ドライヤー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、鉄の急須きゅうす、白いテイーカップセット、シャンプーとボディソープ。

 『味元(あじげん)』、ソース、醤油、醤油タレ、マヨネーズ。


 納品用のエリアス商会のロゴが入ったリヤカー。


 マヨネーズ、醤油タレを作るための材料。

 そしてカレーの材料だ。


「この匂いは?」

「カレー粉の匂いです」

「あの『なごみ亭』に卸しているカレーですか?」

「えぇ、そうです。実は原材料はたくさんあるのですが、どこまで供給できるのか分からないので数量を制限しているのです」

「そうですか。でもどうして?」

「それはカレーの材料が今のところ、アスケルの森にしかないからです」

「アスケルの森?!あの森に入っているのですか?」

「えぇ、そうです。これでも俺と妻2人は冒険者もやっていますから」


「そうですか、それでは定期的な供給は難しいですね」

(あの凶悪な魔物が居ると言う、アスケルの森に入るだけでも凄いことだ)


「ええ、そうなんですよ」

(どのくらいの範囲で材料となる、香辛料があるのかわからないからね)


「では卸価格も、きっと高額なのですね!」

「いや、価格はそんなでもないですよ」


「どうしてですか?!」

(命がけで採ってきているのに)


「えぇ、卸値が高いと店で提供する値段も、高くなってしまいますから」

(森に行ってタダで採ってきているのに、高くは出来ないでしょう)


「それはそうですが…」

「カレーは誰からも愛される食べ物です。それが高かったら誰も食べませんよ」

「それに調味料の値段も全体的に安い気がします」

「それでいいのです。一度、その美味しさを知ったら人は忘れられません。調味料は消耗品です。無くなれば、また買いたくなります。しかし高ければ買いません。だから手頃な値段にして数を売るのです」

「手頃な値段で数を売るのですか…」


「そうです。消耗品で手頃な価格であれば長く続く商売が出来ます。そして生まれた時から、その商品が身近にあれば、人はそれがあって当たり前になります」

「あって当たり前…」

「そのために今は、知ってもらう段階です」

「そんな壮大な構想を考えていらっしゃるとは」


「味は親から子へ、子から孫の世代に受け継がれます。エリアス商会が今だけではなく10年、20年、そして50年、100年後も続くように。たくさんの人に使ってもらい、生産を上げ消費してもらう薄利多売を目指すのです。そうすれば俺の子供や孫も安定して働く場所があり、アルバンさん家族も同じことが言えます」


「子供や孫に安定した働く場所を残す。しかし私達は奴隷…。私と妻のアルシアとの間に、子供が出来てもそれは奴隷となります。奴隷となった娘のアディは嫁に行くことはありません。しかし孫と言う事は、エリアス様にもらって頂けると言う…」


 あっ、いや、違う…。

「私、エリアスお兄ちゃんのお嫁さんになるの?」

 アディちゃんまで…、なにを。


「パコ~~~~ン!!」


 小気味よい音が辺りに響く!!


「エリアス君、あなたはいったい何を言っているの?」

 アリッサさんの大きなが聞こえる。

「アリッサ奥様、それは…」

「これはハリセンと言って大きな音はしても攻撃力は無く、相手に精神的なダメージを与え、話にオチを付けると言う魔法のアイテムよ!!」

「話にオチを付けるアイテムですか!!」

「そうよ!!」

「そ、そんな凄いものをお持ちとは…」

 

 そろそろいいでしょうか、お二人さん?

「アルバンさん契約の際に言いましたよね?支払った分、働いたと思ったら『解放』すると」

「はい、そう伺いました」

「俺が言いたいのはそこです。奴隷から解放されることが前提のお話ですから」


「そうですか。私はてっきり…。いつエリアス様に『お父さん』と言われても良い様に、心の準備をしようと思っていたのですが…」


 しなくて、いいです!!

 皆様の応援のおかげをもちまして100話目になりました。

 本当にありがとうございます。


 これからも皆様に少しでも楽しんで頂けるように頑張りますので、

 応援の程よろしくお願いいたします。

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