第26話、鈴子(もっと…もっと…)
お久しぶりです!
書けました!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
いろんなコメントをお待ちしております!
「詩織さん……帰らせていただけませんか?」
「……」
私の後ろにいる第十位は笑顔を作るだけで、何も言ってくれません。
もう目から涙がこぼれそうです。
「私の発信機は一〇〇〇メートル以内で感知するもので、……広樹がその範囲以内にいなければ、反応しないといいますか……」
「……ん?」
「ごめんなさい!頑張りますから、その笑顔の圧力をやめて下さい!」
もう怖いです。
もしこのまま広樹が見つからなかったら…
だからお願い!広樹!どうか現れて!
「そこの実験室にモンスター」
「了解、じゃあ俺が仕留めるな」
「うん」
ヒーローkyー ランクS マシンガン
グリーンベル ランクS スナイパー
ステージ『モンスター開発施設』
カレーを食べてから、鈴子の口数が多くなった。
さっきの食事で心境が変わったのだと思う。
そして、鈴子がハマっているオンラインゲーム『エイリアン・ハンター』をやる事になった。
しかも、予備のパソコンを差し出され、半年以上も使っていなかったセーブデータを掘り起こされた。
(予備のパソコンもそうだが、すごいゲーム好きだな。装備もやべーし)
改めて、隣でパソコンとにらめっこしている少女がどんな人間なのかを理解した。
「広樹、倒した?」
「いや、まだだ。俺の装備だと難しいな」
「なら、窓の外に追い出して」
「逃げられるぞ?」
「大丈夫」
なんだろう、ブランクの差なのか、すごく頼もしく感じる。
言われた通りに、マシンガンを連発して窓の外に敵を追い出した。場所は八階、モンスターは逆さまに落ちていく。
そして、
「狙い撃つ」
鈴子の一言でモンスターの頭が吹き飛んだ。
「…お前、どこから撃った?」
「一番高いビルの屋上から」
「一六〇〇メートルはあるぞ」
「余裕」
完全にやり込んでいる。
何そのプロっぽい発言。
さっきまで泣いていた顔が嘘に見える。
今のお前はアレだ。
黒スーツの殺し屋
「背後に立ったら、ドキュンする系か?」
「?…ドキュンしないよ」
「そうか」
「広樹、新しい連携をやってみたい」
「ん、どんなだ…」
湿った空気を感じ始め、ついにポツポツと雨音が聞こえるようになった。
「詩織様…雨が降り始めましたが…」
「……」
「はい、探させていただきます」
第十位に逆らう事は出来ません。
だから広樹!お願いだから返信を返して!詩織がヤバいです!
何度もメッセージを送っているが、広樹からの返信が届く事はなかった。
「……」
少女は着替えたばかりのポケットに、妙な膨らみを作っていた。
それを作ったのは彼がトイレに向かった時。
ピコーンという音が、置いてあったスマホから鳴った。
画面を見てみると『榛名:広樹!ヤバいです!連絡を下さい!』
「……」
それを見たら身体が勝手に動いた。
端末の電源をオフにし、流れるようにポケットにしまったのである。
「なあ、俺のスマホ知らねえか?なんか見つからなくてさ」
その声にビクッとしたが、冷静に。
「バッテリーが無いってピーピー鳴ってたから、部屋で充電してるよ」
「そうか、ありがとな」
「うん」
何でだろう。もう少しこのまま一緒に…
「でさ、この連携は難しくないか、覚えるのに苦労しそうなんだけど」
「コツがある」
「分かった」
もう少し、このままでいたい。
モールス信号
一定のリズムの光や音を使う事で、声の変わりにメッセージを届ける方法。
「拳銃の発砲音を利用してのモールス信号。敵への牽制と仲間へのメッセージの同時行動……必要か?」
「エイリアンの中で、妨害電波を出すのがいるから必要」
「今一緒にいるから必要無いよね」
「……家でやる時とか」
「電話を使ってやれるね」
「それはズル」
「はい」
見事に論破されてしまった。
仕方なく、色々と覚えさせられた。
そして、
ヒーローkyー:パパパン・パン・パパン・パン・パパパパパン・パン・パン・パンパン…
『敵、屋上、向かってる』
グリーンベル:パン・パパン・パン・パパパン・パン・パン…
『了解、このまま、私、狙撃』
さっきまでの会話が嘘のように消えて、暗い雰囲気が流れている。
「なあ、覚えた後で言うのもアレだが、普通に喋らねえか?無言でゲームはちょっとな…」
「ごめん」
「もしかして、今までフレンドがいなくて、寂しく考えた連携だったとか?」
「……」
「なんか悪い…」
暗い空気になってしまった。
少女の気持ちを感じ取り、また機会があればやってやろうと考える広樹。
そして時計は六時を回っていた。
そろそろ…
「じゃあ、そろそろお暇するよ」
「っ!?」
鈴子は大きくビクついた。
どうやら、ゲームに集中して時間を忘れていたらしい。
本当にゲームが好きなんだろう。
「じゃあな」
「待って!」
突然の呼び止め。
鈴子は窓の外を指差した。
外は雨が降っていた。
「雨か?走るから大丈夫だよ」
「……」
心配してくれたのは嬉しいが、そこまで気にすることでもない。
「じゃあな」
「……スマホ」
「ああ、忘れるところだった」
確か充電をしてもらっていた。
危うく忘れるところである。
「取りに行ってくるから、玄関で待ってて」
「おう」
鈴子は寝室に向かった。
「……」
……
ベットの上に座る少女は、精一杯に……
「おーい。三分くらい経ってるけど大丈夫かー?寝てないかー?」
しばらく戻って来なかった事を不審に思い、寝室の扉まで来た。
広樹の言葉に反応するようにゆっくりと扉が開く。
「ごめん。…ちょっと目眩で休んでた」
「おい大丈夫か?」
「大丈夫、玄関に行こう」
「お、おう」
どこか無理をしているように見える少女。
広樹の中で何かと少女を心配していた。
そして少女はゆっくりとドアノブを握る。
「広樹…もしも雨がとっても大量に降ってたら…どうする」
「ん、とってもか?帰るのが難しくなるな。掃除したけど、傘が見つからなかったし、…てか改めて聞くが、何で傘が一本も無いんだ?」
「……私は使わない派だから」
「風邪ひくぞ」
鈴子がゆっくりと扉を開ける。そして最初に見えたのは、
ザァァァァァァァァ!!
「「……」」
……ゲリラ豪雨?
これからもよろしくお願いします!
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