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第74話、鈴子「大丈夫だよ。だって私がいるから」

書きあがりましたので投稿します!

これからもどうかよろしくお願いします!

なんで

私も序列者なのに

どうして広樹は詩織アレを褒めるの?


────分かってる


私がいけないんだ

薄暗い部屋で何も変わろうとしなかった

自分に嘘をつき続けた私が悪いんだ


────いいなぁ


広樹に褒められる詩織アレは何?

その笑顔を作った詩織アレは何?


────ああ、私よりも下の人だったね


うん

序列者は強くてカッコイイよね

みんなから憧れられるよな

広樹が笑顔になるんだもんね


────親切?色々教えた?時間をいてくれた?尽くしてくれた?


何をやってるの?

そんな時間がどこにあるの?

私が断った仕事はどうした?

誰かを監視する仕事があったよね?

仕事をほうって何してるの?

その誰かと一緒にいればいいじゃん


『さすがは戦闘学が誇る序列十位、みんなの憧れる姫路詩織だな』


みんなも憧れる…

さすがは戦闘学が誇る序列十位…


────ああ、大丈夫。分かったよ。


私にもあったよ

そうだ、広樹にはまだ教えてなかったね

うん分かった、ここで教えよう

証拠ならあるよ

これから用意するから見ててね

詩織アレを証拠にするね


詩織アレには仕事に勤しむ様に伝えよう


広樹に時間をいてないで、学校に頼まれた誰かの監視とやらに専念してもらおう


今の広樹には『序列九位わたし』がいるから


詩織アレ』よりも強い『鈴子わたし』がいるんだから


だからね────































────私を褒めてよ

























スタジアムは動揺に包まれていた。


『えっ、あっ、天乃さんっ!?』


『なんだい森子ちゃん』


実況席には笑顔を見せる天乃と、森子と呼ばれる少女がいた。

森子は動揺した表情で天乃に向き、状況を飲み込もうと質問する。


『あのっ、あれはっ、いったいどういうっ』


『森子ちゃん、一度冷静になろう』


微汗を頬に流す森子に、天乃は薄い笑みを向ける。

だが、今の状況で冷静になるのは難しいと、誰もが思うだろう。


見下ろせば見えるのだ。そこら中のモニターに映し出されているのだ。

スタジアムの中心に、参加者が集う場所に。


『序列九位』と『規格外の存在』が一緒にいるのだから。

それは誰もが予想だにしなかった光景なのだから。


『だってっ、こんなっ』


『観客に楽しんでもらう。それが僕の仕事なんだ』


呼吸を乱す森子に、天乃は笑顔でそう言い放ち、視線を少女からスタジアムへと移し変える。


『では!参加者が全員揃ったところで、これから戦場ステージに移動してもらおう!…っと、言いたいところだけど』


スタジアムから高い位置にある実況席で、動揺が広がる空間を見下ろす天乃は、さらに盛り上がりを作ろうと奔走する。


『最後の登場な訳だし、何かコメントを貰おうかな!』


そして天乃は「灯花ちゃん」と小さく呟いた。















んっ……マイク?


突然目の前に薄く姿を現したマイク。それに目を白黒させる中、受け取れとマイクが空中で上下に揺れ続ける。


「お、お願いします…」


小さな声が耳に入る。それは先ほどまで一緒にいた黒髪の少女の声だった。

姿が見えない事に疑問を覚えたが、周囲の沈黙に思考が麻痺し、どうすればと迷う末に、とりあえずとマイクを受け取る。

そして、


「鈴子……」


マイクを渡そうと横目で隣を見る。

だが、そこにいる鈴子は心ここに在らずと、声に反応する素振そぶりを見せなかった。

仕方なく、自分の胸元にマイクを持ち上げる。


「…………」


「「「…………」」」


『『…………』』


…………ごめん、本当に何を言えばいいの?


実況者の天乃がコメントを促してから、異様な沈黙が空間に流れていた。


時間が凍った様に。


そしてそれは、実況席に座る好青年がぶち壊す。

天乃は苦笑いになりながら、広樹の言葉を引っ張り出そうと言葉の種を送った。


『じゃあさ!何か意気込みとか!今回の参加理由でもいいよ!一言どうぞ!』


天乃の言った言葉を聞き取り、とりあえずと息を吸い込んで握るマイクに力を入れた。


『……』


恥ずかしい顔が出ない様、出来る限り感情を顔に出さず、平坦な声を意識する。


まずは言う事は…


『……コアラ』


(((コアラっ!?)))


ほぼ全員が心を一つにする。全員がその一言によってある動物を心に思い浮かべた。


ごめんなさい!本当に何も思いつかないんだ!

え、何を言えばいいの!

何でコアラって言っちゃったの!

どうして鈴子が言っていた『オーストラリアに行きたい理由』が思い浮かんじゃったの!


『は、好きかな?』


「「「…………」」」


『『…………』』


恥ずかしさのあまりに死にたくなった。

爆発しない様に感情を消し去る事だけに集中する事がやっとだった。


静まり返ったスタジアム。

呟いてから何秒経ったか忘れかけた頃、参加者が密集する中から細腕が上がった


「す、好きです…」


肩を震わせながら一言答える少女がいた。短い髪をポニーテールで束ねた彼女の顔は、今にも爆発しそうなまでに赤く、どうして返答したのかが不思議だった。


そして広樹は、


『……可愛いよな』


「は、はい」


『以上だ』


「へっ?…ぁ、はい」


(((えっ!?)))


動揺した表情がそこらに見えるが、今はそんなの関係なかった。とにかく幕を閉じたかった。


問答に付き合ってくれた少女も、恥ずかしがりながら納得の声を出して、参加者の中に息を潜めた。


もういいだろ。

これでいいだろう。

だって恥ずかしい。

だから終わり。もう終わり。終わり以外認めない。


『……うん!じゃあ戦場ステージに移動開始だぁ!』


(((えっ!?)))


天乃の幕閉じに、またも聞く者達の心が一つになった。




























































────ソコハ私ノ場所バショナノニ

いよいよ開始です!

ぜひ!次回も読みに来てください!

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