第48話、榛名「私は面白く生きたい。そのためなら馬鹿と呼ばれても別に良い」
書きあがりました!
ごめんなさい!色々と考え込んでしまい遅くなりました!
ぜひ!読んで欲しいです!
それと脱字、誤字、間違いなどを教えてくれる方々になんですが、いつも本当にありがとうございます!
私が気づかなかったところを教えていただき、本当に感謝でいっぱいです!
またコメントを残してくれる方々にですが、本当に嬉しいです!毎回投稿後にコメントを来るのを楽しみにさせていただいています!
コメントを書いていただき本当にありがとうございます!
長くなりましたが、これからも頑張って行きますので、どうかよろしくお願いします!
すいません!すぐに誤字があり修正しました!
『ではこれより、WDC研究施設潜入作戦の報告会議を開始させていただきます』
声が響き渡る。
暗い空間には広い円卓が中心を埋め、それぞれの席には人の姿を再現した立体映像が席に座っていた。
この場で物体として存在する人間は、日本支部のトップである校長と、作戦に引率した天草先生のみ。
『まあ堅っ苦しいのはいいから、早めに進めようか』
円卓の中心に浮かんだ人影が明るい声を上げる。その者だけが顔を映さず、身体の形状も揺れ動き、本当の姿を示さない。
『それじゃあ作戦お疲れ様でした。死者ゼロ、素晴らしいよ』
人影は喜びの声と拍手をこの場に贈る。
『WDCの奴らには逃げられたけど、こちらの被害は最小限に抑えられた。でも』
空間に備え付けられているモニターに、1人の人物が映し出された。
『この太った奴を捕まえなれなかったのが、唯一の心残りなんだよね。WDC幹部のジョン・マイヤー』
小太りの白衣男。今回の作戦で遭遇したWDC幹部の1人であり、戦闘学は彼を逃す結果になってしまった。
『でも、子供たちの脳を無事に取り戻すことが出来た。そして人体の生成と移植も済んだ』
子供たちの経緯を話す人影は、日本支部の校長の方へと顔を向ける。
『早く治療が済んだのは、日本支部のあの娘のおかげだよ。日本支部、派遣してくれて助かったよ』
「いえ、その言葉は白姫葉月に差し上げてください」
校長は喜びを見せる人影に言う。
その態度に人影は薄っすら見える口を吊り上がらせた。
『白姫葉月か、その名前は本人は気に入っているかい?』
「ええ、以前の名前を出したら機嫌が悪くなるくらいには」
『そうか、じゃあ葉月ちゃんは日本支部にいて満足しているんだね。以前に配属していた支部は…』
『ッ…』
『そうだったね。でも自業自得だから慰めはしないよ』
1人の中年男の立体映像に、浮かんだ人影は足を向けた。
『過ぎたことだったね。これを掘り返すのはやめようか』
過去の一幕がこの場にいる全員の頭によぎる。
それは、白姫葉月という名前を持つ少女の一幕。
『とりあえず今は、作戦が成功したことを祝おう』
人影が指を鳴らす。それと同時にモニターは一斉に移り変わり、また空中にも立体モニターが出現した。
『報告会の前に上映会だ。各支部から送ってもらった記録媒体のコピーをこっちで編集したから』
試写会を始める雰囲気で、人影は椅子の影を出現させ、浮かびながら座る。
『じゃあ始めようか』
「博士」
「何かなぁ」
「やっぱり無理がありますよ」
「予想の斜め上を行く君でもかい?」
「私を何でも出来るガールみたいに言わないでください」
資料室の一室で、博士と榛名は資料に囲まれながら、一つの研究について話し合っていた。
「こればかりはお手上げです」
両手を振って、諦めの声を上げる榛名。
卓の上には化学単語の羅列がビッシリと埋まった紙が散らばっている。
「殺傷能力を抑えた実弾を造る?…いやいや、普通に無理です。てか矛盾ですよ」
今回のイベントで使用する指定弾薬の開発。
それに二人は頭を悩ませていたのだ。
「ゴム弾かペイント弾じゃあ駄目なんですか?」
「それだと実物から離れてしまうと言われてねぇ。他の研究施設も悩ませてるよぉ」
「はぁ〜、前回の時みたいに人体強化と能力のみでやってくれませんかね〜。ああ〜それと殺傷能力の低い武装でも可〜」
過去を振り返った榛名は、愚痴を零した。
博士はそんな榛名に、頭をポリポリ掻きながら、丁寧に説明する。
「最近WDCが活動を見せたのは知っているよねぇ」
「……まさか」
「前の任務で危うく序列者を含めた合同部隊が敵の手に落ちそうになったからぁ、その影響だねぇ」
詳しく言えば、WDCが戦闘力者の弱点を突き、危うい状況になったのを鑑みた結果、戦闘力以外の技能を鍛えることに行き着いた。
それは武装による戦術。
だが、ゴム弾やペイント弾などの模造弾では、本来の実弾の反動や射程距離が全く違い、ズレが生じてしまう。
それを解決する弾を開発しようと、博士と榛名を含めた全研究施設が研究を進めていた。
「やっぱ普通に考えて無理です」
「普通じゃない君になら」
「それはもういいです」
聞き飽きたと反応する榛名に、博士は髪の隙間から半眼の眼差しを送る。
ふぅ、と息を零す男は榛名に口を開いた。
「君の子供たちなんだけどぉ」
「何ですか、もう返してもらったんですから、弱みとか取引とか出来ないですよ」
「もっと強くしてみる気はないかい?」
『詳しく』
榛名の口から反響したような声が上がる。
博士の言葉に榛名は耳をこじ開けた。
「頑張ってくれたら、私が個人保有する研究データの20%を君に提供しよう。私が誰にも見せていない財産だぁ。それがあれば、君の作品たちは」
『50%』
人ならざる声質が再び口から飛び出した。
その少女は何かを宿した瞳で博士をジッと見つめる。
「2…」
『50%』
博士が言い終わる前に、榛名の声が響き渡り、博士は深い溜息を漏らした。
「じゃあ50%を提供しよう。だが」
『先に下さい』
「……先に25%、成功後に残りの」
『先に下さ』
「君の信用を踏まえた結果なんだぁ」
重なった言葉の連鎖で、最後に言葉を押し付けたのは博士だった。
「全部渡した後で『無理でした』って言われたら示しがつかないんだぁ。この研究施設の人間が黙っちゃいない」
『むむ…』
「25%は時間と労働費の先払いで言い訳する。ここまででもギリギリだがぁ、成功した後なら誰も文句は言わないさぁ」
『む〜』
「やってくれるかい?」
「……期限は」
人の声に戻った榛名は、博士に研究の期限を問い出す。
「集会までに私が一度確認したい…だから4日だねぇ」
四日ーー九十六時間以内……
「私の階級試験のための勉強はどうしますか?」
「そこは考慮してもらうように委員会に頼むよぉ。だがぁ、今回の研究を成功させればぁ、試験を受ける必要はなくなるはずだぁ」
博士の言葉に榛名は指を一本ずつ内側に折り曲げ、指関節の音を鳴らす。
「提供してくれる25%の研究データは私が指定しても良いですか?もし出来るのであれば…」
「あればぁ?」
少女が示す次の言葉に、博士は目を丸くした。
「常識だの、基礎だの、教科書だの言っている大勢の研究者たちに教え込んであげます。世界を驚かせる結果は過去からは手に入らない、未知に飛び込んで初めて結果に触れられるのだと」
映像が開始して数刻。
モニターは黒く染まっていた。
そして度重なる爆発音。
地鳴りも含んだその音は、崩壊と呼ぶに相応しい。
数秒経って音は消え、モニターに映っていた黒は崩れるように消失。
徐々に上から光が立ち込み、その場の光景が鮮明に映し出された。
映るのは怪我を負った者、周りを見回す者、仲間に手を貸す者と様々。
そして映像は停止。
そこで幕が閉じたのだと観る者たちに伝えた。
『終了だね。じゃあ、今の記録を踏まえて、本番の報告会を始めようか』
明るい声で終わりを示し、始まりを語る。
『じゃあ早速だけどーー』
モニターの映像が移り変わる。
誰の手によってかは明白。
そしてすぐに二度目の再生がされた。
そしてーー
『OhーOhーOhー』
『さあ!ランナー満塁の逆転サヨナラチャンス!バッター姫路詩織に変わって!ピンチヒッターとして出てきたのは!荻野広樹だ!』
『OhーOhーOhー』
全てのモニターが、漆黒のsoldierに跨る少年の姿に染められた空間へと移り変わり、この場にある全ての視線が一人の人物へ集約された。
『聞こうじゃないか、戦闘学日本支部総責任者』
明るかった声が鋭く尖る。
機械越しに聞こえたその声は、その人影の立場をこの場にいる全員に意識させるものだった。
唯一この場で姿を示さない者。
全ての会議に置いて、その行為を唯一許される人物。
それはーー戦闘学総統括者
世界全ての戦闘学を統括するトップが校長の目の前にいた。
読んでいただきありがとうございました!
31日までには修正と訂正を全て終えたいと思っております!
全体を読みやすいものになるように頑張ります!!