第93話、鈴子「私は…私はっ…」
書きあがりましたので投稿します!
これからもよろしくお願いします!
「操舵室、初めて入った」
「……」
「第十位は入った事ある?」
「…………ないわ」
「そうなんだ」
身体中に激しい痛みが走る。
その中で目の前には涼しい表情で佇む第九位がいた。
「数分間だけ話に付き合ってほしい……その間だけ回復するなり、先制攻撃のチャンスを狙ってもいい」
「ッ!?」
どういうつもりだ。
どんな意図があってそんな提案を繰り出した?
「この時が過ぎれば、もう機会は無いから提案した」
「……余裕からの情け?」
「違う…………だったら、聞いてもらうだけでもいい」
鈴子の雰囲気が切り替わる。
涼しい空気から一転し、臨戦態勢の雰囲気を纏った。
「広樹に聞かれたくなかったから、此処に蹴り飛ばした」
「ッ!」
「倒す前に、伝えたい」
低い声で鈴子は胸に溜め込んでいた本音を口にする。
「広樹にもう関わらなくて大丈夫だよ」
「────」
「転校したばかりの広樹を、忙しいのに色々と世話したと聞いた」
「──」
「でも、もう広樹に時間を割かなくても大丈夫」
「──」
「それだけが、言いたかった」
「何を…言ってるのよ…」
自然治癒という選択肢を忘れ、身体の強化を開始。
そして、
──!!
機械に一撃を叩き込み粉砕する。
尚も鈴子は顔色一つ変えずに、ただ佇んでいる。
そんな鈴子へと真っ直ぐ近づき、息が触れ合う距離に立った。
「余計なお世話だったら謝罪する……言う必要もなかったと思う」
「謝罪?必要もなかった?」
「第十位は凄い。みんなから慕われてる分、それだけの功績をいつも積み上げてる……その第十位には、広樹の世話が邪魔に見えてると思う」
鈴子は悪や嫌味などの感情を持たず、ただ純粋な気持ちを伝えた。
「だからもう広樹に余計な親切はせず、第十位は自分のしたい事に専念すればいい……私が広樹の近くにいる」
「…………近クニイル?」
…………。
…………。
「ソウ…ソウナンダ」
「第十位?」
「遠回しの宣戦布告……そう言う事でしょう」
「宣戦布告?」
食い違う言葉と意味。
鈴子だけが意味を理解せず疑問を抱く中、目の前にいる者だけは違った。
「ッ」
鈴子の顔面めがけて一撃を放つ。
だが、速度と威力を見切った少女は、難なくその拳を片手で受け止めた。
「どういうつもり?」
「宣戦布告の返答よ」
拳を引き上げ、元の位置に戻す。
「一日中家で適当な日々を浪費する。それが本来のアナタでしょ。内守谷鈴子」
「第十位?」
「今まで通りの、本来のアナタでいてくれれば、私は今まで通りでいられる」
「……私の事は第十位には何も関係無い。私の今後を勝手に決めないでほしい」
「関係あるから言ってるのよ」
それは誰にも譲れない存在だ。
私だけの存在なんだ。
「私から奪うって言うんでしょ?」
「奪う?何を言ってるの?」
「そのままの意味よ」
鈴子の中で結び付かない疑問点が生まれ続ける。
だが、目の前の少女の表情と声で、何を思っているのかは分かった。
「もし、癇に障る事を言ったなら謝る……どうして怒ってるの?」
「人の内面を気にし過ぎるアナタが、理解してない筈がないでしょう」
「本当に分からない。……ただ私は、第十位が『あの任務』に集中出来ればと考えただけ」
「『あの任務』?」
「私の代わりに第十位が引き受けた、『監視の任務』があった筈。
──対象者とチームを組んで、自宅の隣に引っ越して、友好な関係を築き上げると共に、危険な事をしないか見張る仕事
その任務を優先する為に──」
「その対象者である『荻野広樹』を、私から遠ざけようとしているんでしょ」
「────────ぇ」
読んでくれてありがとうございます!
第64話、鈴子「私の服装…変かな?」で作った伏線を回収しました!
本来であれば、鈴子が広樹の監視に就く筈だった。みたいな会話を広樹としているので、それを詩織との会話に使いました!
それと少し文章の書き方を再確認しています!
私の作品が他の作品の書き方と、違う感じがありますので、ゆっくり改善出来ればと思います!
ただ、私自身が少し混乱しているかもしれないので、ゆっくひ治していくつもりです!
ぜひ!次話も読みに来てください!
これからもよろしくお願いします!