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第5話、透視能力者「全国の少年たちが欲しいと思う能力はなんだ!やっぱりコレでしょう!」

できましたーー!

おかしなところがあったらごめんなさい!

頑張りましたー!


5月31日に間違った部分を見つけたので修正しました!


6月17日に助言をもらい、間違った部分を修正しました!

「これを」


「ちょっといいかしら?」


宝くじのある右手を内ポケットから取り出そうとしたとき、背後から声が聞こえてきた。


「……」


あれ、銀行員に話しがあるのなら早くしてくれないかな?


ずっと俺を見ててもしょうがないと思うよ。


「早くしてくれないか?」


「ッ!?」


急かすと女の子は一歩下がって身構えたのだが、それってどういうことなの?











(いったい何者なの!?)


詩織が声をかけた瞬間から、彼は目を一度もそらさなかった。


いえ、分析されていた。


そして、分析が済んだのか彼は「早くしてくれないか?」と言ってきた。


この余裕。彼は先手を譲ると告げたのだ。おかしすぎる!


彼から一歩下がって身構えた。


彼との間には三歩も離れていない。本当の至近距離。

先手を握らせれば、確実に攻撃が入る。どうして先手を譲ったのだ。


本当なら彼にアクションを起こさせないように最大限まで殺気と警戒を隠して近づき、突然のアプローチにより、油断させ、戦闘力による人体強化、掴んで銀行員から距離を切り離すつもりだった。


だが彼は油断どころか冷静に分析したのだ。


(まさかっ!?)


いや、利用されたのだ。

今の状況なんだ!彼のすぐ隣には銀行員、そしてもう片方には私、彼は今だに右手で掴んでいる武器を隠している。


先手とはなんだ。すでに先手を打っていたのは彼ではないか!


詩織が攻撃すれば銀行員が巻き添えになってしまう。


即座に彼を彼女から切り離すつもりが、逆に何もできず、私を目の前に出させたのだ。


(もう、私からは何もできないっ…)
















微妙な雰囲気が広樹と彼女の間で流れている。


何故か銀行員は無言、どうすればいいのかわからない。


(俺が話しかけた瞬間、なぜか距離を置かれたし、もう一度声をかける勇気なんて俺にはないんだけど…)


目の前にある茶髪の少女を見続けながら思う。


(いや、彼女が俺を見ているということは、俺に声をかけてきたのか?それなら辻褄が合う。でも俺は彼女を知らない。なんで声をかけてきたんだ……っ!まさか!)


広樹はあることに気がついて、右手に握る宝くじをさらに強く握りしめた。


(宝くじの存在か!?いや、ありえない!どうやったら俺が宝くじを持っていると分かるんだ!?)


彼女の目的は自分が持っている宝くじと判断した広樹は内心で彼女への警戒レベルを上げた。心の中にいる欲望という名の広樹が彼女を強く睨みつける。


気づかれるはずがない。気づいたとしても、どうしてこのタイミングで近づいた。分からない!


いや、違う!彼女は脅している!『この場で換金した金を私に渡さないと、この場で当選したこと大声で叫び、周知してやる』と。


換金直前で近づいてきたのは、油断させて判断能力を落とすため。


後日、住所を調べて連絡していれば、考える時間を与えることになる。だがこの場でなら、誤魔化すことも、考える時間もない。完全な計算だ。


(クッ!……どうすればいい!……)


広樹は考える。この状況からの打開を。


彼女はどうして宝くじの存在に気がついた。

・誰にも教えてない。


じゃあなんで声をかけてきた。

・宝くじ以外の理由がない。


彼女とは初対面だ。

・彼女は俺のことを知らない。


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……


状況を整理した広樹は一つの打開策を導き出し、これから行うことのために精神統一を開始した。













(マズイ!マズイ!マズイ!)


彼は突然殺気を放ってきた。先ほどまでの静けさが嘘のように思える。


(どうして!どうしていきなり!)


冷静な判断ができていなかった。彼の放つ殺気が、睨みつける眼光が、彼の右手から聞こえた強く握りしめる音が。彼の全てが。


何もしてこなかった詩織に対して、考えるだけの時間を与えてやった。何もしてこないのなら俺から行くぞ。


詩織はそう聞こえた気がした。





そしてこの固まった空間が壊れる瞬間が訪れた。










広樹は全身に力を込めて、全力ダッシュを繰り出した。


銀行員と詩織の反応を置き去りにした、突然の全力ダッシュ。


広樹は詩織の横をすり抜ける。











そう。これが広樹の導き出した手段だ。


(彼女はまだ俺のことを知らないはずだ!)


彼女のことを知らない広樹に、彼女が広樹を知っている道理はない。


サングラスにより顔は隠れている。後々インターネットで写真を拡散されても本人とはバレない。


よって広樹が導き出したのは、『逃げる』ことだった。


おぉおおおお!!走れぇえええ!!


広樹は心の中で血反吐を吐くほどに叫び散らしながら、全速力のダッシュを見せたのだ。













「しまった……」


私はここで死ぬんだ。


詩織は彼の残像を見た瞬間、自分の不甲斐なさを呟いた。そしてこれから起こる未来を想像してしまった。


人体強化が間に合わない。いや、間に合わせないように繰り出されたダッシュ。


彼は戦闘力を出すまでもなく、突っ込んできた。彼が人体強化をするわずかな時間が生まれていれば、能力でなんとかなったかもしれない。

彼はその希望すらも奪った。


完全なる敗北。

全てが読まれていた。


自分が死ねば、残りは天井に隠れている部下だけだ。

あの子たちのために、彼の隙を作るつもりだったが、駄目だった。


彼は知力も能力も遥か上を行っていた。


詩織は敗北を受け入れ、彼がこれから起こす未来に身を委ねることにし、目を閉ざした。











ドカァッ!!!


何かがぶつかる音。


(……あれ?)


詩織は自分が無事であることに疑問を思い浮かべた。


背後から聞こえたのは何かがぶつかる音。


詩織は恐怖で閉じられていた目を開き、後ろに振り返った。


(なんなのこれは?)


詩織の前に広がっていたのは、先ほどまで自分に殺意を持って殺そうとした男が、防弾チョッキと銃で武装した男を地面に叩きつけ、押さえ込んでいるように見える光景だった。


詩織が知らない第三者。さっきまで詩織はこの武装した男に気づけなかった。


(透明化の能力!)


詩織は一つの結論を導き出した。武装した男は第三者じゃなくて第二者だ。そして詩織が相手をしていた彼こそが第三者。


敵組織は能力を持った者を今回の計画に入れてきたのだ。『透明化』は隠密行動に優れた隠密系能力の一つ。


敵組織は透明化を駆使し、詩織の無力化を図ったのだ。


どこで情報が漏れていたのか分からないが、作戦の詳細を知った敵組織は、今回の作戦の現場リーダーである詩織を潰せば、この場を支配できると判断したのであろう。


詩織は戦闘学での実力者。それを無力化し、建物内にいる一般人を人質にすれば、政府、警察、自衛隊、戦闘学教員が一挙に恐怖に染まっていただろう。


だが、それは失敗に終わったのだ。


第三者である彼だ。


とんでもない勘違いをしていた。


彼が突然殺気を放ったのは自分にではなく、敵組織にだ。


背後から襲ってきた敵に、彼は殺気を放ちながら、詩織の盾になるように背後に回り込み、見えない敵を無力化したのだ。


(ありえない!そんな、なんで、どういうこと、分からない!?)


詩織の思考は限界を超えていた。それでもなお、詩織は思考を止めなかった。止めてはいけない。これから起こることのためには、この思考は必要なことなのだから。



彼が敵ではなかった。

本当の敵は別にいた。

彼は守ってくれた。

彼は透明化した敵を無力化した。



これだけは理解できた。

今はこれだけ理解できれば十分だ。



彼が何者なのかも。

彼はどうしてこの場に来たのかも。

彼はどうして守ったのかも。

彼はどんな能力を持っているのかも。



今はそんなの必要ない。



これから何をしなければいけないのか。これからこの場で起こる状況を先読みし、助けてくれた彼に対して感謝を込めた視線を送りながら、身体のうちに宿る能力を解放した。


















ドカァッ!!!


(なにぃいいい!)


何もないはずの空間にぶつかった広樹は心の中で叫んだ。

全速力で走った広樹に減速の文字もなく、見えない何かに全力でぶつかった。


起こるのは衝撃で走った痛み。

そして体勢を崩した身体だ。


(踏ん張れぇぇぇえ!!)


広樹は足に力を込めて、横に倒れそうになった身体の体勢を立て直し、再走しようと試みた。


だが踏ん張った右足が、何かに引っかかったように止まり、勢いで左膝を地面につけた。


そして、勢いを消しきれなかった胴体は前に倒れそうになったことにより、反射的に両手を目の前に出した。


だが、右手は腕くらいの太さがある見えない棒を掴み、左手ではサッカーボールほどの大きさをした見えない球体を地面に押さえつけていた。


今の広樹は見えない何かに跨り、右手で見えない何か掴み、左手で何かを地面に押さえつけている。


(なんだこれ!見えない何かを触っちゃってる!?)


広樹は理解できずに、固まってしまった。

だが、状況は固まることがなかった。


スァァァァァアア


広樹が押さえつけている何かが色を見せ始めた。それは黒と灰色を混ぜ込んだ、とてもゴツいイメージを思わせる服装をした男だった。


これはなんだ。

広樹は状況の受け入れを決めた。

全速力で走ったら、見えない何かにぶつかり、押し倒し、ゴツい男が現れた。


(うん、やばい)


心の中で何を言っているのか自分でも分からなくなった。だが、今、目の前で起こっているのだ。


クルリ……


そして、さっきまで自分の大金を狙っていた女が振り返った。


(おい、なんだよ気持ち悪いものを観察するその目は!まぶたを限界までこじ開けやがって!ホモじゃないからな!?)


少女は明るい瞳を向けて続ける。


(俺だって押し倒すなら可愛い女の子が良かったよ。でも、気づいたらゴツいおっさん押し倒していたんだよ。俺だってなにがなんだかわかんねーよ!!)


心の中で被告人のごとく、自分への誤解を解こうと叫び続ける広樹。


そんな彼の心の叫びを感じ取ったのか、彼女は冷静さを取り戻し、研ぎ澄まされた瞳で彼を見た。


謝罪と殺意を持った瞳。

広樹はそんな瞳に見えた。


それは、何かに対して謝罪している瞳をしていた。


(なんだよその瞳は!俺のホモ状況をみてごめんなさいってか?そんなわけあるかぁぁ!俺は女の子が大好きなんだぁああ!!)


そして、次に見たのは殺意を宿した瞳だった。


(なんだよ次は!やっぱりホモ状況を私に見せたから謝りなさいってか!見せたくて起こしたんじゃねぇええ!!)



そしてゆっくり近づいてくる彼女。

その雰囲気からは彼女の殺気と覚悟を感じ取れた。

絶対強者を思わせる彼女のその姿はこの場にいる誰よりも強いと思えた。



(なんなんだよぉぉぉぉ!!!)

そんな彼女の姿を見た広樹は、心の中であらん限りの叫びを上げた。

次回も頑張っていきますー!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いくらなんでもそういう思考にはならんやろ貴方達よぉ……
[気になる点] 話の速度が速すぎて何が何やらさっぱりわからない…
[一言] いっや、透視能力とか要らんわ。 副産物とか能力の一部とかなら欲しいけど、メインでは要らんわ。 ナニがとは言わんがわざわざ透視使って見るより生で見たいから努力するわ。
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