チートの始まり
「すみませんでした。」
草野 誠は、小さな個室に1人立っていた。個室には、もう一人お爺さんのような年配の方がその見た目に合わぬ高い声で謝られていた。この状況・・・いったいなんだ?
「・・・貴方は何故私に謝られなければならないのです?見たところ知り合いと言うわけでは無さそうですが・・・」
「まあ、そう言うと思っていましたよ。貴方はどんな時でも冷静ですからね。そこを買ったんですけどね。」
「質問に答えてください。何故貴方は私に謝られるのですか。」
「全く、面白味もない方ですね。」
「余計なお世話です。」
「はあ、まあいいや。えーっとですね。私は神です。1つ目の謝罪、貴方はこの世界に来るために亡くなってもらいました。」
・・・は?こいつは一体何を言っているんだ?
「2つ目の謝罪、貴方にちょっと細工を施して勝手にステータスを大幅に上げてしまい、身体能力を最大値まで上げてしまいました。」
頭の中で?マークがクルクルと回転して脳にダメージを与えてくる。ステータス?ゲームの話か?
「3つ目の謝罪、勝手ながら貴方の使命は魔王を倒すことになりました。」
・・・駄目だ。こいつの話が理解できない。理解できる奴が居たらここにきて翻訳してもらいたい。
「待ってください。一体貴方は何の話をしているのですか?全く理解できなくて頭が追い付かないのですが・・・」
「まあ、分かります。昨日まではいつも通りの生活を送っていましたからね。ここは今まで生活してきた世界と別の世界になっています。簡単に説明すると平行世界みたいな感じですね。ここでは魔王という存在が猛威をふるっているのです。なのでそこそこ優秀でこの現状を即座に飲み込むような人材を探し求め、貴方様を見つけたのです。というわけで貴方様をこちらの世界に連れてきたわけです。OK?」
「お・・・おk・・・でも、もっと若い人を選択しなくてもよかったんですか?」
「若い人には未来がありますから。貴方は夢はありますか?未来はありますか?ないのでしょう?ならいいじゃないですか。」
・・・遠回しに馬鹿にされた気がする。こいつ腹立つな。
「まあ、細かいことは気にしないで下さい。気にしていると老けますよ。」
「余計なお世話です。」
「じゃあ、戦闘にも勝てるように身体は強化しましたので、行ってきて下さい。」
「ちょっと待って下さい。せめて、金を出せる能力が欲しいです!!拳で戦えと!?」
「へいへい、注文が多いですね。」
この神(?)は腹が立つ一言を呟きながら空中にタップパネルのようなものを出現させる。さすが神(?)。これくらいは出来るのか。
「・・・はい。完了しました。あっちでは金額の単位はカイになっているので。円と価値は同じです。では、行ってらっしゃい!」
風が吹いてきた。空気が違うのが感じる。辺りは眩い光に包まれ、一瞬だが、目を閉じた。