第21話、榛名「もう深夜…明日に用意するなんて言わなければ良かった〜」
書けました!
いろんなコメント待ってます!
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よろしくです!
間違いと訂正場所を教えてもらい、9月17日に訂正しました!
ピンポーン……
「広樹?」
インターホンを鳴らしても、部屋の主が出てこない。
「………」
人体強化発動…聴覚強化。
……。
(足音無し…物音無し…呼吸音無し…)
閉まる扉に耳を当てて中の音を調べるが、何の音も聞き取ることはなかった。
「……広樹がいない!?」
一人の少女が発狂している頃……
「っ!?」
「どうしたの?顔が青くなってるよ」
「いや、なんか悪寒が…」
広樹は研究所にいた。
訪れた目的は昨日頼んだ装備の受け取りである。
「でさ、装備なんだけど…ちょっと『ピコビリハンマー』のデザインを変更しちゃったんだ〜……周りに色々言われちゃって…」
昨日のポジティブキャラが嘘のように消えた榛名。
聞くと、あの後に研究所の人たちから色々言われて、変更させられたらしい。
「で、完成したのがコレです」
言われて目の前に出されたのは、メタリックホワイトの塗装が施された長方形の箱だった。
「筆箱?小学生の頃に使っていたのと似てるんだけど」
「うん、私もそう思った。角の所にボタンがあるから押してみて。ああ、持ち方はこうね」
持ち方を指定されてポチっと。
押したと同時に箱が変形し、長さ五〇センチの振り回せそうな長方形の箱になった。
「近接特化の武器。切るんじゃなくて、打ち付ける武器なの」
そう言われて、変形してできた取っ手を持ち、振り回すように振ってみる。
「なんかバットを振るのと同じ感覚だわ」
「まあ、刃がついた薄い武器じゃないからね。ちなみにスタンガンも搭載してあるから」
そう言われて、どこに電流が流れるのかを探ってみるが、取っ手以外は真っ平らで、特別形が変わった場所は無かった。
「これね、広樹が触れている箇所以外に電流が流れるようになっているんだ。詳しく説明すると…」
取っ手部分が赤外線指紋認証装置になっていて、変形させた後からは、広樹の手でしか触れられないようになっている。
広樹の手以外の物や人に触れれば、電流が流れる仕様なのである。
「それって俺の肩とか当たったらアウトじゃね?」
「そこは大丈夫。高いAIを搭載したから、使い手に電流は流れないよ」
安心した。
改めてピコビリハンマーを……ハンマー?
「もうハンマーじゃないよな?」
「もう原型もないしね」
トホホと顔に影を指す榛名。
もうハンマーと言うよりは、特殊な形をしたバットに近い。
「新しい名前はね…『E』」
それがこの武器の名前になった。
「Electricの頭文字を取ったの……私が名前を決めたかったのに……」
最後に不満の言葉が聞こえて来た。
どうやら名前も誰かに決められたらしい。
「…フッ…フフフっ…ははは!」
突然笑い始めた榛名。
気持ち悪くなった広樹は少しだけ身を引かせる。
「私が!この私が誰かのいいなりになると思う!私が作る武器わね!私の作品なの!子供なの!」
何かへ向けた演説を開始した。
火を付けたように顔を思いっきり上げた榛名は、
「広樹!変形したから、ボタンが一つ出てきたよね!押して!」
「お、おう」
興奮気味の要求に従う。
ポチッ…ポン…
「これは?」
「球よ!」
「うん、球だね。…なんで?」
取っ手部分から排出された球が床に転がった。
「中にね!ガスを仕込んでおいたの!それでボールを膨らませてポンという仕組みなの!」
「お、おう」
自慢げに話す榛名に、詰まった言葉で返すしかない広樹。
いろんな意味で、手に何を持っているのか分からなくなったからだ。
「さらに!ボールを出した状態でEを揺らすか振ってみて!」
言われるままにEをくるっと、
『OhーOhーOhー』
『さあ!ランナー満塁の逆転サヨナラチャンス!バッター姫路詩織に変わって!ピンチヒッターとして出てきたのは!荻野広樹だ!』
『OhーOhーOhー』
「……何これ?」
「野球実況が流れるようにしました!ちなみに他の音も流れます!」
Eから発せられたのは、テレビで聴いたことのある応援歌と実況だった。
しかもオリジナルバージョンになっている。
「ボールと棒がそろったら野球でしょ!今度やってみて!」
「おう」
これが榛名なのだと理解した。
「広樹!どこにいるの!」
不法侵入者は広樹のうちに入り、リビングで発狂していた。
「どこ!」
風呂場
「どこ!」
洗濯機の中
「どこ!」
洗濯物が干されているベランダ
「どこ!」
トイレ
「どこ!」
クローゼットのある寝室
「じゃあ次は銃の方だね。安全装置を取り外して、Eと同じように赤外線指紋認証装置を付けたよ」
テーブルに拳銃が二丁置かれた。
両方とも緑黒の迷彩に塗装された光沢ある鉄の塊。
似ているが、一部形に違いが見えた。
「形はデザートイーグルに似ているけど、中身は全く別物になってます。名前は『アルテミス』」
狩猟と弓術を司る女神の名前だ。
広樹は出された二丁を両手に持ったが、重さに腕がぶらついた。
「これは威力を上げて反動も大きくなっているから、狙いをズレにくくするために、重さを増やしたの」
追加で説明されながら、アルテミスをテーブルに戻す。
そして、次にテーブルに出されたのは色違いの2種類の銃弾。
「次は銃弾の説明ね!一つは50AEの銃弾をモデルにして!私が作り上げた銃弾!『フォレスト』!」
アルテミスの素材を頑丈にすることによって、銃弾に使う火薬の成分を強力な物にした。
フォレストの特徴は通常の銃弾より速く飛び、威力を上げたことにあった。
「で!もう一つの銃弾ね!その名も『ディザスター』!」
ディザスターの特徴は爆発。
銃弾はただの鉄の塊ではなく、榛名が開発した爆弾。つまりは小型グレネード。衝突と同時に爆発する仕様になっていて、一発で戦車を吹き飛ばせる。
「なあ榛名、さすがに戦車を」
「二丁のアルテミスに別々の銃弾を入れて使い分けてね!呼び方も『フォレスト』と『ディザスター』でいいんじゃないかな!」
気になった疑問を妨げる榛名。
言われるままに従って、あっという間にホルスターを身体に着せられ、装備を着こなした。
近接武器…『E』
銃器…『アルテミス・フォレスト』『アルテミス・ディザスター』
日用品…『隠し傘』
「……隠し傘は何も変えなかったんだな」
「できれば内緒にして頂けるとありがたい!」
どうやら、ただの傘ということで、みんなから隠し通せたらしい。隠し傘だけに。
「広樹の匂い!?」
「でさ、今後の予定とかあるの?」
お茶を飲みながら榛名が質問をした。
「いや、まだ何も決まってないな」
「そうなんだ。詩織とチームを組んだって聞いたけど、任務とか聞いてないの?」
「何も聞いてないな。チームを組んだのも昨日からで、任務もさっぱりだ。…本当にさっぱりなんだ」
任務も戦闘学の常識があるのかと気になり続けていた。
だって、銃刀法違反を余裕でさせちゃっているし。
広樹の中で、戦闘学の任務がどんなものなのか、薄々と理解し始めていたのだ。
「適当に詩織に聞いてみるよ。お茶ごちそうさん」
「ん!武器に問題があったら持って来てね!私が修理するから!」
「おう」
椅子から立ち上がり、榛名と言葉を交わして部屋を後にした。
これからもよろしくお願いします!
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