第31話、詩織「さて、掃除を始めましょう」
書き上がりました!
いろんなコメントをお待ちしております!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
ごめんなさい!私の勘違いがありまして!一部修正を加えました!
助言をいただき、いくつかの間違いを訂正しました!
「時間がありません。これから作戦の概要を説明します。説明が終わり次第、直ちに向かって頂きます」
壇上に立つ男が作戦の説明を始めた。
「今回の作戦は組織WDCの研究施設の潜入と制圧です」
組織WDC(Weapons development company)
戦争に危険性が高く、環境に強い悪影響を与える非合法武器を開発し売り出している闇組織。
例に作られた非合法武器の中には、細菌などのバイオ兵器も作られ売られている。
「作戦実行を早めた理由ですが、五日前にWDCが戦闘力を持った子供を収集している情報を得たことにあります。恐らくですが、WDCは再び…」
気づいたら空はオレンジに染まっていた。
時刻は五時三十分。
空港から適当にタクシーを拾って…
「すみません、この国で面白い場所とかありませんか?」
『すみません、この国で楽しい場所はありますか?』
「それだったらウェイルシティーはどうだい?この国で数えられるくらいの大きなショッピングモールがあるんだ」
『ウェイルシティーはどうでしょうか?この国有数の大型ショッピングモールがありますよ』
天草先生から借りた会話サポート端末を使って、なんとかドライバーとの会話が成立していた。
(それじゃあ、観光と行きますかね。資金も結構あるしな)
渡された資金が入っている黒財布は、何十枚かのピン札がぎっしり。
天草先生様々である。
「到着しましたよ!」
寝ている間に目的地に到着した。
「サンキュー」
タクシー料金を支払い、外に出た。
周りに広がるのは高層ビルの群。
車のクラクションが鳴り響き、人の動きも早い。
まさに大都会だった。
(で、此処が大型ショッピングモールか)
目の前にそびえ立つのは、年季の入ったタイルで貼り固められている大きなビル。
(色々と見て回ろうか。)
見た光景に好奇心がくすぐられ、ビルの中に入った。
見渡す限りの人人人。今いるのは広すぎる玄関ホール、白大理石が敷かれた鏡の様な床が広がり、天井まで通じる吹き抜け、止むことのない人の声が空間を包んでいた。
今までに感じたことの無い空気に触れながら、散策する。
「詩織ちゃん大丈夫?」
「気分の良い話ではありませんでしたが、大丈夫です」
私は気分を害していた。
理由はもちろん、WDCが起こそうとしているプロジェクトの情報を詳しく聞いたからだ。
「それにしても、校長から聞いていた話よりも酷くなっていたわね」
「作戦実行を早めた理由も頷けました」
そう言いながら戦闘服に着替える。使い慣れた拳銃をホルスターに入れ、予備マガジンをポーチに挿し込む。
「詩織ちゃんに伝言があるわ。『頑張れ!』」
誰からの伝言からはすぐに分かった。
でも、その本人はここにはいない。
「広樹はどこへ?」
「詩織ちゃんなら知ってるはずでしょ」
笑顔を向け、心を読んだ様に言い返された。
ええ分かっています。聞くだけ野暮だと自分でも理解できる。
「そろそろ車に向かいます」
「ええ、無理はしない様にね」
「はい」
詩織は天草先生と離れ、長い廊下を歩き出し、集合地点に向かった。
「おっ!ヤッホーシオリ!ヒサシブリー!」
向かう道すがらで声をかけてきたのは、外国生まれの顔つきをした金髪少女。
「メリル」
メリルと呼ばれた少女は、詩織の隣で歩幅を合わせて、一緒に歩き始めた。
「うん!イヤー、メンドくさかったデス!」
まだ流暢に喋れてない日本語で、メリルはさっきまでの会議の気持ちを伝える。
「WDCの任務がめんどくさい?」
「イエイエ!メンドくさかったのは、あの男のコをおいだしたことデス!」
「ああー、私に同情してる?」
「NO!わたしのホンキの気持ちデス!」
詩織の隣を歩きながら、メリルは自分の気持ちを堂々と語る。
「デモ!気になることがアルよ!能力がナイってどうゆうこと?」
疑問符を頭の上に閃かせて、詩織に答えを聞こうと質問を飛ばす。
「あなたはどう思う?」
「ん?だい六位のチカラはマジデス!デモ!あまくさがちいさく笑ってまシタ!」
「天草先生の顔で疑問を抱いたの?」
「あとは勘デス!」
目を細め胸を張り、自分の考えを主張する。
「なら、任務で答え合わせをすれば良いわ」
「答えアワセ?男のコはくるんデスか?」
「その答えもすぐに分かるわよ」
その男のコは…
「〜"Du liebes Kind, komm, geh mit mir!
Gar schöne Spiele spiel ich mit dir;〜」
ヘッドホンを付けた状態で流暢にドイツ語で熱唱していた。
広樹が来ていたのは建物六階のレコードショップ。
お試し用のヘッドホンでお気に入りの歌を聴いていたのだが、本人は気づかないうちに口に出して歌っていた。
歌の名前は『魔王』。
シューベルトが作詞作曲した有名な歌。
広樹は威風堂々や歓喜の歌などの、歴史的に有名な洋楽が歌えるほどまでに好きだった。
そして、歌は終盤に入り、広樹の心はヒートアップさせていた。
「〜Erreicht den Hof mit Müh und Not;
In seinen Armen das Kind war tot.」
歌い終わり、ヘッドホンをフックにかけると、後ろから…
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!
たくさんの外国人が拍手喝采を送ってくれていた。
「お!?」
その光景に一歩後ずさり、壁に背中をぶつけた。
そして、拍手喝采を静まって、次に彼らが送ったのは…
Encore!Encore!Encore!Encore!Encore!Encore!
英会話の出来ない広樹でも、その英語だけは分かった。
そして広樹もその期待を裏切る性格はしていない。
(よっしゃ!アンコール!やってやろうじゃねえか!)
都市内を走る二台の大型車。
その一台ずつに戦闘力者が複数乗っていた。
今回の作戦に導入された戦闘力者の人数は24名。
大型車はWDCの施設が隠されている場所まで移動していた。
「日本支部の第十位だったか?なんでお前らはあんな無能を連れて来たんだ?」
暗い車内で、一人の金髪男が詩織に乱暴な言葉使いで詩織に言葉を投げていた。
「それは今からの任務に必要ありますか?」
「何も言い返せないということは、日本支部は汚い考えを持っているんだな」
「ジャック、喧嘩の種になる会話はやめて」
長い髪を結んだ少女が、ジャックと呼ばれた金髪男に止めの言葉を伝えた。
だが、ジャックはその言葉を無視して、会議前に起きたことを振り返った。
「けどよアンナ、お前の能力であの男を見たんだろ。そして何も見えなかった。違うか?」
そのアンナと呼ばれた少女は、会議前に広樹の能力を覗いた少女だった。
「終わった話よ。詩織さんもごめんなさい。私が覗いてしまったことであなたの仲間が…」
「先生に命令されて覗いたんでしょ。想像がつくわ。だから、私はあなたを憎んではいない」
詩織はアンナに邪念や怒りなどの気持ちは抱いていなかった。
それは、広樹に自由行動が許されたからだ。
詩織の中では、広樹の実力を評価している反面、今回の任務では仲間という存在が彼の邪魔になると理解していた。
故に、彼女に悪い感情は抱かなかった。
そして車が停止する。
「到着しました。周囲には誰もいません。準備をお願いします」
到着したのは、とあるビルの地下駐車場。
詩織を含めた二十四人の戦闘力者は三グループに分かれ、行動を始めた。
情報では、WDCの研究施設は今いる建物の地下に隠されている。
よって、まずは…
「電気設備に到着しました。これより、この建物内の電力を全て切断します」
一人の戦闘力者は手間のかかる操作をせずに、自分が持つ能力で設備を操作した。
そしてブツンと、一斉にビル内の光が消えた。
上の階から一般人たちの悲鳴が上がり始める。
これも作戦の範囲内。
突然の停電により、研究施設への配給電力を一部落とす作戦であると同時に、不明の停電により、ビルの警備員に一般人を外へ避難誘導させることが目的だった。
そしてこの停電によって敵も警戒を始めたと予測できる。
ここからはスピード勝負。
敵が対応する前に施設に潜入し、有利な状況を作り出さなければならない。
これからが本当の任務の始まりだった。
「あれ?エレベーター止まった?…てか暗いんですけど!?停電!?おーい!誰かー!」
三曲以上を熱唱し終え、移動するためにエレベーターに乗った少年は、突然の停電によって閉じ込められていた。
架空の組織WDCと考えてみたのですが、検索したらダンスがあってビックリしました。
これはセーフですよね。たぶん。
ウェイルシティーも架空の都市です。
あれ?魔王や威風堂々もセーフ?
(もう修正しましたが、クラシックのカノンです泣、歌詞が見つかりませんでした。)
『魔王』フランツ・シューベルトの作詞作曲より、引用しました。
次回も期待してもらえれば嬉しいです!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆