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第41話、詩織「天草先生、広樹の部屋は何号室ですか?」

ギリギリになってすいません!

書きあがりました!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

感想、コメントをお待ちしています!



過去の話を読んだら、「あっ、ヤバイ」と思う文章力(今も)だったので、『設定と内容を変えず』に、『読みやすいに文章に修正する』かもしれないです。

書いた文章を修正して良いかわからないので、不快にさせてしまったら申し訳ございません。もしもそれについてコメントがあれば、ぜひ欲しいです。

長くなりましたが、よろしくお願いします。


見つかった誤字、間違いも修正していきます!


助言があり、8月22日に間違いを修正しました!

「あぁ〜〜」


ホテルの夜。


夜景が見える大きな窓の側、白いシーツがピッチリ張られた大ベット。

そこで項垂うなだれる影が一人。


「何もするつもりはなかったんだ。それがどうしてこんなことに…」


何度目か分からない。心の奥で渦巻く恐念、それは『任務の邪魔をしてしまったこと』というものだ。


天草先生からあの一言を聞いてから、思考がぐるぐる回転し続けている。


「謝るのも許されないって…」


鬱だった。

何もさせてくれないことが一番の精神的なダメージになっていた。


「あぁぁぁぁぁ〜」


そして振り返るのは、激しい爆発音の後の記憶。

音が止み、自分の周り覆われていた壁が消滅し、外の光が目に差し込んだ時のことだ。







「みんな無事ね」


「ああ、全員問題無さそうだ」


明かりが緑色に変色し、比べて暗くなった室内。


「アラン、能力で覆われた外を透視で確認してくれ」


「もう確認したよ。ほぼ埋まっている。壁や床、天井はヒビが入ってるね。ただ、電力が配給されているということは、まだ電力設備が生きてると思うよ」


伝えられた内容に周囲を見回すジャックは、情報を組み合わせ、一つの推測を提示する。


「恐らくこの部屋の作りだな。奴らが最も重要視する存在が保管されているんだ。電力配給機能が部屋自体に備わってるんだろう」


視線を落として、床に手を触れて言葉を続けた。


「恐らくだが、電力を生み出す能力を持った脳が存在し、部屋の設備と同期しているかもな」


「これだけ脳があるんだ」と、今でも電力が失われていない理由を口にする。


「脳を保管するために作られた、頑丈で電力配給が備わった部屋。良くか悪くか分からないが、俺たちはこの部屋に救われたということだな」


その言葉に一人を除いて納得した。





当然のごとく…





(何を言っているかわからない…)


英語力ゼロ。コミュ力低値。


会話が耳からする抜けるばかりで、広樹は小さな孤独感を味わっていた。


もしも会話の内容を知ろうとこの場で会話サポート端末を出したらどうなる。


恥ずかしい。この場で一人だけが端末ごしで会話を聞く姿を想像したらとても恥ずかしく感じた。


やがてこの状況に耐えられなくなり、


「詩織『ッ!?』」


何この反応…


呟いた一言に、誰もが会話を止めて一斉に振り向いた。

その光景に一瞬呼吸が止まる。


「何?広樹」


無視だった。この光景に反応を示さない彼女は、当たり前のように言葉を返す。


孤独感を払拭したい広樹は、彼女と周りの反応を気にする余裕もなく、会話の種になることを考えた。


「……俺に何か出来ることはないか?」


「……」


あれ、なんでなにも言わないの…


無言となった詩織を目の前に、空気の重さを肌に強く感じた。

ただ、会話のきっかけになればいいと思った呟きだったのに。

さっきまでとは異なる雰囲気に居心地が悪くなる。


そして、


「大丈夫よ、広樹は何もしなくていいわ」


「…分かった」


終了した。

どうやら、俺は邪魔者みたいだ。













「ちょっと詩織、あの人に頼れば地上に戻れるんじゃないの。もう分かるよ、彼にはその力があるんでしょ」


メリルが耳元に顔を寄せて、率直な考えを口にした。

だが、その考えは聞き取った者は良しとしない。


「駄目、もう広樹に頼るのは以後禁止にして」


「どうしてだ?」


会話に加わったのはジャック。彼もメリルの考えに賛同していたが、詩織の言葉を聞いて疑問を浮かべたのだ。


「確かに広樹の力を使えば、事なく地上に帰還できるわ。でも」


広樹の不明ちからなら可能だと、詩織は断定していた。その上の否定。


メリルとジャック以外の者も聞き耳をたてるなか、彼女は光を失った瞳で口を尖らせた。


「これ以上を彼に望むの?」

『っ!?』


それは予想もしなかった一言。

だが、それを聞いた彼ら彼女らの中に一つの共通する何かが芽生え始めていた。


「考えてほしいのだけど、この任務に私たちは必要だった?」


彼女は自分の胸に刺さっていた何かを、聞く者たちの胸に刺し込んだ。

口と瞳を震わせる者が現れるなか、彼女の言葉は止まらない。


「最初から最後まで、彼におんぶ抱っこされるのがどういうことか分かってる?」


それは再び訪れた有能者エリートたちへの現実。


呼吸が乱れる。誰もが心に芽生えていたモノの正体に気づき、息苦しさをその身に感じていた。


彼は何をしてくれた。


自分たちは何をしていた。


全ての情報が組み合わさり、一つの道筋が生まれる。



結論。


『彼だけでも任務は達成できていた。』



「彼に力を使わせて、ほいほいと地上に帰ってこれました。…平気だったらお願いしてもいいわ。私は単独で脱出して見せるから」


「頼めるわけねーだろ」


誰かの意思プライドが言葉になる。それは今も治療を受けている重傷者の一人だった。


「正直に言うとな、今すぐ地上に戻りてぇ。傷を治してもここがいつまで安全なのか分からない」


「お前……」


「でも俺は、一度馬鹿にした相手ヤツには助けられたくねぇ。俺もここに残る」


傷だらけの意思プライドが生んだ言葉に、揺れていたそれぞれの感情が沈静化する。


それぞれ顔つきが変わるのを見て、彼は最後に問う。


「で、お前らはどうするよ。って決まってるか」


「分かってるなら聞くな」


ジャックが小突き、「いてて」と顔に触れる彼。


「話をまとめる。これからの目的は帰還。俺が知っている限り、今回の任務に参加した者の能力では、地上に戻るのは簡単ではない。よって地道な作業になる」


リーダーの一人を担当していたジャックが、最適な方針を固める。


言葉の後半に出てきた地道作業。それはこの部屋を崩す確率が低い手段だった。


「密閉された空間だから酸素にも限りがある。短時間で地上まで掘るぞ。それも能力を使って楽する考えは無しだ。この部屋や周囲にこれ以上の負担ダメージは目標物(脳)を破壊する可能性がある」


つまりは、人体強化のみで最短かつ、最小限の大きさのトンネルを地上まで掘る。


その考えに納得の色を見せ、班員決めが始まった。

一つは地上までのトンネルを作り出す班、そしてもう一つはここで部屋の維持を担当する班。


誰が残り誰が行くかは、すでに各々が理解する。


「私と広樹は掘る班に入ることを希望するわ」

『ッ!?』


だが、その中で詩織だけが異なる判断を出した。


「反対する人はいる?」


「……いいや、もうお前に任せるよ。どうせ理屈らしい言葉を並べられて、俺たちが納得する流れなんだろ」


負けた瞳で微笑を返したジャック。

彼以外もそれに納得し、行動を開始した。







「広樹、話は終わったわ」


「どんな話だ?」


「地上に帰還する話。それで今から私と地上まで登るけど、広樹は『何もしないで』いいから」


「……分かった」


…もう泣いていいですか


何故か『何もしないで』という言葉が、胸を苦しくさせる刃物に感じた。

だが、納得をせざるを得ない。それは本人がよく知っていた。


要は、邪魔者は『何もしないで』。


自分の存在など、彼女たちの邪魔にしかならないのだと。


「じゃあ広樹、『何もせずに』私についてきて」


不安定な精神状態の上で、詩織は止めの一言を告げた。















「任務に関わらなくてもいいって言われていたのに、邪魔なんかした日にはどうなるんだ…」


恐怖で顔を震わせ、白い枕には濡れた跡ができ始めていた。


やがて、校長おっさん榛名はるなの顔が脳裏に現れ、


『任務の邪魔をしたんだって〜、これは退学じゃあすまないね〜』


『おやおや広樹さん、装備の返済を早くしてもらわないと〜、私も出るとこ出ちゃいますよ〜』


両人とも憎たらしい笑顔で、そう告げていた。


項垂れる。

白いベットに沈み込んだ身体は、もう動く気配はない。


「もう帰りたい」


その一言を最後に、広樹はゆっくりと意識を手放した。

ぜひ!これからも読みに来てください!

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