第37話、アイリ(私はどうすれば…)みんな(自分のやりたいことをやればいいと思うよ)アイリ(本当にやっていいの?)みんな(……なにをやるの?)
お久しぶりです!
書き上がりました!
前回もですが、今回も【英】を使わないで書いてみました。
もしも良さそうだったら、前の各話の【英】を修正しようと思います。(`・ω・´)
これからもよろしくお願いします!
色んなコメントをお待ちしています!
何度も抵抗しようとした。
でも、身体は勝手に従ってしまう。
言われるままに、燃やし、溶かし、砕き、氷漬けにし、潰し続ける。
まるで操り人形のように。
友達の力を借りて何度も逆らおうとした。
念動力…電気操作…電磁操作…接続操作……
でも、あらゆる手を尽くしても身体は思い通りに動かなかった。
身体を縛る何かが邪魔をするのだ。
(もう…)(何で…)(帰りたい…)(もういや…)(だれか…)
暗い空間で子供たちの泣く声が鳴り響く。
何度も試し、嗚咽を繰り返し、ついに帰ろうとする意思が消えようとしていた。
私も諦めようとしていた。
もう私たちは彼らから逃げられない。逃げられてもこの身体だ。
もう私達は元の生活に戻れない。
誰もが恐怖をする姿をした『化物』
何人もの子供の意識が入った『容れ物』
売り物として様々な力を入れ込まれた『兵器』
もう駄目なんだ…
もう帰れない…
もう生きられない…
その言葉が胸の中で渦巻き、意思を壊されていく。
でも、
……もし生きられるのなら。
……また前の生活に戻れるのなら。
太陽の下で家族と…友達と…みんなと…
帰りたい…
帰りたいっ!帰りたいよぉ誰か助けてよぉ!誰でもいい!この暗い世界から出して!もう嫌だ!私はここにいたくない!縛られたくない!ここで一生死ぬまで生きていくなんて嫌だ!お願いだから誰でもいいから助けてよ!神様でも悪魔でもなんでもいい!ここから抜け出せるならなんでもいい!
だから…助けて…
お願いだから……
『Fühlt nicht…dich Sar…tro Todess…rzen,』
(なに…)
『Sarastro Tode…merzen,
So bist…meine…nimmermehr.』
(何かが聞こえる…)
『So bist du meine
meine Tochter nimmermehr.』
(これは…歌…)
『ha a a a ha ha ha ha ha ha ha ha ha,
ha a a a ha ha ha ha ha ha ha ha ha,
ha a a a ha ha ha ha, ha ha ha ha,』
(聞こえる!)(なに!)(アイツらの声じゃない!)(歌だよ!)(何で!)(だれ!)(笑ってるよ!)(楽しそうに歌ってる!)
ついにはっきりと聞こえるようになった歌に、泣いていた子供たちの声に息が蘇る。
分からない分からない分からない分からない。
ここで初めて歌を聞いた。
ここで意味の分からない言葉を聞き続けていた。
何で歌が聞こえてくるのか分からなかった。
でも、
歌だけなのに。ただの歌だけなのに。
何でここまで胸が熱くなるんだ。
(…まだ…諦めない…絶対諦めない!)
この時、渦巻いていた心を爆発させた。
その思考がみんなに伝達し、それぞれの瞳に光を取り戻す。
たった一つのきっかけが私たちの心に光を灯した。
暗い空間で闇に溺れていた私たちが、
その歌が、
その贈り物が、
その楽しそうな歌声が、
再び息を吹き返す小さなきっかけとなった。
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突然、思考の中に文字の乱列で埋め尽くされた。
そして思考が軽くなる感覚が訪れる。
すぐに理解した。私たちを縛っていた何かが弱まったことに。
電気操作!電磁操作!接続操作!…操作!操作!操…!…!
私が何かを言い出すより先に、私の中にいる友達が行動に出ていた。
『拘束プログラム解除』
『抑制プログラム解除』
『コントロールシステム接続開始』
『隠蔽操作開始』
『…解除』
『…開始』
『…解除』
『…開始』
『…解除』
怖い人たちが私たちを強い兵器にするために教え込んだ能力の使い方、複数の能力を同時発動してでの『ハッキング』。
バレないように、証拠を残さないように、正確に、集中を乱さないように。
動くために、目を開けるために、自由になるために、帰るために。
あらゆるもの能力に込めて、私たちは自身の全てを支配した。
身体が軽くなる。
視界が明るくなる。
外の光景がはっきり見えるようになる。
そして最初に見えたのは、歌い続ける男の人の後ろ姿。
(誰?)
(男の人だね)(おにいちゃん?)(黒い服を着てるー)(楽しそうに歌ってるね!)(でもビリビリ何か飛んでるよ)(どうする?)
私と私の中にいる友達がこれからどうするか考える。
でも、あの人のお陰で私たちが動けるようになったのは、その光景を見て分かった。
あの人の目の前にある機械が火花を散らせている。
ハッキングしたから分かる。
あの機械が私たちを縛っていた原因の一つだった。
それをあの人が壊してくれたから、今の私たちは動いていられる。
だからこれだけは分かる。
(あの人は私たちを助けてくれた)
(そうだね!)(うん!)(ぼくもそう思う!)(じゃあお礼を言わなきゃ!)(そうね!)(じゃあ行こうよ!)(お兄ちゃんのところへ!)
私と友達の気持ちは一つになっていた。
そして、感謝を伝えるために一歩一歩近づく。
そして、
ちょんちょんと尻尾を使って彼の背中を優しく突く。
「なんだよ!今忙しいんだ!邪魔するな!」
(っ!?)
怒鳴られた。言葉は分からないけど、すごく怒ってた。
アイリは心の中に小さな恐怖が植え付けられた。
(なんて言ったの?)(言葉を分かるようにする能力あったっけ?)(誰か持ってる?)
(ないよ…どうしよう…)
心の中で小さくうな垂れた少女は友達と作戦会議を開く。
脳が繋がっていることにより、その意思疎通速度はとても速かった。
(話さないと何も始まらないよ!)(でも怖いよ!)(でも助けてくれた)(でも、あの人の邪魔をしない方が…)(でも…)(でも…)(でも…)
何も決まらない。そして最終的にみんなの瞳がアイリに向いた。
決定権はアイリに託されたのだ。
(うん、じゃあ)
ちょんちょんと再び突く。
早く行動しないと、あの怖い人たちが来るかもしれないと思った。
だから、この人に気づいてもらわないといけない。
もしもの時は、背中に乗ってもらって逃げ…
(背中…)
……。
(ねぇ、今ちょっとだけ変な気持ちにならなかった?)(うん、ちょっと感じた)(どこでそう思ったの?)(てか、なんで思うの?)(背中だよ、なんで?)
(なにもないよ!)
一つの脳を共有していることによって、考えが読まれた。
アイリはみんなからの変な視線と言葉に首を振り、激しく否定する。
(それよりも!この人を「だからぁ!」っ!?)
気づけば、あの人は振り返って私を見ていた。
「……」
(どうしよう!どうしよう!)
何も言わない彼にアイリは動揺する。
(おちついて!)(大丈夫だよ!)(悪いことしてないじゃん!)(見られているだけだよ!)
みんなに励まされる。
(でも!でも!つっ、次はどうしたらいいの!)
喋れないことで、私たちの説明は何もできない。
どうすればいいのかと、友達と意見を出し合う。
(お手をする)(おかわりをする)(伏せをする)(チン○ンをする)
(おかしい!みんなおかしいよ!)
馬鹿すぎる考えを提示したみんなに、不満を叫ぶ。
信じられるのは自分だけだと、アイリは精一杯考えた。
そして、
『…………Gau?』
馬鹿みたいな仕草で、馬鹿みたいな鳴き声を上げる。
正解が分からなかった少女は、ペットみたいな行動をとって、相手を怖がらせないようにすることが精一杯だった。
これからもよろしくお願いします!
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