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殺す
殺す
殺す…。殺す…。殺す…。あいつらなぶり殺しにしてやる!
エリカはもうただの女ですらなかった。悪鬼そのものだった。
上空を飛んでいたオリーブドライブ色のヘリが、低空まで下りてきた。
「陸上自衛隊…、あいつらぶち殺せえ!」
日の丸をつけた、左右に短い翼をつけたヘリは、恭輔の上を素通りしてエリカの視界から消えた。
「そんな…」
エリカの叫びは、恭輔をなぶっていた者たちの耳にも届いたようだった。
五、六人が笑い声を上げてこちらに走ってくる。
おしまいだ…。
自分も、田中も、恭輔と同じようにあそこに連れ出され、なぶり者にされて殺される…。
もう、だれにもどうすることもできない…。
くやしい。
恭輔をあんな目にあわせた奴らに何もできないことがくやしい。
恭輔をあんな目にあわせた奴らになぶり殺しにされるのがくやしい!
その時、ガバッという音とともに視界がふさがれた。