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第83話、葉月「…………」さやか「何も起こさないでくださいね」葉月「…………」

書きあがりましたので投稿します!

楽しんで読んでもらえると嬉しいです!


『それと一つ報告あります!』

今回の話には、ガッカリされる内容があるかもしれません!そう感じた人は、ぜひ次話を読みにきてください!お願いします!

「君が渡した頭蓋マスクに救われたね」


「ええ…………」


命中直前で、強化された運動機能を活用しての上体じょうたいらし。

そして頭蓋マスクの強化素材によって、詩織は敗退判定をまぬがれる事に成功。


その結果に安心と心配の両方が、榛名の中で入り混じっていた。


「詩織……」


「仲間と合流して回復に専念しているみたいだねぇ」


一部のモニターに映るのは、仲間と合流を果たし、警戒態勢を取りながらの行動停止。


「いくら擬似塊フェイクでも、衝撃を完全に打ち消す事は出来ません。頭蓋マスクにも特殊粒子を付着ふちゃくさせていましたが……」


「完全に打ち消せず破損。頭部に大きなダメージを負ったねぇ」


「相当痛かったと思います。予測していた痛覚フィードバックを遥かに超えた衝撃だったんですから」


擬似塊を開発した私自身が、その痛みの大きさを一番に理解していた。

それ故に、詩織への心配があった。


「でも」


心配と共に、もう一つ。

私だからこそ、今の詩織の思考を読めた。


「もう手加減や任務は関係ない」


もう詩織は止まらない。

詩織の人間性を知る私の予想は正しかった。


「動き出しました。方向はやはり」


「もうあの二人しか見えてないようだねぇ」


詩織は広樹達の方向に歩き始めた。



…………。

…………。

…………。

…………話は変わって

(で!どうしてここにいるんですか!?)


(僕が知りたいよぉ)


小さくかすんだ声を放ち合うの二人の意識は、少し離れた位置で座る少女に向いた。


(初めてじかに見ましたよ!序列一位ですよ!日本支部の頂点!)


(僕は何度か見た事はあったけど、会話した事は一度も無いねぇ)


(本当にどうしてこんな所にいるんでしょう!)


白姫しらひめ葉月はづきの来訪。

任務と研究だけにしか姿を見せない神出鬼没の存在が目の前にいる。

それは博士と榛名だけではなく、その部屋にいる全員に衝撃的だった。


そして、その少女の視線の先には、


(広樹と序列九位が映るモニターをガン見なんですけど!?もう何なんですか!?)


(広樹くんの観察が目的……とは、彼女の思考からはあり得ないねぇ)


(何考えてるか分からない存在ですからね。他人に興味を持つ事は絶対に無いと思いますが)


(一体何が目的なんだろうねぇ…)


少女の思考は誰にも予測がつかない。

ただ少女は、そのモニターを見つめながら、口にストローを咥えていた。









「葉月」


さやかが葉月の耳元でささく。


「内守谷鈴子と一緒にいる原因ですが、調べた限りでは核心を突く部分は見つかりませんでした」


「……そう」


「無いと思いますが、暴走だけは……」


「……」


口を閉ざす少女。

その思考は今、一つの光景にしか向いていない。


「…………なんで」


葉月が小さく声を漏らす。


「…………私が此処ここなの」


「葉月……」


いつもと変わらない感情の無い表情。

さやかは、少女の声色に暗い何かを感じた。


「不安を抱く事はありませんよ。だってあのは」


「……」


「人間的、女性的、社会的にも難がある」


「……」


「葉月が恐れている事は絶対に起こりません」


鈴子をボロクソに言うさやか。

誰かの悪い部分を言葉にするのには抵抗があったが、己の主人に気を使う気持ちがまさり、それを伝えた。


鈴子には色々と欠け過ぎている。

あるのは才能ちからだけ。


葉月がいだいている心配は起こらない筈だ。

そして、葉月が──をす事も……

















『天乃さん、やはり序列者は凄いですね!あの距離から頭部を正確に撃ち抜いた鈴子さん!そして間一髪で回避行動を行った詩織さん!予想だにしない過程と結果がハンパないです!』


『どっちも人間離れしてるからね』


銃弾が詩織に命中する直前、そこの一連の流れをスロー再生で一部のモニターに映し出す。


銃弾を眼前にした瞬間、詩織は維持していた人体強化を駆使し、上半身を最速で反らした。

頭蓋マスクの強度も重なった事により、命中はしたが、敗退しぼうはしなかったと判定。


詩織は戦場に生き残った。


『回復を済ませ、詩織さん達は移動を開始!方向は当然!』


『もう彼女達しか見えてないだろう』


鈴子と広樹の方向へと足先を向ける。

彼女の狙いは決まっていた。


『色々と楽しみになってきたね。みんなも期待しているだろう』


実況席から戦闘学中に伝える。

未来を悟った天乃の笑みは、おもちゃの箱をもらったの子供のソレ。


『あと三十分もしない内に巻き起こるよ。常識外れの規格外達が、おのれの全てを解き放つ瞬間が』


『解き放つ…』


サイは投げられた。って言葉は、こう言う時に使うんだろうね。転がり始めたサイコロは、出目けっかが出るまで転がり続ける』


天乃の言葉に、皆が喉を鳴らす。

序列者同士の本気勝負ガチバトルが確約された今、それを無視出来る者は誰もいない。


『森子ちゃんも楽しみだろう。これから起こるであろう戦いを』


『え、ええ、はい楽しみにです!』


天乃の意味深な言い並び。そこに込められた重さに森子は苦笑いを浮かべた。


『そ、それよりどうしましょうか!ビルでの戦闘は終幕しましたし、歓喜の歌はっくのうに終わってます!何故か途中から悲しい曲が流れていましたが』


『ああ、アレね。屋上が舞台になった時に、この曲が合うと思ったんだ』


歓喜の歌の再生時間は、ビルでの出来事を上回る事は出来なかった。

故に曲は途中で終わり、コアラ子達が屋上で相談し始めた頃から、別の曲へと変わっていた。


『どこかで聞いた事がある曲でした。何というか、友達と涙ながらのお別れをしちゃう様な…………あれ?』


『そして、また会いたい事をつづっていたね。あの歌詞で少女達の戦いに涙腺が響かなかったかい?』


『めっちゃくちゃ響きましたよ!ソレ狙ってましたね天乃さん!』


『感動的な戦いだっただろう。僕もちょっとだけ微涙うるっとしたよ』


ホールでの戦いは、『歓喜の歌』をまとわせる事によって、重く激しい雰囲気があった。


そして屋上での戦いは、『幼稚園児でも歌えそうな歌』で演出する事によって、一つの感動に成り代わった。


天乃のBGM係は、戦闘シーンの凄さに拍車を掛けていたのだ。


『話は戻りますが、激しい戦闘は終わりました。そして戦場の音量が小さいままです』


『確かにそうだね』


『それで今、気になる事があるんですよ!』


森子の視線は一部のモニターに釘付けとなっていた。


『あの二人の会話を拾いませんか!今回のイベントの注目株ですよ!皆さんも気になってる筈です!』


『お、おお、おお〜!確かにそうだね!確かに気になってるだろう!』


天乃の空気テンションが加速する。

恐怖と驚きの連続は既に終わり、次に観客は何を楽しみにするのか。

序列者の戦いを見た今では、他のモニターに映し出されている別の戦闘は心に来ないだろう。


ならば!と天乃の思考は一つの答えに辿り着く。


『じゃああの二人の場所だけ、音量を上げようか!』


『そうしましょう!もしかしたら、二人の関係があらわになるかもしれません!』


『僕にも分からない謎だね!彼は転校して来たばかりだから、本来なら彼女と出会う機会きっかけは無い筈なんだ!』


『そこにかれるきたがるっ〜!』


『みんなの気持ちはしかと聞き届けた!』


森子が観客の意思を代弁し、それを天乃が叶える。

手元のキーボードを操作し、数台のドローンに備わった集音装置の設定を変更した。


『よし!じゃあ戦闘学中に聞こえる様にするよ!』


そして、二人の会話は全てに広がる。


それはちょうど、広樹が鈴子に『俺の目元を見てみろ』と言った直後だった。





















昨夜さくやお前が寝かせてくれなかったから、目の下にくまが出来たんだぞ』


…………………………………………。


(((((((((え…)))))))))

「「「「「「「「「え…」」」」」」」」」


鈴子を見つめた広樹の言葉によって、戦闘学中が同じ思考、同じ一言を漏らした。


その中で、実況席に座る少女は、その幼顔をみるみる赤く染め上げる。

ワナワナ震えた実況者、森子。

じゅくしきったその口は、息を大きく吸い込み、熱い感情を咆哮する。



『ふっ、不純異性交遊発覚ふじゅんいせいこうゆうはっかくぅうううう!!』





読んでくれてありがとうございます!


今話にガッカリされた人は、どうか次話を読みにきてください!

お願いします!

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