猫アレルギーだがモフモフ好きのユウ
モフモフは最強。
モフモフは癒される。
モフモフを探すことが生きがい。
いつものように職場へ向かう夏の終わり、家の前の稲穂が朝露に濡れている。朝日がまだ眩しく、手をかざしながら、ユウは鞄を背負い歩く。アサガオ棚が並び、青やピンクの花が今も数十個咲いている。服は自由に着られる仕事なのは嬉しい。家から少し離れた駐車場へと向かった。
駐車場に停めたワゴン車の前に来ると、キジトラ柄のハチワレ猫が、下から前に向けて出てきた。
「にゃあ〜」
朝露のためだろうか。一部だけ体毛が湿っている。
運転席側のドア側に回り手をかけながら、
「おはよう」
と声をかけると、軽く鳴いて、足元にすり寄ってきた。ああ、温かい。少し濡れた体毛も、夏は心地よい。ゆっくりと、八の字を描き、右斜め45度で、顔を上げてくる。
「今日も見回りお疲れ様です、ハチワレさん」
ハチワレさんは、近所の猫で朝はうちにお散歩しにくる。他にも2匹いるのだが、それぞれ現れる時間が違うのだ。
8の字で回る時は、ごきげんだ。少しなでてやると、アサガオ棚のところへ向かった。
仕事なのを悟ってくれたんだな。物分かりがよくて、困ってしまうが、朝は助かる。車に乗り込み、備え付けのウェットティッシュでさっと手を拭く。本当は、そのままモフモフを感じたままでいたいけれども、猫アレルギーだから仕方ない。こればかりは、体質だから致し方ない。
朝モフモフの感触を味わえただけでも感謝しなくては。
そう思いながら、エンジンをかけてハンドル片手でハンドルやわ握り、ハチワレさんに手を振りながら駐車場を出た。
ユウは、猫を飼っていない。
残念ながら、猫アレルギーなのだ。触ることはできるのだが、早めに手を洗わないと、アレルギーで顔が真っ赤になって涙がでて止まらなくなる。少し触るくらいなら、ウエットティッシュで拭けば大丈夫なことは実験済みだった。
アレルギーがわかったのは、ごく最近だった。今までも、時折かゆくなることはあったが、気にしていなかった。