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第40話、天草先生「詩織ちゃん…広樹くん…」

書き上がりました!

投稿が遅れてごめんなさい!

ぜひ!読んでもらえると嬉しいです!

これからもよろしくお願いします!

いろんなコメントをお待ちしております!


まだ完璧な文章がかけていませんが、これからもっと書き方を学んでいきます!


助言があり、一部修正しました!

『ショッピングモールの崩落』


報告を受けて、私、天草あまくさあいは準備された軍用車に乗り込み、現場におもむいた。


そして目に映り込む光景に言葉を失う。

それは陥没かんぼつ。あったはずの白い建物が地上から姿を消し、沈み込んだ巨大な穴には瓦礫となったソレが広がっていた。


どうしてこうなったのかは明白めいはく。WDCの研究施設が崩壊し、地上にあったモノ全てが施設を押し潰したのだ。


寒気に襲われる。想像してしまったのは、最悪の結末。





「現在、生徒と連絡がつかず、状態保存が上からの指示になっています」


今回の作戦の説明をした彼が、この場にいる者たちに声を振る。


私もこの指示は正しいと感じた。この崩落に手を入れれば、二次災害に及ぶ可能性もある。


だが、拭えきれない気持ちもあった。

もしも彼らが救助を待っていたとしたら。

その予測が私の中で大きく膨れ上がり、何かを言い出せずにはいられなかった。


「捜索の要請を希望しても」


「すでに私の判断で希望を出しております。上が固まり次第、捜索部隊を編成して送るそうです」


私の言葉をさえぎって、彼は微笑みを見せた。


「ありがとうございます」


お礼を口にし、崩落現場に視線を戻した私は彼らの生存を祈った。






ピピピピッと胸ポケットにある端末が音を鳴らす。

発信者は確認をしなくても、予想がついていた。


「失礼…私の支部からです」


周りに断りを入れて、流れた動作で胸ポケットからそのまま耳に機械を当てた。


「はい、天草です。現在『あ、繋がった?じゃあもう少しで地上なのね』……詩織ちゃん!?」


一瞬遅れて声が出た。その言葉に周囲の注目を集め、端末に視線が注がれる。


だが、それを気にする余裕は、今の私には無かった。


「生きているの!?怪我は!まだ施設に『うるさい!こっちだって余裕が無いのよ!とりあえず、あと少しで…ブツンっ』…詩織ちゃん?…ねえ詩織ちゃん!?」


声が途切れたことに動揺しながら声を張り上げる。


「日本支部の姫路詩織さんの連絡で間違いありませんか?」


「はい、彼女からの『ピピピピっ』ッ!?」


再び鳴り響く機械音に目を見開いて、右手を耳元に寄せた。


「詩『うるさい、もうすぐだから…あ、もう大丈夫そう』なにが大丈夫なの!?早く状況を説明しなさい!」


分からない。詩織が言っていることがなに一つ分からない。


そして、微かに聞こえるメロディーが詩織の声と重なって聞こえてきた。


『ん、ああ、ごめんなさい。私たちは怪しい者ではなく…』


「詩織ちゃん?」


『いえ!店長は呼ばなくて大丈夫ですから!って広樹!なんでクッキーを手に取ってるの!?あとメリルもチョコチップスをかごに入れるな!氷よ!氷を持ってきなさい!』


分からない。詩織の言っている言葉が何一つ理解できない。

店長?クッキー?チョコチップス?

あなたは何を言っているの?


『天草先生!私たちが入ったショッピングモールの近くにスーパーマーケットってありませんか、そこに来てください!』


「詩織、何を言って『ブツン』…」


連絡はそこで途切れた。スーパーマーケットを探してそこに来い?


「天草さん、詩織さんはなんと言っていたのですか?」


説明を求める声に、私は言われたことをそのまま話す。

それを聞いた彼は、端末を使い何かを調べ始めた。


「ショッピングモールから一キロ離れた位置に、スーパーマーケットが一件ありました。向かいましょう」















「どうなってるの…」


場所は端末から聞こえていたメロディーが流れるスーパーマーケット。

そこで傷だらけになっている生徒たちがグッタリと身体を休めていた。


「天草先生、報告をしても」


目の前には氷でひたいを冷やす私の大事な生徒。


「詩織ちゃん…ええ聞きます」


「研究施設は自爆によってほぼ壊滅、WDCの幹部ジョン・マイヤーと接触しましたが消息不明ロスト、死者はゼロ、脳は全て確保。自爆による私たちの被害は能力によって回避しました」


告げられた報告の内容は驚きの一言に尽きる。そして、彼女が報告の中で重要なことははぶいていたことは、目を見て分かる。


私は『ソレ』に触れず、別の報告に求めた。


「どうしてスーパーマーケットに現れたの?」


「…掘りました」


「掘った?」


「人員を半分施設に残し、能力と人体強化で地上まで掘り登りました。そして偶然にもスーパーマーケットに」


「…詳しい報告はのちに聞きます」


一瞬たじろぎながらも報告を聞き終え、次にその目を向けたのは、













「どうして貴様がここにいるのだ」


目をギョロつかせる小太りのオッサン。その顔は話しかけられた人物の記憶に覚えがあった。


(確か空港で会った、他の支部の教師…)


前にいる男だけではない。やってきた大人たちのほとんどがさげすみの目を向けながら口々に何かを言っている。


(なんて言ってるんだ…)


英語が理解できないので、淡々と言われることを聞き流すしかなかった。

ただ、怒っていることはなんとなく分かる。





「その服と土汚れ、お前は勝手に任務に参加したのか!そして私たちの邪魔をっ」


「先生!」


横から張り上げた声が上がり、広樹の目の前が高い背中に覆われる。


「ジャック、お前を含めてこの場にいるほとんどがボロボロだ。そして、そこにいる日本支部の無能1人がほぼ無傷」


「それは」


「無能なガキが一人飛び込んで邪魔をし、お前たちがソイツを守ったのだろう。私はお前たちを」


「違いますっ」


ビクッ、と身体を震わせたオッサンに、両手をあらん限り握りしめた少年は言葉を続けた。


「守られていたのは俺たちです」


「何を」


「彼を無能と言うのなら、俺は…」







「ジャックくん、貴方の戦闘服に内蔵されている記録媒体きろくばいたいは生きてる?」


ヒールの靴音を鳴らし、天草先生がジャックの隣に近づいてきた。


首を回す少年は、言われたことに肯定だと示し、彼女は次にオッサンへと顔を向ける。


「詳しいことは支部に帰還し、取り出した記録を確かめた方が早いと提言します」


「他の支部の方々も」と付け加え、その手で土に汚れた手を掴み取った。


「じゃあ広樹くん、お帰りなさい!そしてお疲れ様でした!ささ、ホテルに行きましょう!」


「あ、はい」


グイグイ、と引っ張られ、促されるままに歩き出す。

詩織も後に続き、天草先生の横に並ぶ。


「私たちはこれより日本支部に帰還します。事後処理をお願いします」


「分かりました。それではのちの報告会にて」


「ええ」


天草先生は若い男と一言交え、大きな扉をくぐり抜けた。














ブーン、と車が進む音が響いていく。

車内の中で土に汚れた身体をタオルで拭き取り、常備されていたペットボトルを手にした。


「飲んでも?」


「いいわよ!グイグイ飲んじゃって!」


笑顔を見せる天草先生を向かいに、ペットボトルを口にする。


「早速だけど説明させてね。私たちは明日の昼に日本に帰ります。本当はゆっくりさせてあげたかったけど、広樹くんを早めに日本圏に戻さなきゃだから」


真剣な表情に作り直した彼女は、これからの予定を説明した。


その内容に疑問が浮かびあがり、キャップを閉めたペットボトルを備えの置き場に置く。


「早いですね」


「正直言うとね、これから飛行機に乗り込みたいとも思ってるの」


「ん、急ぎの用事でも?」


「違う。他支部の関係者に接触しないために早く国から出たいのよ」


「……俺が理由ですか?」


「ええ」











やっぱり…


広樹は瞳を震わせた。

思い出した。今日という一日に何をしたか。

その最後があの教師たちの顔だった。


(ぁ〜)


心の中で罪の意識が吐き出される。

教師たちは怒っていた。その理由はいくつも思いつく。


エレベーターを壊し、


通気口に潜り、


機械をバラバラに、


ロボットに乗り、


大人の人たちを殺しかけ、


……。



あのギョロついた目が記憶に残る。


天草先生はその原因を早く日本に連れて帰りたいのだろう。

また会えば、グチグチ言われて厄介ごとに発展することになるからだ。

ただ、申し訳ないの一言に尽きてしまう。


「本当に申し」


「広樹くんは今この時から、他の支部の関係者とは接触しないようにお願いね」


言葉を遮ったのは、完全な『あなたは迷惑なのよ』宣言だった。













「広樹くんは今この時から、他の支部の関係者とは接触しないようにお願いね」


(今日中にも、施設で起こったことを生徒の口から聞き出すわね。そして、彼との接触を望むはず…)


これからなのね、と天草愛は思う。

今回の任務が全ての引き金。










『荻野広樹』の存在が世界中の全支部が知ることになる。




これからもよろしくお願いします!!

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