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第67話、鈴子「眠いけどもう少し……」

書きあがりました!

ぜひ読んで欲しいです!


それと2つほど報告があります!


1つ目は、投稿なのですが、通常3日以内に1話を更新しようと思います!最近はそれを目標に書いていたので、これからも維持していくように頑張ります!

2つ目は、色々と考えた結果、55話の文章を少し修正しようと考えました。内容が変わらないように書き直すつもりです。


これからもよろしくお願いします!

感想、修正、一言など、コメントをお待ちしております!

「鈴子っ、今はどうしても隠れなきゃ行けなかったんだっ、だから」


「分かったっ!了解っ!大丈夫っ!問題ないっ!私はムゥゥ!?」


しゃがみ込んでいた身体を立たせ、鈴子は真っ赤にした顔を見せる。


だが、その響かせる声に反応して、咄嗟とっさに両手で口を塞いでしまった。


「すまんっ、本当に静かにしてくれっ、俺の生命に関わるかもしれないんだっ」


「ムゥ!?…………ン」


驚きながらも、耳に聞こえた深刻そうな声に状況を飲み込み、少女は首を縦に振った。


その反応にそっと手を離す。

見えたのは、顔に赤みを残す少女の顔。


それに何か罪意識が芽生えるが、とにかく説明をしなければと、伝えやすい言葉を考え出す。


「鈴子、冷静に聞いてくれ。今この店には俺が会いたくない人間がいるんだ」


「……会いたくない?もしかして、前に言ってた?」


「前?」


「広樹の悪夢…敵」


鈴子の重ねた単語。一度疑問が浮かぶが、すぐにその記憶を思い出した。

それは以前に自分が詩織に思っていた悪感情。

だが、今はその感情は薄く曖昧なものになっていた。


「確かに合ってる…でも」


「広樹、そこを退いて」


泳いだ声で答える中、鈴子は瞳の色を変えて黒々しい声を紡ぐ。


あれ?鈴子ってこんな声だったっけ…


「私が広樹の目を覚ましてあげる」


「な、何から?……」


「悪夢から……だから退いて」


怖いと思ってしまった。

この感覚はどこかで感じた事がある。

生理現象に近いそれは、走馬灯の様に記憶を駆け走るが、一向に思い出せない。


「退かないと…広樹が動かないと何も変わらないよ」


動かなければ始まらない、みたいな聞いた事がある名言を放つ。

それに広樹は冷や汗を頬に流す。

理由は分からない。だが分かる。目の前の少女をここから出したら確実にマズイ事が起こる予感があった。


広樹は鈴子の両肩に両手を乗せて、真剣な表情と声を作る。


「鈴子、これは俺の」


「いいから退いて」


聞く耳を持っていらっしゃらない!?

それに力強チカラつよっ!?


鈴子を押さえた両手が着実に下がり始める。バネを押しつぶす様に、広樹の関節が段々と折れ曲がっていく。


「私が広樹の悪夢を終わらせる。ここからまた始めよう」


名言が量産される。ゲームをやり続けた結果なのか、鈴子の言い続ける言葉は胸を打つものだった。


ーーゲームの中でだったらの話だが。


とにかく何か、少女を止める考えを。

そして考えつく。


「一つなんでもお願いを聞く。なんだったら一日中ゲームに付き合ってやる。だから言う事を聞いてくれっ」


「…………本当になんでも?」


押す力を弱め、ころっと意識転換した少女。


……あれ、少し不安になったよ?


……ヤバくないか?


……いやヤバイ!?引きこもりゲーマーの鈴子だぞ!条件を付けなければ何を言われるか分からない!

最低限、かつ鈴子を止められる範囲で。


「…俺にがいする頼み以外だったら」


「……二十三時間ぶっ通しでGKギルドキル。それは広樹に害?」


「ギルド全てに害だ」


とんでもない願いにツッコミを飛ばす。


ギルドを丸ごと潰しに行くと言う、誰もが触れない暗黙の了解を破れと頼んで来た。


てか……鈴子コイツの戦い方に違和感が……あ。


「……もしかして、三ヶ月前にアカウント設定を変えたか?もしくは二つアカウントを持っているとか」


「……」


「あのくるったぼっちプレイヤーはお前かっ」


「プレイヤー違いだよ」


「確実にお前だっ、戦い方で分かったっ」


もっと早くに気づくべきだった。

鈴子本人の印象が強過ぎて、そのプレイヤーに結び付かなかった。


もうお前だろ!と瞳に宿しながら、色々と混乱し始める。


「思考が麻痺してきた…なんの話をしてたっけ?」


「広樹が私にこき使われる、これからの人生設計についての話だよ」


絶対に違う。改めて考えを整理し、ようやく抱えていた問題に思考が着地した。

そして決める。


GKギルドキルでいいから、とにかく頼む」


その言葉に鈴子は首を縦に振り、スマホを開いて何かを調べ始めた。


ギルド情報の画面なんて見えないし、分かりません。


それよりも、


「ここからどうするか…」


言いながら閉められたカーテンをつまみ、端から覗く。


……………………。


…………あの隣の娘、こっちを指差してないか?


そして、三人の顔がこちらに振り向こうとした瞬間、サッとカーテンから手を離す。


…………ヤバくないか?

え、来ないよね?

来ないって誰か言って!?


「こっこ来る〜こっこ来る〜」


何を口ずさんでるのこの娘は!?


開いたステージ地図にピンを建てながらそんなフラグっぽい歌詞を歌わないでぇえ!

ギルドが来る前に、闇がこっちに向かって来るかもだからね!?


どうするっ、見るかっ、そうっ一瞬だけっ。


チラッ…『しおりが近づいて来る』


「こっこ来る〜こっこ来る〜」


イイイイヤァァアアアアア!?ーーーー



ーーごめん灯花ちゃん

ーーえ?



「「っ!?」」


視界にあった光景が暗闇に染まる。

鈴子の出したスマホが視界に唯一残された光だった。


「これは…」


「停電…」


お互いの考えが合致する中、鈴子は冷静にスマホの明かりを強くした。

だが、すぐにその行為を広樹は止める。


「広樹?」


「ここから出るぞ」


鈴子が疑問の声を上げるが、広樹は聞く耳を持たずに、少女のスマホの電源を落とす。


「今しかないんだ」


「真っ暗は危な」


「お願いをもう一つ追加」


鈴子はスマホをポケットにしまった。


早過ぎる理解に喜びの気持ちもあるが、逆に後が怖い。


だが、それより先に考える事があった。


「やっぱり暗くて見えづらいな」


カーテンを摘んで外を見る。

辺りは非常灯と僅かな光を除いて真っ暗。物に接触せずに進むのは至難だった。


そう思ってる時、服が引っ張られる。


「私についてきて」


言われて手渡されたのは靴だった。

視界を失った状況下でなんとか靴を履き、そのまま鈴子に手を繋がれる。


「こっち」


「お、おう」


鈴子に先導されて歩く。

気づけば、周囲には小さな光がいくつも浮かんでいた。大方、客達が出した端末の光だろうと思う。


だが、それでも鈴子の迷いない案内は、その光だけでは難しいのではないかと疑問を持った。


「一度見た地形は覚えておく事…これ常識」


「人にぶつからないのは?」


「真っ暗って言っても、完全な黒じゃない。僅かな色の違いを見比べて、通り道の色のみを判別。後はそこを通ればいい」


一瞬、手を繋いでいる相手が誰だか分からなくなった。


え、鈴子ってこんなに出来る娘だったの?


今までの鈴子に対する印象が崩壊しかけるが、すぐにそれは収まった。

鈴子本人の言葉によって。


「広樹も私とゲームをすれば、二十三時間で身につくよ」


あ、これは別の意味で崩壊してたわ。

主に鈴子の常人性が…
















「何をやってるんですか!?」


「戻ったからいいじゃないか」


電力が復帰して数分、天乃と灯花は人影の無い小さな広場にいた。


「ショッピングモールが混乱しましたよ!貴方の起こした停電によって!」


怒声を叩きつけると共に、灯花は鞘に収めたれた刀を叩きつける。

それに天乃はわざと当たり、反省した瞳で苦笑いを浮かべた。


「これで勘弁してくれないか?あれは仕方なかったんだよ」


「それでも停電はやり過ぎです!原因の調査が始まる前に報告書を提出しなければいけないんですよ!」


叩きつける、叩きつける、叩きつける。

天乃はそれを身体で受け止めて、笑みを絶やさず、後頭部を掻いた。


「報告書の用意と謝罪はちゃんとするよ。物を壊した訳じゃないから、反省文程度で済めばいいけどね」


天乃は後頭部から手を下ろし、叩かれた胴体に触れた。

それを灯花はジト目で見つめる。


「『物を壊さず』に停電にした事だけは褒めてあげます。もし壊していたら、抜刀はまぬがれていませんでしたよ」


「九死に一生を得たんだね」


そう言いながら、天乃は次の行動に出るために、灯花に背を向けて歩き出す。


「それじゃあ、あの二人を探そうか」

これからもよろしくお願いします!

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