第97話、榛名「私って実は、超めちゃくちゃ天才なんですよ」詩織「超めちゃくちゃ天災の間違いじゃないかしら?」
書きあがりましたので投稿します!
これからも頑張ります!
「なに……それ?……違う。それよりもどうやって」
「何がどうやってなの?」
「……アナタは今、その武器を使って銃弾を全て受け流した……人体強化をしている時間は無かった筈なのに」
動揺の色を顔を浮かべた鈴子は、目の前に起きた事実に声を震わせた。
そして自らが放った銃弾を語る。
「この銃弾は威力が高い。武器が壊れなかったとしても、それを支える手が無傷でいられる筈が無い……なのに」
跳弾して威力が激減した銃弾もあったが、撃ったばかりの銃弾も存在していた。
その二桁を超えた銃弾を全て弾いて、痛みを訴えないのは矛盾し過ぎている。
詩織は手を痛ませた反応をせず、真っ直ぐと臨戦態勢を維持し続けているのが、何よりの証拠だ。
「能力を解除して、すぐに人体強化をしたとしても時間が足りない……それに両手はすでに崩壊寸前だった」
「アナタが急勝だったから、完全に完治出来た訳じゃないわ」
「っ!?……能力の発動中に治癒力強化……そんな事が出来る訳っ」
「出来たのよ──黒槍出現と人体強化の同時発動が」
「!?」
そう言いながら、詩織は右手に握った一本の武器を横目で見た。
それに釣られて、鈴子の視線もそれを射抜く。
「アナタにはコレが、何に見えてる?」
「……剣か刀?」
「見た目は合ってるわ。でも、存在の根本は全く異なる」
漆黒に輝く光沢を持つ刀剣身。
血管の様な紅いの模様が彫られた長い樋。
その姿は暗く禍々しい様があった。
「私も実感がまだ湧かないんだけどね…まさか、私の複製版を創り出すなんて」
「複製版?…………っ!?」
「理解出来たようね」
その手にある武器の正体を察し、鈴子は声を詰まらせた。
だが、詩織の言葉によってそれは確信へと変わる。
「武装『黒鱗』。私の能力の擬似再現化。私の友達は、大人顔負けの代物を作ってくれたわ」
榛名が創り出した最高傑作、『黒鱗』。
最初に出現させた黒棘は、詩織が生成した能力で間違いなかった。
その内側で、黒鱗によって黒棘を生成し、内層を作り上げたのだ。
そして鈴子が始めに砕いたのは薄い外層。
つまり、攻撃の末に内層のみになった時点で、人体強化が可能となり、治癒と強化を実行した。
「つまり…それは黒槍出現の発生装置を搭載した武装……」
事実を正しく受け入れた鈴子は、鋭い面持ちを作り出して身構えた。
「だったら、問題ない…」
「へぇ、今の私は人体強化をしながら、自分がよく知る己の能力を使う事が出来るのよ。それでも問題無いって言えるの?」
「うん、問題にならない。だって──」
鈴子はポーチから小さな機器を取り出して、運営側と繋がっている通信機とは逆の耳にそれを付けた。
「分からないのは怖かったけど、その程度だったら、この場にいる私にはなんら影響は無いよ」
動揺の色が完全に消え、冷静な声音で銃口を詩織に向け直した。
ッ!ッ!
そして二発の銃弾を連射。
先発は詩織から外れ、大きく旋回する。
そして後発は、先発とは逆の旋回を見せた。
やがて同時の瞬間を狙ったかの様に、詩織の両側に二発の銃弾が音速で命中に走った。
だが、
「無駄よ」
詩織は黒鱗を大きく横振りしながら身体を回転させる。
そして黒鱗が通り過ぎた床から突如と黒棘が現れ、銃弾を弾いて見せた。
「受け流し、防御、回避。今の私にはその三つの手段を万全に使える」
「でも、能力の発動条件は見て取れた」
「っ」
「もしそれが黒槍出現と同等の性能があれば、アナタは必ずある一手を繰り出している筈」
そう言って、床につま先をトントンと叩く。
「どうして私の足元に能力を使わないの?」
「…………」
「集中的に攻められれば、私は能力による手段を講じなければならない。そうすれば隙の一つも作れたかもしれないのに」
己に勝利する為の最善手。
少しでも注意を削ぎ、無駄に能力を使わせて、強化した運動能力で隙を突く。
だが、詩織は鈴子が思う手段を取らなかった。
「そうしなかったのは、出来なかったから。その武装にはきっと、第十位の発動条件とは異なる発動条件が存在している……これが私の予測」
詩織本人の発動条件は、『自分の周囲、もしくは視界に映る場所に、鉄の強度を持った五メートル以内の黒い突起物を出現させる』。
それと照らし合わせて、鈴子は黒鱗による黒槍出現を分析、予測を繰り出した。
「その武装はあくまで黒槍出現に似せて作った複製版……だったら、第十位の黒槍出現と、黒鱗の黒槍出現は、似ているけど別物……」
分析と予測の末に導かれるのは、本物と複製版との違い。
「その黒鱗の性能は、序列十位の黒槍出現よりも低い……違う?」
的を射抜くような説明に、詩織は憎い笑みを浮かべて、
「くえないわね。鈴子」
「お互い様だよ…詩織もその切り札を最後まで隠してた」
「本体はグリップだけなのよ。それもこの武装の利点なんだから、私は有効的に活用するわ」
そして詩織は鈴子の耳元に視線を向ける。
「で、それはいったい何かしら?」
「……すぐに分かるよ」
鈴子は右手を耳に伸ばし、その機器の電源を入れた。
読んでくれてありがとうございます!
榛名からもらった武装の伏線回収が出来ました!
ここから再び戦闘開始です!




