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第28話、校長「さあ、始めようか」

書き上がりました!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

多くのアドバイスと感想をもらえてとても嬉しいです!

これからも待っています!

ぜひ!今後も読みに来てください!


助言があり、間違いを修正しました!

ホテル生活四日目の朝

あの高級マンションに戻れない広樹は、ホテルで過ごしていた。

決して高くはないが、結構良い環境だったと思う。

パソコンをやったり、DVDをレンタルしたりと優雅な生活を味わえた。


それも戦闘学からの生活費のおかげだ。


そして、その戦闘学の偉い人から、


おっさん、『広樹くん、突然だが私の部屋に来てくれないか。メールでは伝えられない重要な話がある。』


メールでの呼出しがスマホに来た。


そしてモノレールを利用し、昼過ぎの時間に校長室の前に訪れた。


(うん、いるわ)


この扉の先に詩織ヤツがいる。

広樹の生存本能が確かにそう告げていた。


(でも行くしかないよな)


拒否権の無い広樹には、この扉を開けるしかなかった。






「やあ広樹くん、来てくれてありがとう」


「いえ……(やっぱりいた)」


部屋のソファーに座る笑顔の詩織を見つけた。

そして、


「シク…シク…シク…」


詩織と対面にあるソファーで、顔を両手で隠し泣いている榛名がいた。


校長おっさん、榛名が泣いているのですが…」


「ああ、今は置いておいてくれ」


「はあ」


広樹の質問に目を泳がせる校長。


「…とりあえず座っていいですか?」


「ああ、座ってくれ」


ずっと立っているのも疲れる。

広樹はゆっくりと年季の入った茶色のソファーに身体を預けた。

当然、榛名がいる方のソファーに。


「「……」」


「シク…シク…シク…」


何で沈黙。

なにかした?


「んん!広樹くん、君を呼び出した理由だがね、君に任務があるからなんだ」


咳払いをして、校長は呼び出した理由を伝えた。


任務、戦闘学の生徒がやらないといけない仕事。


(嫌だなー)


本当に嫌だった。

前回の任務で理解した。

戦闘学の任務はボランティアじゃない。警察っぽい組織がやる仕事だって。


任務が終わった後に口座を見たら、報酬金ってのが振り込まれてたし。

うん、嬉しかったよ。

でも次の器物破損費の文字を見て泣いた。

『縦格子の修理費』として二〇万ちょっとが抜かれていた。

差し引きだと、ちょっとプラス。


だが完全に仕事だ。危ないやつのな。


「どんなのですか?」


「敵組織がある基地への…」


「失礼しました」


「ちょっ!?」


校長が驚く声を上げるが関係ない。

アレだろ。潜入するみたいなアレだろ。

嫌だよ。絶対に終わる。人生がな。


(退学届け…ガチめに考えなきゃな…)


立ち上がりながら今後の人生を考える。主に安全な生活を送るための。


ガシっ


「……榛名さん?どうして俺のズボンを掴むのでしょうか?」


後ろを見ると、泣いた跡が残っている榛名がズボンを引っ張っていた。


「……請求」


「はい?」


「武器製作にかかったお金を貰っていません」


「……無料ただじゃないの?」


「無料で作ってたら借金ですよ。オーダーメイドです。とても高いです」


「……おいくら?」


「銃器、弾、各種パーツ、ホルスター、隠し傘、近接きんせつ武器『E』を合わせて九〇〇万円です」


「……高すぎじゃね?」


「相場の値段は捨ててます。私が作ったオリジナルのオーダーメイドですから」


「返品は?」


「赤外線指紋認証装置…それに広樹の指紋を登録しているので出来ません。変更解除も不可です。アレは広樹専用に作りましたから」


貯金が一回で吹っ飛ぶ額を提示された。

吹っ飛ぶどころか、借金だ。


(詐欺だろ!れっきとした詐欺だ!)


契約書も書いていない。

ただ軽いノリの会話で作ることになったはずだ。


「転校手続き書類の中に、今後の装備製作請求の契約書も入っていたと思うのだが……」


校長の言葉に反論が塞がれた。

……何も見ずにサインしていました。

これは何も言えない。

だが、


(一億円がある。これを使えば…使えば…)


一回も使っていない物に金を払う…


(……おかしいだろ。これだけのために九〇〇万円払えと?)


一億からしたら、ちょっとの額だ。

だが九〇〇万は大金。

こんな事に大金を払う?


「……その任務の報酬はいくらですか?」


一億は使わない。

払うなら、お前らから貰った金で払う。


「っ、個人の成果にもよるが、任務から帰ってくれば、装備の代金は全て払おう」


「任務に失敗してもですか?」


「ああ、今回に限りは構わない」


失敗してもいいのなら……


「わかりました。任務に参加します」


「ありがとう!詳しい事を説明し…」


「要りません」


「っ!?」


校長は驚愕の色を見せるが、理由は簡単だ。


「俺には必要ありませんから」


(全力全開で逃げるからな)


参加するが、働くとは言ってない。

全力で逃げてやる。


「そ、そうか」


「では失礼します。予定日に呼び出してください」


「分かった」


今度こそ立ち上がって、出入口に手をかける。

が、その前に言い忘れていたことを思い出した。


「榛名」


「はい」


「俺さ、お前から武器を貰った日から色々調べたんだ」


「?…」


「お前の作った銃弾、ディザスターなんだけど、1発で戦車を吹き飛ばせる…それは本当なのか?」


「っ!?」


「『不可能』、調べてそう思ったよ」


反応で分かる。

だから、


「今回の任務で本当かどうか調べる。だが、もしも嘘だったら…」


後は言わなくても分かるだろう。














「榛名くん、戦車を一発で吹き飛ばせる銃弾と九〇〇万の説明を…」


ギクっと肩を揺らす少女、その顔には汗が滲み出ていた。


「初期世代の戦車なら……たぶん……。……九〇〇万はアレです…色々な機能やシステムを搭載しましたから…新型AIも少々…」


「そうか……私は何も言わないよ」


恐らく自分を売り込むために銃弾のことを盛ったのだろう。彼女の性格ならありえる。

だが、かかった金額で失敗したようだ。

どこからそんな資金を調達……


「校長、出発は明日の夜ですよね」


考えている最中に話しかけて来たのは、彼の前で一言も発さなかった少女。


「ああ、組織に動きがあってね。急遽、作戦実行日を早めた。明日の夜、飛行機に乗ってもらうよ」


「私と広樹がいれば大丈夫です。問題なのは他の奴らにあります」


そう。今回の任務は合同作戦。各国の戦闘学から、戦闘力者を派遣して行うものだ。


「他の支部だね。向こうは序列者を二名以上派遣すると言っていた。こちらは一名だから色々言われたよ」


「広樹の情報を隠したんですね」


「ああ、今のままでは問題があるからね。だから、今回の作戦が彼の今後を左右する」


彼の力がバレれば、必ず標的にされる。

だから、今回の任務に彼を導入した。

今後の心配をなくすための材料を作るために。


「校長の考えている計画は知りませんが、彼のために動いていることは分かりました」


「ありがとう。少々拒まれそうになったが、参加してくれて助かったよ」


「詳しい情報を要らない。その言葉を聞いて頼もしいと思えました」


確かに言っていた。まるで最初っから結果は見えているように。彼が入れば確実に成功するだろう。

そして、私の目論見も叶うはずだ。


「そうだね。彼はどんな場面でも対応できるのだろう。もしかしたら、君が足を引っ張るかもしれないね」


「私はもう間違いを犯しません。ちょっと手荒でしたが、自分を見つめ直しましたから」


「うわぁぁー!うぅぅぅ!」


自身満ち溢れる言葉を引き金に、シクシク泣いていた少女の口は大きく開いた。


うん。彼女たちが入室した時からずっと気になっていた。


「ずっと聞こうと思ってたのだが、どうして榛名くんが泣いているんだい?」


「彼女は大丈夫です」


「いやしかし」


「彼女は大丈夫です」


「…分かった」


うん。聞かない方がいいね。いつの時代になっても女は怖い。

だが、もう一つ気になったことがあった。


「そういえば、彼とは一言も喋らなかったが、どうしたんだい」


「別に何もないですよ。……それでは準備がありますので失礼します。行きましょう榛名」


必要な話は終わったと告げるように、立ち上がる少女。

私の考え過ぎだったみたいだ。

予想では、彼女は彼のことを少なからず…


「校長…」


友人を連れて、扉に手を置く少女は口を開いた。


「何か勘違いをしているみたいですので言っておきます。私は広樹を素晴らしい存在だと思っています。彼以上の存在は見たことがありません」


私の予想は正しかったと思えた。だが、なんだこの寒気は。

その染まった瞳はなんだ。


「彼に憧れ、彼を求め、彼みたいになりたい。彼に近づく者を許さないし、彼が誰かに近づくのも許さない」


何を言っているんだ。何でそんなにも嬉しそうなんだ。


「仮想現実の中で、私は彼に一度殺されたんです。目を潰されながら、身体を滅茶苦茶にされて」


どうして頬を赤く染める?

どうして息を荒くする?


「でも、私が彼に好意を抱いていると考えているのなら、それは間違いですよ。校長先生」


その言葉を言い残して、扉の外に姿を消した。


「……今回の任務は一波乱ありそうだな」


私は任務のことよりも、詩織くんの何かに心を持っていかれていた。

これからもよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 椎名PONじゃないかよ、なんで仕事でそんなことが出来ルンバ。
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