第49話、校長「上に立つ者の下を見たことがあるかい?主に下半身のことだけど…」
書きあがりました!
そしてお知らせです!`・ω・´
明日と明後日に続けて連続で投稿しようと考えております!
今日と合わせて計3話分です!
念のために、各話の前書きに『昨日に投稿を行いました。』などの注意を書いておきます!
そしてもう一つの報告です。
第1話の内容を大幅に変更しようと考えております。不快に思われたら謝罪いたします。
出来る限り良い話を書くつもりなので、どうかよろしくお願いいたします!
早くギャグパートに進みたい!!
『彼が全てを覆した』
「……」
『序列者を含めた部隊を危機的状況から救い出したんだ。この意味がどういうことか分かっているだろう』
「…ええ、理解しております」
統括者の重ねる言葉に、校長は声を漏らす。
『じゃあ聞かせてくれないか』
「分かりました。では…何からお聞きになられますか?」
『…ん?…ああ〜』
校長の質問に統括者は一度首を揺らし、すぐにその意味を理解した。
『そうだね、何から聞くべきか…』
『決まっているでしょう統括長。日本支部が彼の存在を隠蔽していた理由を問いただすべきです』
統括者にその声を上げたのは、円卓の一部に座る別支部の支部長だった。
『あのような存在を本部や私たちに知らせず隠していたのです。それを聞き出し、厳正な処分を与えるべきだと愚考いたします』
『ん〜、日本支部、今の意見に言いたいことはあるかい』
「では失礼ながら言わせていただきます」
校長は意見を出した支部長に言葉を向けた。
「悪い言い回しをされますが、私たちは隠蔽を『企んだ』つもりはありませんよ。私たちはその隠蔽が必要だと判断し、実行をさせていただいた次第です」
冷静な声で堂々と言い放った。
そして数週間前にした天草先生との会話を思い出す。
ーーじゃあ決定だね。『あの』任務では、広樹くんの情報をすべて伏せろ。伝える情報は、彼が優秀な戦闘力者であることだけだ
ーー了解しました
そして姫路詩織とも…
ーー広樹の情報を隠したんですね
ーーああ、今のままでは問題があるからね。だから、今回の作戦が彼の今後を左右する
それを伝えたのには絶対に知られてはいけない事実があったからだ。
それは荻野広樹に関する『ある事実』。
言わば望む結果を作り出すための予防線だった。
この『隠蔽』は、ここにいる者たちにとっては『企み』と言えるかもしれない。
だが、日本支部と荻野広樹にとっては、そうではない。
つまりは『半分嘘』。
この場において、校長は日本支部総責任者に行き着くまでに培って来た真顔を顔面に装着した。
そして内心では
(お願いだからバレないでくれぇえ!)
円卓の影で両足が産まれたての子鹿みたいに震えている。
真顔に比例するように、その精神と下半身はとんでもないことになっていた。
『嘘にも白々しいぞ!』
だが、その言葉に黙るほど、この場にいる各支部の支部長たちは甘くなかった。
『彼の存在を日本支部で独占したかっただけだろう!白姫葉月だってそうだ!』
『ああ、それに日本支部に戦力が偏りすぎている。それにも問題があるのではないか?』
『日本は序列九位からに渡って、能力評価が各国の序列四位以上と変わらん。どうして日本にばかり』
広樹から話題が逸れ、各支部が日本支部に抱いていた鬱憤へと話が転換する。
日本支部は世界各支部から良い目で見られない支部である。
合同作戦前の説明会議においても、入室直後に天草先生が他支部の引率者に文句を言われるほどに。
その理由は一人の支部長が言った言葉である、戦力の偏りにあった。
日本支部の序列者、主に九位から一位の能力評価は各支部の四位以上とほぼ変わらない。
つまりは独り占めをしていると捉えられているのだ。
だが、その戦力の偏りは校長の手によって生み出されたわけではない。
『偏りについての文句は言わないでね。それは君たちがよく知っているだろう』
『ッ…』
統括者の一声で場が静まり返る。
その意味はこの場にいる全員がよく理解していた。
『偏りがあったとして、君たちは何を言いたいんだい?』
『いっ、いえっ』
『……察しはついてるよ…戦力の分配だね、でも』
言葉に覇気を失わせた支部長たちを下に、統括者は語る。
『各国で生まれた戦闘力者はその国の支部が管理する』
戦闘学に設けられた決まりを場に出される。
『この規則がある限り、理由もなく転属させるのは禁止だ。仮に新たな実力者の存在が確認されてもね』
その実力者とは、言わずともこの場の全員が理解していた。
『しかしっ、日本支部だけに戦力が集中していてはっ、それに白姫葉月が』
『何のための合同作戦なんだい?』
統括者の言う言葉が徐々に暗さを放ち始める。
『偏りがあっても各支部の戦力には問題はないはずだ。大きな作戦を行う際には今回みたいに合同で実行させる……君たちの考えは分かってるよ』
統括者は各支部の支部長の思考を先取りした。
『研究材料だよね』
その言葉に一部視線を震わせる者が現れる。
戦闘力の価値は戦闘などの物騒な事柄にもあるが、最も価値を発揮するのは研究にあった。
戦闘力とはまだ完全に解明されていない未知の力であり、それを研究することによって新技術を創り出すことのきっかけになるのだ。
一部能力の再現を成功させた事例もあった。
それを生み出すためには、戦闘力者のDNAサンプルや多くの実験データが必要となる。
よって各支部は優れた戦闘力を管理したかったのだ。
『葉月ちゃんの例外を除いて、そんな目的で転属させるのは禁止だよ』
『しかし、荻野広樹学生にはどんな対応を取るのですか?彼の異常性は統括長にもご理解しているでしょう』
『……まあ、確かにそうだね』
一人の声に反応を示す統括者は、真顔を装着した校長へと視線を注ぐ。
『とりあえず、報告をしなかった理由を聞こうかな。『企んで』はいなかったんだろう?』
「はい、承知いたしました」
校長は思い出す。
この場のために積み重ねた努力の時間を。
この瞬間を想定した演劇練習の数週間を。
「では、報告を行わなかった理由ですが、荻野広樹学生の情報資料の作成時間が少なかったことと、今回の合同作戦においての成功確率を上げるためにありました」
『作成時間が少なかった?…』
統括者の疑問の声。
その声に校長は声を震わせないように意識する。
今から語る事実から全てが始まるのだ。
故に校長は全身全霊で見える隙を奥のうちに隠した。
『広樹学生を戦闘力者として発見したのは1ヶ月前。彼は最近まで一般人だったのです』
その言葉によって、場に動揺の空気が広がる。
その理由は当然、彼が発見されなかったことによる危険性。
日本支部の教師陣が始めて彼を確認した日の再現だった。
『嘘ではなかったのかっ』
一人の支部長が言ったその言葉は、作戦に引率させた教師の報告の理由によるものだ。
ーー彼が私達の生徒になったのはその会議の後だったーー
それは天草先生が空港で放った会話の一部分。
信じられない言葉に嘘と判断していたが、統括者自らの質問に嘘をつく者はこの場にいない。
故にその言葉に真実味があるのだ。
『検査委員会がミスを犯した……というわけではないんだろう』
動揺を走らせている者たちを置いて、統括者は何かを見抜いているような口振りをする。
「ええ、確かどこかの支部が広樹学生の能力を鑑定したと聞きましたが…」
『ッ!?』
一人の支部長が肩を揺らした。
そう、広樹が初めて各支部と対面した際に、一人の能力者が彼の能力を調べたのだ。
その過去を校長は掘り返した。
「その際に広樹学生から能力を検知できなかったようですね」
『確か…序列六位の『能力鑑定』だったかな』
統括者も今回の作戦にまつわる資料を思い出した。
そして整理し、一つの着弾点があらわになる。
『なるほど、彼は隠蔽をしたんだね。どんな手段を用いたか知らないけど、小さい頃に大人たちを騙したわけだ』
その意味の重大性をこの場にいる全員が理解した。
『それも序列六位を騙すほどの実力の持ち主…検査委員会を責められないね』
ミスで発見されなかった事例はあったが、本人が隠蔽して逃れた事例はなかった。
ミスではない証拠を序列六位が示したのだ。
部署のミスではなく小さな子供の実力によっての理由なら、その責任の行き先は難しい。
『でも、時間が少なかったとはいえ、断片的な情報を繋ぎ合わせた資料くらいは作れたんじゃない?』
詰まる話を後にし、質問を再開させる統括者。
その言葉に校長は冷静に対応する。
「作戦を成功させるために必要だったと愚考いたします」
『成功させるためにか…じゃあ詳しく聞こうか』
「分かりました」
校長は記憶に巡らせる。
積み重ねた質疑応答のシミュレーションを鮮明に思い出し、その真顔から言葉を紡ぎ出す。
「まず、各支部の支部長にお尋ねしますが、生徒の報告と記録映像を確認して、広樹学生の能力は何だと想像されましたか?」
……。
『答えられそうにないね。代わりに私が答えても?』
「お願いします、統括長」
言葉が出なかった支部長たちをおいて、統括者自らその質問に答えようと提案した。
そして、
『多重能力、もしくはそれに類する能力かな』
その答えに再び動揺が広がりを見せる。
読んでいただきありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!




