第75話、天乃「首がもげるかと思った」灯花「……」天乃「残念そうな顔だね灯花ちゃん」
書きあがりましたので投稿します!
誤字報告を送ってくださった皆様には、本当にありがとうございます!
今日、全ての誤字を修正しました!
そして文章の書き方アドバイスも頂いたので、そこも修正しました!
本当にありがとうございます!
これからも面白い作品を目指して投稿頑張っていきます!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
「天乃!君は自分が何をしたのか分かっているのか!」
閉まる扉を老年男の声質が叩く。その声に静観する好青年は、口端を吊り上げながらパソコンを操作していた。
「あ、あの、天乃さん」
「開けちゃダメだよ森子ちゃん」
「は、はぁ」
天乃は森子に注意を施して、操作していた手を止める。
ようやくと、天乃は扉に視線を向けた。
「校長、こんな時に何を言えばいいか、僕なりに考えたんだけど」
椅子から立ち上がり、扉の目の前で、余裕な顔を浮かべて言い放つ。
「反省はしてる。でも後悔はしてブヴェバァァ!?」
「いいのかい?それが最後の言葉で?」
「扉を壊すのは反則だよ!?」
吹き飛んだ扉が天乃に直撃した。脳を揺らした好青年の胸ぐらを、校長は即座に掴み取って、目線を合わせる。
「どうして広樹くんと鈴子くんが参加しているんだ!それも同じチームでの参加だ!」
眉を強張らせる校長は、怒鳴り声で聴取する。今回の件、広樹と鈴子の予想外の参加に怒りをあらわにしていた。
そして、その原因が誰にあるのか。二人の紹介を行った人物しかいない。
「君はいったい何をしたんだ!」
天乃は苦しい顔をしながら、懐からホチキス留めされた紙束を差し出す。
それを見た校長は天乃から手を離し、その紙束に目を通し始めた。
「…………どういう事だい?広樹くんと鈴子くんが知り合っていた…」
それは天乃が用意した報告書。そこには天乃が知り、仕組んだ全ての内容が書かれていた。
「ここに書いてある事は偽り無く事実だよ。あの二人は仲良く街中で遊んでいた。写真も載せてあるだろう」
「鈴子くんが外出……喜ばしい事だが、どうして広樹くんと」
「僕の方が知りたいよ」
それは天乃も知らない事だった。鈴子の活動履歴を漁ったが、広樹に関する記録は一切存在しない。特に鈴子の場合は外出はほとんどなく、調べようが無い。
「でも、あの二人は知り合っていた。鈴子ちゃんが自宅から出るくらいだから、たぶん、かなり深い仲なんじゃないかな」
「…………っ、オーストラリア!?」
用紙の末に書かれている、鈴子と広樹の目的に、校長は目を大きく開いた。
「なんて事をしてくれたんだい君は!?」
「いやいや、イベントの賞品なんだから文句を言われる筋合いは無いし〜、それに序列者の参加は校長も望んでいただろう」
「望んでいたのは条件を飲んでくれる序列者だけだ!それに鈴子くんと広樹くんを国外に出す事にも問題がある!君だって知っているだろう!」
その旅行券は本来、序列者に用意した賞品ではなかった。いや、序列者に与えてはいけない賞品である。
プロモーションは『ある目的の為に』、新入生を大勢集めなければいけないイベントだった。その為、誰もが興味惹かれる賞品を用意した。
だが、その中でも国外の旅行券は、詩織も受け入れている、序列者の手に渡ってはいけない暗黙があった。
それは序列者の能力的価値の大きさ故である。
「このままでは」
「オーストラリアの支部長に色々と頼むのは?」
「報告会で嫌な顔を向けられていた」
「じゃあ連絡無し…いや、秘密裏に行くしかないね」
日本支部の序列者が、旅行目的でオーストラリアに上陸。
あり得ない。馬鹿だ。頭がイッてる。
知られれば、全支部が挙ってそう言うだろう。
序列者の協力を得た研究は膨大な価値があった。
特に『内守谷鈴子の能力』の場合は、世界の研究所が涎を垂らすほどの価値を持っている。
それを日本の目の届かない場所に送り出すのだ。完全な愚行。
「向こうの支部長に知られたら」
「ちょっかい出して来るかもね。いや、方法を尽くせば──」
天乃の中で、一つの可能性が閃いた。
「──広樹くんと鈴子ちゃんをオーストラリア支部に取られちゃうかブヴェバァ!?」
「そうだよ。日本支部の監督不行き届きでね。あっちが何かを言えば、そうなる可能性は高い」
校長は右腕でラリアットをかまし、屍となった天乃を背にして言う。
「色々と備えなければ……」
そう言い残し、校長は実況部屋から退出した。
後に残ったのは、状況についていけず目を白黒させる森子と、大の字で倒れている天乃である。
「痛たたぁ、やっぱり効くねぇ〜」
「あ、天乃さん?」
「ごめんね〜森子ちゃん。変なところを見せちゃったね」
「い、いえ。それにしても校長ってああいう人だったんですね。もうちょっと厳格そうな雰囲気があったんですが……」
「アレが本来の校長だよ。普段は隠してるけどね」
天乃は立ち上がり、服に付いた埃を払いながら、薄笑いを浮かべて言う。
「結構珍しいんだよ。『あんな』感じの支部長は」
校長の何か語りながら、天乃は壊された扉を壁に立て掛ける。
そしてようやくと、実況者のマイクに電源を入れて、本来の仕事に向き合う姿勢をとった。
『はいお待たせ〜!では、今はどんな状況かな〜と』
『そうですね……うん?』
『どうしたんだい?』
森子が出した疑問の声に、天乃は反応しながら森子が見つめるモニターに視線を飛ばした。
実況席に設置されたモニターは何台もあり、迷彩ドローンから送られた映像音声データが、実況席を含めた特別な関係施設に届く仕組みとなっていた。
その送られてきた映像の中で、スタジアムなどのモニターに映し出す映像を選別して、観戦者に届けるのだ。
数多くあるドローンから数体指定して、部屋にある限られたモニターに映像を映し出す。
その中で、森子が今選んだドローンの映像には、驚くべき光景があった。
『これは……そうか、同盟を組んだんだね』
そこに映っていたのは、フィールドに存在する一際大きな高層ビル。
その内部で数十組のチームが出入り口を机や棚など、様々な重い物で塞いでいた。
『考えたね』
『考えたとは?』
天乃の言葉に、また新たな疑問を浮かべる森子は質問を投げかける。それに天乃は簡単な説明に入った。
『今回はバトルロワイヤル戦だ。だから、外のチームが減るまで、ビルの中で立てこもる気なんだよ』
『えっ、でも後にはお互いが敵になるんですよ!そんな事が出来るのでしょうか?』
誰もが考える正論を口にする森子。モニターに映ったチームは十を超えていた。それは賞品受賞対象チーム数を上回る。
『こんな早くに、それも裏切られる可能性もあるのに共闘なんて』
『それがイベント開始前に考えていた作戦だったらどうする?』
『っ!?』
天乃の一言に森子は瞳を大きく開く。今回の光景は事前に準備していた行動が成したのだと。
『賞品の中には『山分け出来る種類』もあるんだ。誰かが言葉巧みに説得して作り上げた作戦だね』
『では、今回の優勝候補はあのビルの中にいるチームになるのでしょうか?』
『ん?……それはどうかな』
天乃はモニターを素早く操作して、一人の人物を見つけ出す。
会場のモニターに映さず、自分の手前にあるモニターのみにそれを映し出し、天乃はそれを見ながら両手を絡ませる。
黒色と赤模様細工によって、重く禍々しさを纏った双方の黒銃。
それを両手に持った一人の少女に、天乃は小さく呟いた。
「さぁ、序列者──」
────地獄を見させてくれ
姫路詩織は、序列者として課せられた任務を開始する。
読んでくれてありがとうございます!
早めの投稿を目指します!




