第76話、榛名「追加注文で作りましたが……詩織が使うとヤバそうですね」
あけましておめでとうございます!
これからもよろしくお願いします!
『ご報告があります!』
作品の挿絵に挑戦してみました!
入力補助機能を使って、迷いながらなんとか貼り付けられました!
そして言わせてください!
描いた絵は、かなり下手かもしれません!
初めて描いたのですが、とても難しいということを知りました!
あくまで軽いイメージとして見てもらえれば嬉しいです!
もしかしたら、読者の方々のイメージを壊してしまうかもしれません!
絶対にというイメージではないので、軽く見てもらいたいです!
どうかよろしくお願いします!
『注意事項があります!』
今回の話は、少しヤバイ内容とジャンルが含まれます!
想像力があり、食後でお腹いっぱいの人(男性には注意が必要。女性もたぶん危ない)は、お腹が減ってから、もしくはエチケット袋の用意を……とまでは言いませんが、とにかく読んで楽しんでもらえたら嬉しいです!
前書きが長くなって申し訳ありません!
今回は少し長文なので、ゆっくり読めると思います!
どうかこれからもよろしくお願いします!
「これで僕たちの勝ちは間違い無しだ!ははは!」
狙撃を防ぐ為にカーテンを閉め、電気による明るい光が空間全体を照らしている。
パーティー会場として使われる最上階の巨大ホール、その舞台の上で高笑いをする少年がいた。
その周りには、彼の作戦に応じたチームが、自由気ままに余裕の振る舞いを見せている。
彼は入学したての中等部一年。その彼が今回のイベントに際して、己の持つ人を惹きつける話術を活用して、僅か数週間で今に至る事が出来た。
彼には才能があった。運動も、勉学も、そして戦闘力もだ。
小学生の頃には人よりも目立った成績を叩き出し、周囲から尊敬の眼差しを向けられて育って来た。
そんな順風満帆な存在だった彼はある日の検査で、戦闘力を保有していると確認される。
それも初確認時の全体評価は、平均記録を上回る数値であり、更には能力も保有していた。
彼の肩周りの宙には、ジュースの詰まったアルミ缶が浮かんでいる。
『念動力』──物体を動かし操る力。
それが彼の得た能力だった。
人体強化と共に、能力を得られるケースは滅多に無い。それは天性の才能と呼ばれてもおかしくない事なのである。
あらゆる面で優れた彼が作り上げた計画。それは誰もが崩れようが無いと信じ切っていた。
(外の人数が減れば、後は簡単に優勝できるよね〜)
彼は自分の力量を高いものだと自覚していた。それは、この場にいる全員よりも上だと、夢にも疑わなかった。今回の作戦が済めば、後は簡単に全員を屠れると思っていたのだ。
(確か、序列者だったかな〜、どんな力があるのか知らないけど、僕にかかれば簡単に倒せそうだよ)
実況者が褒めちぎり、観客に喝采が贈られた人物を思い出す。
明るい長髪を伸ばし、可憐な顔を見せる少女の姿。
(あぁ倒せる。いや倒さなければいけない。あんな奴が僕の上に存在している事が許せない)
成績が良く、端麗で、序列の称号を備えた姫路詩織。
それが彼には許せなかった。
彼は自分よりも上に立つ者達に対して、劣等感からの嫌悪感を抱く癖があった。
そしてスタジアムの喝采の嵐を見て、彼の嫌悪感は大きなものへと成長させていた。
(そうだ!この作戦が終わった後で、追加作戦としてあの女を倒しに行くのもいいかもな!そうだそうしよう!)
この作戦に加わった生徒は百人を超えている。その全勢力を持って詩織を倒そうと考えた。
(まずはみんなが納得する説明を考えなければね)
彼の中で新たな計画を構築し始める中で、一人の男が近づいて来た。
「なぁ、え〜と、リーダーでいいんだよな」
「ええ。みんなからそう呼ばれているので、そう呼んでもらっても構いませんよ。先輩」
リーダーが先輩と呼ぶのは、今回の作戦に唯一参加してくれた高等部生チームの一人。
身長が高く、先輩み溢れる雰囲気を持つ彼に対して、リーダーは礼儀を持った姿勢を見せずに、椅子に座ったまま軽く応じた。
「で、どうしたんですか?」
「今回の作戦なんだけどよ。まぁあれだ…忠告しに来た」
「忠告ですか?」
先輩は気難しそうな、苦虫を噛む様な顔で言い放つ。
「序列者が襲撃して来たら、即時にビルからの脱出命令を出せ。それを伝えに来た」
「脱出ですか?」
先輩の言葉に、リーダーは肩をすくめて薄笑いを浮かべる。
「襲撃して来ても返り討ちですよ。こっちは百人以上もいるんです。そして向こうは少数。逃げるなんてありえない」
一人の少女を倒すとしては、過剰戦力と言ってもいいほどの頭数がここにはあった。リーダーは余裕な顔を作りながら、椅子に深く体重を込めて、ホール全体を見回しながら言った。
「ここは完璧な要塞なんです。侵入経路は全て塞ぎ、見周りを建物内に巡回させている。例え侵入して来たとしても、すぐに撃ち倒しますよ」
「説得は無駄か…」
「説得される筋合いなんかありませんよ。僕の考えた作戦は完璧なんですからね」
余裕な態度を見せるリーダーに、先輩は溜息を吐き出しながら背を向けた。
「分かった。じゃあ俺たちのチームは序列者の襲撃時に消えさせてもらう。別にいいだろ。この要塞を作る為に手伝ってやったんだから」
出入り口を塞ぐ作業には、人体強化を使い慣れた先輩の力は大いに役に立っていた。作業時間が先輩の力によって大幅に短縮されていたのだ。
その結果を持って、先輩は軽い交渉を打ち付ける。
「俺たちはたったの三人だ。消えても文句は無いだろう」
「ええありませんよ。ご自由にどうぞ」
手を軽く振り、リーダーは再びドリンクを飲み始める。それを横目でひと見して、先輩は舞台から降り立った。
「高波、忠告の方はどうだった?」
先輩を高波と呼ぶのは、彼と同じチームとして参加したもう一人の高等部生。
「分かってるだろ雲馬……無理だった。完全に酔ってるよ」
「まぁ毎年の事だからね。身を以て感じないと分かってもらえないか」
「そうだなぁ」
何かを思い出したかの様に、高波は天井を仰ぎ見た。
「今年は何人が」
「辞めるんだろうね」
言葉を繋ぎ合わせたのは、雲馬と呼ばれる男。彼も高波が思い出した過去を知っていたのだ。それは暗く恐ろしい記憶であり、暗黙の恒例と呼ばれる何か。
「まぁ先輩としての忠告も済んだんだし、もうここから出ないか?正直危険だぜ、ここ」
「そうしたいけどよ。やっぱり心配なんだわ」
そう言って、高波はホールを見回した。そこには入学したての新入生が大勢おり、彼は内心で心配を抱いていたのだ。
「少しでも助けてやれねぇかな〜」
それが高波がここにいる理由だった。だが、その願いはもう叶い難いと知っていた。
「無理無理、今の指揮者はアイツだろ」
舞台で堂々と座り、ドリンクを飲み、薄笑いを浮かべているリーダーを見て、雲馬は諦めた顔を作る。
「ああいうタイプは、自分が上に立たないと納得しないタイプだ。お前が指揮したら色々と面倒だぜ」
「だよなぁ〜〜本当にそうだよなぁ〜〜」
長い溜息を吐き出しながら、高波は頭を悩ませた。
そんな高波の肩を叩き、苦悩を知っていると伝える雲馬。
「とりあえず、襲撃が来れば逃げようぜ。正直、序列者とは戦いたくねぇよ」
「分かってる。だから退散の約束を取り付けてきた。襲撃があればすぐに消えるぞ」
高波が得た交渉の結果に、雲馬は軽く吐息を吐き出して、身の安全が高まった事に安堵していた。
その最中、高波はある事に気がついた。
「新入りは?」
「あ、ああ〜〜実は…」
それはチームを組んだもう一人の仲間の事である。
安堵から打って変わって、雲馬は舞台の上に座るリーダーを見上げて言い放つ。
「アイツの取り巻きに言われてね。巡回役の一人として仕事させられてるよ」
「チッ」
舌打ちを鳴らして、高波は再び舞台に登って、リーダーと相対した。
「うちの仲間を勝手に使うのはやめてくれないか」
「この場の指揮者は僕なんだ。別に使っても構わないだろう」
「……はぁ」
コイツは駄目だ。高波はそう思いながら溜息を吐き出して、右耳の通信機を操作した。
「聞こえるか山本、今どこにいる?」
『はい、今は巡回メンバーから離れて、トイレにいますけど』
「すぐに帰ってこい」
『え……分かりました』
高波が山本と呼ぶ彼は、突然の指示に疑問を浮かべながらも了承する。
だが、その指示に納得しない者がいた。
「何やってるんですか先輩。勝手に指示を出さないでくださいよ」
「アイツは俺のチームであり、そのチームのリーダーは俺だ。お前に俺の仲間を預けられない」
「チッ」
苛立った顔をするリーダーは、自分のインカムに手を置き、仲間に通信を行った。
「おい、そっちに山本って奴がいるだろ。帰ろうとすると思うが、引き止めて巡回を続行しろ」
『は、はい。分かりました』
「おい、勝手に」
「うるさいっ、僕の指示に口出しするな」
高波の行動に癇に障ったのか、リーダーは高波に対しての態度を一変させていた。友好的な態度ではなく、単なる邪魔者を見るものへと。
そんなリーダーに今度こそ、本当の意味での呆れた表情を作る高波。
「最後の忠告だ」
だが、それでも救いたいと願う。
先輩として、最後に言うのだ。
「お前は序列者を……姫路詩織の恐ろしさを知らない。運が悪ければ──」
(あぁ、広樹ぃ)
山本一夜は用を足し終わり、洗面所の前に立っていた。
顔に赤みを作る彼が今考えているのは、『荻野広樹』と言う人物である。
(あぁ、広樹が参加してるぅ〜〜いい〜〜いいよぉ〜〜!)
一夜は戦闘学に『転校してきた生徒』だった。そして、その彼が以前まで通っていた高校は、広樹が通っていた高校なのである。
つまり、同郷と差し支えない関係だったのだ。
そして彼がどうして広樹を強く、熱のこもった感情を抱いているのか。
それは、
(はぁはぁ〜堪らないぃぃぃ〜!あの顔!あの体格!あの雰囲気!あの引き締まったお尻!あぁ〜〜全てを味わいたいぃ〜〜!)
山本一夜は『同性愛者』だった。
彼は広樹を知っていたのだ。前の学校では教室こそは違ったが、体育の時間では合同だった。その時にじっくり、じんわり、まじまじ、はぁはぁ、ぁぁぁあっ〜〜────と、とにかく見ていた。
一夜の好みの対象が、荻野広樹に全て当てはまっていた。
性別の垣根を捨てて、彼は広樹を愛おしく思っていた。
だが、この世は同性愛者に厳しい。
偏愛、それが同性愛者に言われる言葉なのである。
だから一夜は何もしなかった。体育の授業を除いては、誰にも怪しまれないよう、陰ながら横目で広樹を見ていた。
そんな環境にいてきたが、突然の邪魔が入った。
戦闘力の発見、それが彼の生活習慣を大きく変えた。
体育で活躍を見せていた彼は、能力を偶発的に使っていた。それを戦闘学の関係者に知られ、親と学校側の強い希望もあり、元の学校を辞める羽目になった。
それはつまり、味わいたかった男とのお別れだったのだ。
だが、
偶然か、はたまた運命か。
広樹は戦闘学に転校してきた。
そう、一夜が一番会いたがっていた広樹が同じ環境に身を置いてきたのだ。
また教室は違ってしまったが、それでも同じ校舎にいる事には変わりはない。
前の学校の時は陰から見るだけで我慢してきたが、その自重心は過去の別れによって消えていた。
同郷のよしみとして、会話のネタはたくさんある。
だが、
そのチャンスは行動する前に消えてしまった。
最初の登校日以降、広樹が学校に来る事が無くなったのだ。
一夜が広樹に始めて接触する事ができる唯一の場所。そこに広樹は現れなくなった。
多重能力者?姫路詩織に勝った?序列者と同じ実力?
周りが広樹の噂をしていたが、一夜にとっては関係ない。
広樹がいない事が、彼の心に大きな傷をもたらしていたのだ。
泣いた。愛おしい広樹に会える機会を失った彼は、歯を食いしばって泣いた。
(次こそぉ〜〜次こそはぁ〜〜)
だから強く思う。広樹が出場した今回の舞台、その巡り合わせは一夜にとってチャンスだった。
(僕の能力、『幸運向上』があれば────)
山本一夜が持つ『幸運向上』は、『自分の願望を叶える過程に対して、強化影響を与える能力』だった。
また『幸運向上』は、発見の前例がある能力で、研究の結果からこの能力は、持ち主によって発動条件が一部異なりがある。
山本一夜の『幸運向上』の場合は、『自分から半径十メートルまでにしか効果は発揮されない』。
だが、一夜にとっては十分だった。
願望の過程を強化する能力。
十メートルまで近づけば良いだけの能力。
それはつまり、
(足を滑らせ押し倒し、偶然にも広樹のワイシャツを破裂!その引き締まった胸板に顔を突っ込んで接吻!)
漫画にあるような『主人公のラッキースケベ』。
それが一夜の狙いだった。
(大丈夫だ。僕ならやれる!あわよくば広樹のズボンも破裂して、そのパンツの中に顔を突っ込んで接吻もやれる!)
欲望と性欲の獣と化した一夜の精神は、その妄想に興奮を白熱させる。
遠くない未来を思い描くその瞳には、濁った色の薔薇を幻想した。
この日に始まるのだ。
山本一夜による『ラッキースケベの物語』。
広樹の下着や胸板、ヌードに近いエロい姿。
謎の光の屈折や神の悪戯によって、広樹の重要部分が隠れたシーンが満載する物語。
それが今、この日から始まる。
(待ってろよ広樹!お前の尻を僕色に染め尽す!さぁ、新世界はもうすぐそこだ!)
全国の腐女子の願いを体現した山本一夜。
彼は明るい希望の景色に向かって歩き始め『ブツゥ』────光が消失する。
「ん?停電?」
明るかった空間は暗闇に包まれ、一夜の瞳には何も映らない。
トイレの外で待っている巡回仲間の慌てる声が耳に届くという事は、廊下の明かりも停電したという事だろう。
「スマホで」
明かりを作り出そうと、一夜はポケットから端末を取り出そうと手を伸ばす。
だが、今回彼が着ている服は戦闘用に作られた服であり、その構造上、普段のポケットとは違いがあった。
チャックとボタンが付いた二重ポケット。電子機器を水没から守る為に考えられたその構造は、暗闇にいる一夜に難題を突きつけていた。
「っ、っ、開けられないっ」
手探りで試みるが、一向に開けらない。
「もう出るか…」
開けられなかった末が、外にいる仲間に頼るという考えだった。
ポケットを開けるのは難しかったが、部屋の外に出る事ならば、壁を手探りで触りながらなら行ける。
その考えの元、一夜はまず洗面台に手をついた────そして気づく。
スゥ────スゥ────
スゥ────スゥ────
耳に薄く聞こえたのは、一定のリズムがある空気の音。
それはまるで、何かを通して呼吸をしている何かに思えた。
「ッ!?」
視界に赤暗い靄の様な光が見える。
それは自分の正面。
何かの光がそこに生まれていたのだ。
────だがおかしい
今自分がいる正面には、清潔が保たれていた洗面台があった。
そして、その靄が見えるのは、自分の視線の高さ。
そこには鏡しかなかった筈なのだ。
そして見る。その靄を。
そして気づく。何かの影を。
「…………俺?」
その赤暗い光の靄は薄くだが、明かりと同じ役割を果たしていた様で、鏡に自分の頭部を映し出してた。
つまり、その靄は己の背後、後頭部の奥に存在し、それを鏡によって反射していたのだと分かった。
(非常警報装置……?)
学校の廊下などによくある、非常ベルがすぐに鳴らせる装置。
トイレにそれがあり、自分の頭部に邪魔され、溢れ余った光が鏡に反射。
そう言う事だと、頭の中で推理した。
────だが待て
今でも聞こえ続ける、一定のリズムがある空気の音はどうなる?
それが聞こえるのは背後、鏡の反対向きだった。
でも、そこには非常警報装置がある。
────つまり、どう言う事だ?
では、この音は非常警報装置からの音なのか。
そんな音がそこから漏れるのか。
疑問を浮かべながら、一夜はゆっくりと背後に振り返り、
スゥ────スゥ────
スゥ────スゥ────
────漆黒の頭蓋
頭部全体を覆っている鉄製の黒マスク。
赤い瞳を光らせ、口の部分がガスマスクの形をしている。
その瞳が発する僅かな光が、その両手に握られているものを朧げに見せる。
そこには、紅い模様が彫られた二丁の黒い銃が……
「アァッ♂ーーーーーーーーーーーー!!」
鳴り響いたのは、雄鴨が締められた声。
魂が乗ったその悲鳴は、これから訪れる悪夢の開幕を示した。
読んでいただきありがとうございます!
最後の黒いマスクのイメージですが、『リ○ル鬼○っこ2』に出てくる、黒い被り物のイメージです!
今回は結構前にあった伏線を回収しました!
山本一夜さん!
第2話に初めて会話の内容に出てきたキャラです!それからは、滅多に名前が出ないキャラになりましたが、今回はヤバイ登場と幕閉じになりました。
彼の思考とラストが吐き気を起こすかもと思い、注意をしました。本当にすいません!
彼の最後がどうなったのか!ぜひ!続きを読んで確認してもらえたら嬉しいです!
♂を使っても良いかの迷いましたが、もし注意が来たら即時に消すつもりです!
あくまで彼のキャラ悲鳴イメージを想像して、♂を使ったので、深い意味はないです!
今後の展開に登場させるかは未定ですが、登場させるなら頑張って書きます!
そして挿絵です!
第10話、店長(この嬢ちゃんやべぇ)
ラーメン屋で詩織が『超・昇天激死辛ラーメン』を食べてるシーンです!
カウンターの奥では、『店長(この嬢ちゃんやべぇ)』となっています!
第27話、鈴子「私は……」
広樹がカーテンを開けようとして、それを鈴子が服を引っ張って止めたシーンです!
下手だったらごめんなさい!
顔を描くほどの力はないので、後ろ姿になっています!本当にすいません!
あくまで軽いイメージとして考えていただけると嬉しいです!
今後も描いていくかは未定ですが、もしまた貼り付けた際には、軽いイメージとして見てほしいです!
どうかこれからもよろしくお願いします!