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第27話、鈴子「私は……」

書き上がりました!

コメントをお待ちしています!


ぜひ!これからも読みに来てください!

☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

『申し訳ありません。只今、お客様の混雑のため、予約を一時停止をしています』


「どうも」


タクシーを呼ぼうと電話したが、雨の影響でドライバーの数が間に合っていないらしい。


(どうするかなぁぁ〜)


時刻は夜七時

同年代の女子と一緒の部屋にいる。

このままでは……


「……泊まる?」


「っ!?」


突然背後から小さな声が聞こえて来た。

振り返ると、恥ずかしそうにうつむく鈴子がいる。


うん、そうだねって


(いやいや!それが不味いんだよ!)


今日知り合ったばかりの男女が同じ場所に泊まるってヤバいでしょう。

広樹は常識という言葉を強く持って、鈴子に気持ちを伝えた。


「それはヤバい。知り合ったばかりの男女だぞ。常識的にアウトだ」


「…ごめん」


「謝るな。気遣ってくれてありがとな」


そう言いながら鈴子の頭に手を置く。

言葉にならないが、鈴子の雰囲気を目の前にすると庇護欲が働く。

鈴子も嫌がる素振りを見せないし。


「じゃあゲームの続き」


「そうだな」


鈴子の提案に乗り、パソコンを再起動した。

だが、始める前に、


「悪い、始める前に今どれくらい降ってるか見るなー」


「っ!?」


広樹は閉じているカーテンを手をかけようと立ち上がる。


「ゲリラっぽいし、そろそろ弱くなっていても…」


「ダメっ!」


「おっ!?」


背後を振り返ると、服を引っ張る鈴子の姿があった。


「ごめんっ……雷が怖くて」


「ああ、でも雷の音は聞こえてないし大丈夫だろ。ちょっと見るだけだから」


「少し……だけ待って、心の準備が出来てない」


「んっ、分かった」


すっごい庇護欲に来る。

何この子、溺死させたいの?


目の前の少女は合わせた両手を胸に置き、集中するように動かなくなった。


(そんなに雷が怖いのか。まあ、女の子だからな)


笑みをこぼしながら、少女の新しい一面を見られた広樹。

少し経ち、少女は口を開いた。


「もう開けても大丈夫」


「そうか」


少女の心の準備が出来たことを確認して、広樹はカーテンを開けた。


ザァァァァァァァァ!!


まだ強い雨が降っていた。

これじゃあ帰れないな………ん?


(奥の方はそんなに降っていない?)


いや、見間違いかもしれない。

そんな天候なんて知らない。


「どうしたの?」


広樹がその天候を不審に思っていると、鈴子か気になったように声をかけてきた。


「ん、いやな、こっちは豪雨だけど、奥の方はちょっとしか降ってないように見えてな」


「っ!……気のせいだよ。そんなのありえない」


「そうだな。気のせいだな」


「うん、じゃあゲームをしよう」


鈴子の言葉に従い、広樹はソファーに体重を預けた。










「本当に行き先を知らないの?」


「知りません聞いてませんごめんなさい!」


私は雨に濡れながら、威圧と言う名の拷問を受けています。

もちろん相手は第十位。もう死にそうです。


「広樹は榛名の所に泊まろうとしたのよね?」


「いえ!泊まるとは聞いていません!少しだけ時間を潰させてのことでした!」


私が知っている事を全て教えると、詩織は考える素振りを見せる。

少し怖いですが、私は詩織に提案します。


「詩織。今日は諦めて帰るのはどうですか」


「……何で?」


「あのですね!このまま闇雲に探しても見つからないと思うんですよ!なら!一度帰って広樹の手掛かりを探すのが一番効率的じゃないでしょうか!はい!」


「手掛かりならあるわ。唯一のね」


「あるなら、それを手掛かりに」


「週一で校長に会いに来るというメッセージだけね」


「……」


「……じゃあ一緒に一週間待ち伏せしましょうか?」


……広樹、ごめんなさい。

私とあなたは死ぬかもしれません。












「広樹は高等部に通ってるんだよね」


「ああ、最近からな」


「最近?…もしかして転校して来たの?」


「まあ…して来たな」


私は広樹の事を知りたいと思った。

彼は高等部の一年で、最近転校して来たらしい。

きっと戦闘力が見つかってここに来たんだろう。


(広樹は私と違って…)


「どうした?暗い表情をして」


「っ、何でもない」


暗い表情をしてたらしい。

なるよ。だって広樹は私とは違う。

こんなに明るいんだ。駄目な私にも優しくしてくれる。

きっと友達がいっぱい…


「ああ、でも最近クラスが閉鎖してな、暇な時間を過ごしてる感じだ」


「っ!」


クラスが閉鎖。

じゃあ広樹はずっと家で過ごしてるの。

今の私みたいに。


「そして……」


「どうしたの?」


「いや、ちょっと悪夢を思い出してな」


「悪夢?」


悪夢?

さっきの私みたいに表情を暗くした彼は、何かを思い出したみたいに溜め息を吐き出していた。

とてもつらそうに思えた。

だから私は、


「何か力になれる?」


「……」


「どうしたの?」


「いや、前に会った子にも、同じ事を言われてさ、それを思い出しただけだ」


「そうなんだ」


やっぱり彼は人気者なのだ。


汚かった部屋を綺麗にしてくれて、美味しいご飯を作ってくれて、私とゲームをしてくれる。


とても優しい広樹だから、誰かを助ける彼だから、その子は助けようとしたんだ。

なら私も助けたい。


「何か無い?」


「相手が相手だからな」


「相手?…敵?」


「ああ、敵だ」


人気者は憎まれると聞く。

広樹を妬む悪い奴らがいるんだ。

なら、私が解決できる。


「私がその敵と…」


「駄目だ」


「っ!?」


初めて聞いた。

お風呂の時とは違う本気の声質。

そんなにも広樹が恐怖する人。

でも私は、


「私は戦闘力者だよ」


「知ってる。でもアイツも同じだ」


「私は成績が良い、それに強いよ」


「それでも駄目だ」


何で信じてくれないの。

私はとても強いのに。

校長から褒められているのに。

研究者達にも笑顔を向けられるのに。


私は戦闘学で強いのに。


だって私は序列…


「お前に怪我をして欲しくないんだ」


「えっ」


「俺の問題に鈴子を関わらせたくない」


そう言って私の頭に手を置いてくれた。

まるで、子供をあやすお父さんみたいに。


………。

広樹は…優しすぎる…。

誰かのためには動くのに、自分の為には誰にも頼らないの?

そんなのおかしい。


「本当に要らないの?」


答えは分かっている。でも口が勝手に動いてしまう。

一言でも頼めば何でもやってあげるよ。


「ああ。俺だけで何とかするよ」


うん知ってた。広樹は絶対そう言うって。


だから…


「……分かった」




広樹のために、

広樹に頼られるように、

広樹に信じてもらえるように、



鈴子わたしは変わろう。







「おっ、雨が止んだみたいだな」

読んでいただきありがとうございます!


たまに自分の書いている作品に不満がないか心配する時があります。

もしも駄目なところや、助言などがあれば、いただけると嬉しいです!


これからもよろしくお願いします!

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