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依存の愛に純を見る、月夜。寂しさ。

作者: 自

風が揺らめいた木々を撫でる

月を見る私を嘲笑っては空高く上り

舞い上がる枯葉もまた同じ

蛍は輝き足跡を残す

暗闇に浮かび上がる過去と

現在の遠く離れた距離を

何も言わずに示しているようで

暗い夜道を一人ゆっくりと歩いていた

街灯がぽつんとそこにあった

はぐれ者の光が一つ

その1点に虫たちは集まり広い光の中に小さな影を散らす

その下に立ち止まる

不思議と居心地が良かった

フードを被りポケットに手を突っ込んだ

私らしさを感じさせない私には

その寂しげな灯りが妙に心地良い

9時の門限は過ぎている

信号は一定のリズムで点滅し私の足取りと違和感なく重なる

氷はジャリジャリと音を立てる

寒く、冷たく、秒よりもずっと遅く死に迫る肉体

目を瞑って下を向いてゆっくりと待つ

どれ程の痛みがあるのだろうか

どれ程の悲しみが湧くだろうか

想像してみよう

あなたを待つこの退屈な時間の間に

生から死まで

始まりから終わりまで

空気を吸っては吐く

無意識を強く意識した単純な作業を

ひたすらに繰り返す

息は白く煙のよう

空気を熱してゆらゆらと漂い

雪と混じり消えていく

喉と耳は冷えていくが

厚着した身体は温かいまま

フードを外し目の前を見る

あなたと共に見た景色をもう一度

今たった一人で眺めるこの星を

この空を

この美しさを

あなたの美しさを忘れられない

私は愚かでしょうか

意地を張り背伸びした自分自身が嫌いで

受け入れられぬままの私をあなたは受け入れてくれた

幸せでしたと

強く

強く

思う

共にいた頃からずっと思っていた

必然であったと

私はあなたの一番にはなれないのだろうと

あなたはきっとより良い人と出会う

その都度記憶は塗り替えられる

私との思い出はもう忘れただろう

だから私はあなたを忘れない

忘れない為にこの星を見る

あなたの言葉の一つ一つ

自分自身の感情の揺らめきや得られたもの

何一つ溢さず掴み取る

私はあなたの中に生きた私を忘れない

糧となり血肉となる

それを生かしていく

私もより良い人と出会うのだろうか

もしそうなら

幸せでしたと

今度は言わせられるように

努力してみようか

下らないプライドを持って私は生きる

笑え

私も邪魔だとは思っているが

何故か捨てられない

部屋に残る写真と同じだ

邪魔で仕方がない

私を形成するものだ

から

このしばらく後に新しい方とお付き合いしてからは、大事にしていた写真は目を通すこともなくなり、生きる上で必要もなくなりました。勿論その人の言葉一つ一つも、もう欠片ほどしか覚えていません。人の決意など簡単に揺らぐものです。切ないものですね。この頃の私はもう存在しませんし、この頃は只々疑心暗鬼で、その苦しい思いを吐き出す為にこれを書いていました。今改めて目を通すと、この時でなければ書けない文、そうでない未熟な部分があります。まるで子供を見ているかのようです。子供心を忘れた大人が、幼い子を見て無邪気だなあと感じるのと同じようなものでしょうか。いつからか自分を勝手に「大人」と定義していて、盲目になっているのです。孤独を酷く恐れた私。理解されない事を恐れた私。当時の自分からしたらこの作品を世に出すなどあってはならない事です。でも今は、違う。

自己表現をするために、未熟さも、青さも、間違いも、さらけ出す必要がある。私より文章が上手い人はいくらでもいるし、下手な人もいくらでもいる。でも、さらけ出す勇気を持つ人はその中にいくらいますか?私は表現者であり続けます。これからも。好きな事を、好きなように。好きな人を、好きといえるように。これが私ですので。

では。また会いましょう。

愛しております。

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