第86話、鈴子「私も…序列者なんだよ」
書きあがりましたので投稿します!
昨日も更新しましたので、確認お願いします!
新しい更新ペースを作れればと思います!
(は・る・な・くぅ〜ん?)
(私じゃない私じゃない私じゃないっ)
私が何をしたっていうんですか?
何故皆さん私をガン見なんですか?
これは違います!運命の悪戯なんです!
(君があの二人の関係を築いたのかい?)
(私じゃないって言ってるでしょ!)
抑えた声で反論する。
(いくら私でもこんな事はしませんよ!)
(でも君が全ての元凶な気がしてならないんだよねぇ)
(私が嘘をついているとでも!?)
(君は隠し事をよくするし、裏で手を回したのもあり得る……正直に言ってくれぇ。君はどんな意図であの二人の関係を築いたんだい?)
(本当なんです!信じてください!私は何もしていません!)
(もう証拠は上がっているんだよぉ。いくら否定しても事実があそこにある)
今もスタジアム中に響き渡っている歌声。
それは紛れもなく緑川榛名の声音だった。
(よりにもよっての愛歌だぁ。偶然にしては出来過ぎている)
(アレは相合い傘をした時に自動で流れるようにしたもので、あの二人の事を考えた訳ではありませんよ!)
(往生際が悪い。自首したまえぇ)
フサッ……ドサッ。
柔らかい生地の音が二回なる。
葉月が一度立ち上がりかけ、それをさやかが止めたのだ。
(な、何をするおつもりで…?)
抑えた声で、己の主人に問い質す。
(……)
フサッ……ドサッ。
(絶対に駄目ですっ。この場で手を上げたら終わりますっ)
(……)
フサッ……ドサッ。
(……広樹ともう会えなくなりますよ)
(っ……)
葉月の行動が静止する。
それは少女を止められる制御単語だった。
(ここで彼女に何かすれば、もう戻れません)
(……)
…………。
…………。
…………。
……………………フサッ
「……っ……っ……ん」
「広樹?」
「……ん?あ、悪い。何か言ったか?」
ヤバイ。元々眠かったが、榛名の歌が加わりその眠気を更に加速させていた。
「もしかして眠い?」
「ああ、少しな」
「……ごめん」
鈴子は広樹の隈を見て、その原因は自分にあるのだと意識していた。
だが、そんなのを今更気にする必要はない。
「大丈夫だ。……でもやっぱり」
あくびが出る。
瞼も重い。
ほとんど寝ていなかった訳だし、身体が睡眠を欲するのは仕方なかった。
「なら寝てていいよ」
「え、いやそれは」
「大丈夫。ここは湖の真ん中だから、敵が来たらすぐに分かるよ」
そこは湖に浮かぶ大型客船。
船内に侵入するには、ボートなどを使って湖の上を進まなければならない。
だから、敵の発見は容易だった。
「…………じゃあ少しだけ、頼んだ」
船首の壁に背中を付けて座り込む。
制服はただの布生地に見えて、特別な方法で作られた頑丈防水仕様。
故に染み込まず、濡れる心配はなかった。
「悪いな、傘を持ってもらって」
「いいよ。ゆっくり寝てて」
「ああ。じゃあ少し、眠るな……」
意識がゆっくりと遠退く。
深い場所に感覚が落ちていく。
やがて雨音と歌が耳から離れ、広樹は意識を手放した。
「すぅーーすぅーー」
「……」
鈴子はゆっくりとしゃがみ込む。
そこには完全に意識を手放し、無警戒となった広樹がいる。
「……お休み、広樹」
広樹が背にする壁には、手すりが埋め込まれていた。
鈴子は常備品として持っていたワイヤーで、傘と手すりを結び、広樹の真上に傘を設置する。
「ゆっくり寝てて……」
鈴子は狙撃銃と、広樹が用意した二つあるトランクケースの片方を借り、広樹に一瞥した。
「私に全部任せて」
口端を小さく吊り上げ、目的に視線を向ける。
湖の最奥。
人体強化で視力を強化しなければ、肉眼でソレを捉えるのは難しかった。
だが、鈴子の瞳にしっかりとソレを捕捉した。
「私に挑むなんて……馬鹿だよ」
それは数十台に及ぶボートの群れ。
鈴子達が乗る客船に向けて、数十組のチームが向かって来ていた。
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