第22話、詩織「………」クンクン
書けました!
けど、少し心配なところがあります…
ネタバレになるかもしれないので、下の後書きに書いておきます…
今後もよろしくお願いします!
多くのコメントをお待ちしています!
間違い、訂正場所があり、9月17日に訂正しました!
「任務を受けたわ」
「へー、そうなんだ。……で、何してるの?」
武器を受け取って帰ってきたら、何故かキッチンでお茶漬けを作っている少女がいた。
「任務の内容は…」
「人の話を聞けよ」
少女の耳は飾りだったみたいだ。
「着いたわね」
「前にも来たことがあったが、やっぱり人が多いな」
快晴の空が広がる。
戦闘学の外に出て、やって来たのは海上にある大型パーキングエリア。
平日にも関わらず、見渡す限り人で溢れかえっていた。
「それじゃあ、行動に入りましょう」
「おう。また後でな」
お互いに言うことを残し、別行動を始めた。
今回与えられた任務は、パーキングエリアの監視、警備だった。
改めて広樹は戦闘学の任務がどのようなものかを理解した。
内容によると、今日ここで闇組織同士の麻薬取引があるらしい。その取引現場を抑えるのが今回の任務。
今回は警備も行うという事で、ここの警備部の協力も得た。
「おっちゃん、たい焼き一つ」
「はいよ!」
危険な事が嫌いな広樹は、端から任務をする気は無い。全てを詩織に任せる気満々だった。
(別行動を提案して正解だったな)
二手に分かれれば、視野が広がるとか言って今の状況を作り出したのだ。
(さてと、金もあるし適当に…)
(とりあえず怪しい場所から行きましょうか)
詩織は駐車場を歩いていた。
取引が外ではなく、車の内部で行われる可能性が高いと考えたからだ。
(どこにいるのかしら…)
行く当てもなく、ただ歩くだけ。
「……これは止めた方がいいのか」
つい口元から声が漏れた。
広樹は目の前の出来事に判断を煽られていたのだ。
「もう!うんざりなのよ!わたしはパパのものなんかじゃない!」
「俺もだ!親父!どうして俺たちの結婚に反対するんだ!」
「兄妹で結婚なんて許されるはずないだろうが!さっさとこっちに来い!」
大きな声に釣られて、建物から続々と人が出てくる。
展望デッキに父、兄、妹ぽい三人組が昼ドラみたいな展開を繰り広げていたのだ。
(兄妹揃って縦格子の外に出ちゃってるな)
サッカーボールがすっぽりハマりそうな隙間を持つ縦格子の奥で、心中を図ろうとしている兄妹。
(みんなも見てるだけだし、どうするか)
状況を整理する広樹。ついででも警備という任務に就いてしまった以上、役目を果たさないといけない。それに、このままでは海にドボンだ。
(あのオッサンが固いから駄目なんだよな)
この場を終わらせられるヒントを見つけた広樹は、ゆっくりと固そうなオッサンに近づく。
「あの親父さん。ちょっと良いですか?」
オッサンに横から近づき、誰にも聞こえないよう、耳元に口を寄せた。
「今は忙しいんだ、邪魔をするな」
「子供たちの命と結婚、どっちが一番大切ですか?」
「命に決まっている!」
声を荒げるも、引かずに話を続けた。
「なら、まずはあの子たちをフェンスの中へ連れ戻さないと」
「それでも嘘は言わんぞ、俺は嘘が大嫌いなんだ」
チッ、なんて頑固な親父なんだ。
広樹の考えた作戦が無駄になった。
ならばと、広樹の視線は次の相手に向いた。
「おい!そこにいる兄妹の兄の方!」
「な、なんだ!」
オッサンの一歩前に出て、大声を飛ばした広樹。
突然の問いかけに、戸惑う兄妹。
「お前らは愛し合ってるんだよな!」
「ああ!愛し合ってるよ!」
問いかけを聞いてくれるなら、ここから先は大丈夫だろう。
広樹の中で新しい作戦を実行してた。
「兄!お前はその子と結婚したいんだよな!」
「ああ!」
「その子を妻にしたいんだよな!」
「ああ!」
「その子と○○○したいんだよな!」
「ああ!っぅええ!?」
完全な放送禁止コードを唱えた。
突然の内容に混乱を起こした兄。
広樹の言葉を聞いて、小さい子供を連れた親たちが、子供の耳を塞がせる。
「だから!お前はその子の○○○に○○○を○○○いのかを聞いているんだ!」
「ッッ!?」
顔を赤らめる兄。それに釣られて、同じように赤くする妹。
「言えないのか!結婚するって言うのは!イコール○○○○する事なんだよ!なら!お前の気持ちを親父に叫んでやれ!」
「いっ、いやでもっ」
「でもじゃない!」
完全に場を支配した。
広樹は怒り顔を作りながら、ゆっくりと二人に近づき始める。
「でもで片付けるな!はっきり言ってやれよ!俺は妹と○○○○したい!って!」
「服を脱がして○○○に○○○して、滅茶苦茶にしたいってよ!」
「大勢いるから恥ずかしいのか!そんなんで兄妹結婚なんてできるか!○○○兄妹!」
「ほら!今スマホを構えている人が大勢いるだろう!今からお前の叫びがSNSで全国に流れるんだ!お前の全てを大声で叫んでやれ!俺たちはこれから○○○○するんだって!さあ!叫べ!」
「「ッッッッッ!?」」
兄妹そろって茹でダコ状態になっていた。
ようやく手が二人に届く位置にきた。
広樹の作戦は、二人をフェンスの中に無理やり引き摺り込むことだった。
なので、相手の注意を逸らす話題をぶつけて、確実に手が届く距離まで近づいたのだ。
後はフェンス越しに抱きついて、この場にいる全員に捕まえるように呼びかけるだけ。
そして広樹はゆっくりと近づき、縦格子を強く握りしめ、
「なあ!やってやろうぜぇぇええええ!?」
バキッと音が鳴る。折れたのは、縦格子を支えていた柱だった。
落ちる刹那に見えたのは、突然の出来事に身体をしゃがませる二人の影。
(二人揃ってなんでそんなに反射神経がいいの!?普通は一緒に落ちるだろ!てか!何で俺が触ったら折れたの!?おかしいだろ!?)
声にならない叫びを上げて、掴んだ縦格子と一緒に落下運動を始めた。当然見えるのは海面……?
(何あれ?)
見えたのは黒い斑点。波の影ではなく、キノコが生えているように見えた何か。
(てか!ヤバイヤバイヤバイ!?落ちるぅぅううう!?)
「戦闘学から派遣されて来ました姫路詩織です。……これはいったい?」
「はい、ご覧の通り。麻薬取引をしていた組織の構成員です。……ただこれは」
詩織の目の前には、縦格子の隙間に首を挟んだ八人のウェットスーツの男たち。
完全にお団子三兄弟みたいなっていた。いや、八人兄弟か。
側から見たら、完全に笑える姿である。
そして、詩織が不可思議なものを見る目で、男たちを見ていると。
「ああ、詩織か」
「広樹!これはいったい!」
シャワーを浴びて来たのであろうか、髪からシャンプーの匂いを漂わせて歩いて来たのは、新しい服に着替えた広樹だった。
何故か死んだ目をしているが。
「もう帰るわ。じゃあな」
一人で呑気に時間を過ごそうとして。
オッサンを説得しようとして。
放送コードを叫びまくって。
海に落とされ。
気づいたら構成員捕獲。
もう広樹の精神はズタボロになっていたのだ。
「ちょっと待って!…ああ、警備員さん!戦闘学に報告の連絡をお願いします!…ちょっと広樹!」
ドアから出て行った影を追いかけて、もう一人の影も部屋からいなくなった。
報告書
組織は建物内ではなく、海上で麻薬取引を実行。
それを荻野広樹が発見。展望デッキにあった縦格子を使い、構成員八人を無傷で捕獲に成功。さらに麻薬の入ったケースを発見。のち、全てを警備部に引き渡し、任務を達成。
作成者 姫路詩織
「縦格子?」
「広樹くんは何をやっているのでしょうか」
学園長室で会話をしているのは、校長と天草先生だった。
二人は詩織から送られた任務の報告書に、疑問を抱く。
「でも、広樹くんの初任務がこの結果であれば安心……安心なのか?」
せめて人殺しだけは回避してほしいと思っていたが、予想外の結果に混乱が生まれていた。
「安心ですよ!これで広樹くんの安全性は保証できました!」
今回の任務は広樹を試すものだった。
彼が戦闘力や武器を使って敵を殺すか殺さないかの審査。
監視者を送ろうと考えたが、バレる危険性に伴い、報告書のみで判断すると決定した。
「シミュレーション訓練機の記録を見たが、あの結末と今回の結末は全く別物だね」
「あれはゲームです!広樹くんが実際に戦えばあんな酷い事はしませんよ!結果も出ました!」
生徒を思う天草先生は、広樹を大切な子供のように思っていた。それ故、今回の審査も彼の良い結果を信じていた。
「そうだね。これで私も少しは安心するよ」
広樹の人間性を知ることができた校長は、溜まったシコリが取れたような顔を見せた。
「では、『あの』任務に詩織ちゃんと広樹くんを参加させると言うことで?…でも二人だけでは…」
「分かっている。だが、今使える序列者は限られているんだ。今回の任務に間に合うのは詩織くんのみ」
「そこに広樹くんを加えるんですよね」
「ああ。出来れば序列外も数人連れて行きたかったんだが……」
「申し訳ありません」
「謝る必要はないよ。私も注意していれば良かった」
この前のシミュレーション訓練機の影響は、クラスで収まることはなく、戦闘学全体に伝染していったのだ。今の彼の評価は良い意味、悪い意味でも最悪の文字に尽きる。
よって、広樹のいる任務の同行は不可能と判断した。
「広樹くんを一人残して、数人の戦闘力者を任務に導入するのはどうですか?」
「詩織くんを抜きにして、今派遣できる戦闘力者の束と広樹くんを戦わせたら、どちらが勝つと思う」
「…広樹くんです」
少し間を置いたが、正直な気持ちを答えた。
だが、これで自分の提案を自分で潰したことになる。
改めて、自分がやってしまった過ちに後悔が蘇った天草先生。
「じゃあ決定だね。『あの』任務では、広樹くんの情報をすべて伏せろ。伝える情報は、彼が優秀な戦闘力者であることだけだ」
「了解しました」
校長の指示に返事を示す天草先生。
「予定日までは少しある、自由な時間を過ごしてもらいたいね」
下ネタというか、〇〇を連呼した事で警告が来ないか怖いです。
もう一つ、富士山や東京などの名前を使うこと許されると思いますが、〇ほたるは、〇を使わなくても出していいのか分からなかったです。正直これも警告が来ないか心配です……
○ほたるは取り消して、海上大型パーキングエリアにしました!
それでは!今後もよろしくお願いします!