第20話、榛名「ねえ?広樹と同じマンションに住んでいるのって本当?」詩織「……」榛名「ねえ!教えてよ!」詩織「……」榛名「じゃあ、広樹に聞くよ。」詩織「っ!?」
書けました!
これからも、よろしくお願いします!╰(*´︶`*)╯
いろんなコメントをお待ちしております!
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ちょっとまずいことに気づいたので!すぐに訂正しました!
「ーーということなの」
「…へ?」
朝来ていきなり言われたことに、理解が追いつかなくなる広樹。
「という訳で、これからチームとしてよろしく」
「ちょっと待て」
詩織の笑顔に向けて、手を差し出してストップをかける。
え?なにこれ。
(なんで俺がこの女と組まないと行けないの?)
「ちょっと待てと言われても、校長の命令だから拒否は難しいわよ」
「うっ……」
なんで校長が勝手に決めているんだよ。
広樹の中で再び憎悪が生まれていた。
「それじゃあ、授業も無い訳だし、装備を整えましょう」
「装備?」
「ええ、支給品はあくまで専用じゃないから、ちゃんとしたものをカスタマイズしなきゃ」
装備?カスタマイズ?なんのこっちゃ?
結果的に、もう戦闘学の常識が嫌になってきた広樹は、話を聞き流すことにした。
「じゃあ行きましょうか!」
「……おう」
「ここが私が使っている開発施設よ。研究施設とも呼ばれてるわね」
五階ほどのガラス張りの建物がある。
モノレールに揺られること一時間。
やって来たのは詩織がお世話になっていると言う開発施設だった。
てか、開発って?
「(お前の)何を開発しているんだ?」
「(銃やナイフとかの)武器よ」
「(おっ○いを開発しているのか、)お前ヤバイな」
「ヤバくないわ、普通よ」
もう戦闘学がなんだか分からない。
これからする会話の九割以上は聞き流したい。
広樹の精神はヤバイところまで行っていた。
そして、広樹の中で、ある結論がよぎる。
「まて、俺をここに連れて来たということは…」
「決まっているでしょ。広樹も開は」
「いらない」
即決だった。
今の広樹の表情は、青く汗がドロドロに流れている。
(なんでだよ!?俺の何を開発するの!ナニを開発するの!?嫌だよ絶対!)
余裕のない状況に広樹は恐怖する。
そんな広樹に詩織は真剣な眼差しを向けた。
「確かに広樹には必要無いかもしれない。でも、開発しないよりは、しておいた方がいいのよ」
「しない方がいいんだよ。俺には必要無い」
「じゃあ行きましょ!」
(ねえ!人の話聞いてる?)
会話が噛み合わなくなり、広樹は必然的に一歩、身を引いた。
「ん?…広樹、どうして距離を」
「あれ?詩織!」
詩織が近寄ろうとした時、突然建物から高い声が飛び込んで来た。
「榛名、久しぶりね」
「うん!久しぶり!今日はどうしたの?」
「お客さんを連れて来たのよ」
「そこにいる男のこと?」
自動車整備士のような格好をした少女が顔を向けてきた。
ちょっとお茶目っ気が見える少女の登場に広樹は…
(お客さん?…ということは、この人が俺を開発するのぉ!?)
九割以上を聞き流すつもりだったが、十割聞き流さないともうヤバイ。
「初めまして!緑川榛名です!お名前を聞いても?」
ポジティブな自己紹介に圧倒されて、流されるままに自己紹介をした。
「荻野広樹です」
「っ!?……マジですか……詩織さん!マジですか!?」
突然に視線を外し、詩織の胸ぐらを掴みかかった榛名。
「マジよ、あと苦しい」
「詩織さんマジパネェー!めっちゃ連れて来て欲しかったんですよ!メールもしましたし!」
「ええ、メール通りに連れて来たわ」
「ありがとうございます!ア○ルバンカー!」
「よしっ!広樹!別のところに行きましょう」
「冗談です!ごめんなさい!黒槍出現様!」
流れるままにガールズトークが進んでいるが、広樹は死んだ目をして聞き流していた。
(話が早すぎて全く分からん)
ジャレ合いが終わって、再び榛名が広樹に向き直り…腕を掴んで歩き出した。
「じゃあ!さっそく中に入ろうか!新しい世界が君を待っている!」
(嫌だぁああ!そんな世界に行きたくないよぉおお!)
建物内に連れて行かれる広樹だった。
「本当に何を開発してるの?」
「だから武器よ」
「うん!武器!」
建物の中はまるで科学研究所みたいな光景が広がっていた。
白い壁とガラス張りの壁がバランスよく一室ずつを包み込み、防音ガラスなのか鉄を削っているのに雑音が届かない。
「それじゃあ博士のところに行こうか!」
「博士?」
「こっちこっち!」
腕を引かれるままに、一つの扉の前に連れてこられた。
「博士ー!新しいお客さんを連れて来たよー!」
「失礼します」
榛名と詩織は一言入れて部屋に入室した。広樹もそれに続く。
白い壁と化学薬品が棚に並んだ実験室。机には書類の山。
そして、椅子にはカップ麺を持ったロン毛白衣がいた。
「やあぁ、榛名くん、お疲れ様ぁ。詩織くんも久しぶりだねぇ」
ちょっと怪しさを振りまく喋り方をするロン毛の男性。
その長い髪で表情も隠れている。
「でぇ、君が新しいお客さんかなぁ?」
「そうです!」
俺の代わりに返事をする榛名。
その言葉を聞いて、男は広樹の周りをくるりと一周。
カップ麺の醤油の風味が鼻をくすぐる。
「でぇ、お名前は?」
「荻野広樹です」
その自己紹介に博士はカップ麺の容器を揺らした。
「ほうほう、広樹くんねぇ。これからよろしくねぇ」
「よろしくお願いします」
(見た限り、想像するような開発はしてない…よね)
握手をしながら返事を返す。
研究所の内部を歩き回って、広樹の心に安堵が生まれていた。
「私のことは博士と呼んでくれ。おじさんでもいいよぉ。今年で四十歳になるからねぇ」
「じゃあ博士で」
「うんうん」
お互いに自己紹介を終わらせ、詩織が今回来た理由を伝えた。
「それじゃあ、榛名くんに担当を任せるよぉ。詩織くんからも信用されているしねぇ」
「博士ぇええ!愛していますぅううう!」
そう言って博士に後ろから抱きつく榛名。
そんな彼女にこらこらと手を頭に添えた。
「私には妻がいるから愛せないねぇ」
「ガーン」
なんだこの茶番は。
「広樹、帰りましょう。ここじゃない別の研究所を探しましょう」
「ちょっと待ってぇえ!はいストップ!私の研究室に案内するよ!」
詩織の言葉に反応するように、広樹の腕に抱きついた榛名。
そのまま引きずられるように扉を出て行く。
「彼が詩織ちゃんを倒した多重能力者かぁ〜、色々と楽しみだなぁ〜」
博士の独り言は、誰も聞くことはなかった。
「ここが私専用の研究室です!」
思っていた開発はしていなかった。
ここは子供のおもちゃを開発する場所だったんだ。
広樹は見たままを心に受け止めて、整理することに成功した。
榛名の部屋はまるでおもちゃ屋だ。
ピコピコハンマーやヨーヨー、ラジコンカーにプラモデルと、色々とファンシーな世界になっていた。
「また、下らない物を作ったの?」
「下らないとは何ですか!これでも兵器ですよ!」
またもガールズトークが始まる。
広樹は二人を無視し、部屋にあるものを散策した。
(ピコピコハンマー?)
広樹は一つの赤色と黄色を主張したハンマーを見つけた。
だが、知っているピコピコハンマーと比べてちょっと重く感じる。
そんな時、詩織の怒鳴り声が耳に入ってきた。
「だからね!時間の無駄なのよ!もっと普通のを作りなさいよ!」
「作りたいものを作って何が悪いんですか!デザインなんて関係ない!問題は機能性と使う人の技量なんですよ!」
ちょっとうるさく思った。
なので、
「ちょっと静かにしろ」
ピコッ
止めの言葉とピコピコハンマーを詩織の頭にぶつけた。
「っ!?…………」
バタっ……
瞬間、詩織が倒れた。
「ああー、やっちゃいましたね〜」
「え?なんで倒れたの?」
状況が理解できず、質問をした。
「それは私の開発した『ピコビリハンマー』ですよ。電気スタンガン機能を搭載したハンマーです。ちなみに電圧は通常の比ではありません」
わーおぅ。
完全に凶器だったわ〜。
可愛い形をしてて、第十位を倒しちゃったよ。
てか、頭にスタンガンってヤバい?
広樹の中で手に持っている物の正体と、詩織を倒した現状に思考が麻痺し始める。
「まあ、数分したら起きるんじゃないかな。とりあえず、ベッドに寝かすね」
「おう」
冷静な対応をする榛名は、備え付けのベッドに詩織を持ち上げて、ベッドの上に寝かせた。
「それじゃあ!早速注文を聞こうかな!どんな武器がお望み?」
「注文?」
「うん!注文!拳銃、マシンガン、ナイフ、刀、何でも言ってよ!あなた専用に作ってあげる!」
(武器って、銃器のこと?てか何で……もういいや)
学生に銃器が必要になることに不信感を抱いた。だが、これが戦闘学なんだと無理矢理理解し、適当に話を進めた。
「このピコビリハンマーでいいよ」
「えっと…マジ?」
「マジ、これにするよ」
「よっしゃぁああ!私のデザインした武器を持ってくれる人ゲット!」
テンション上げ上げになった榛名は、色々と爆発したように身体を揺らした。
「じゃあ!これもどうかな?」
渡されたのは黒い傘。
また少し重い物だった。
「これも榛名の作ったものか?」
「うん!あと榛名呼びいいね!これからもそうして〜!」
フレンドリーな雰囲気を醸し出す榛名を他所に、広樹は傘を開く。
「で、普通に開いたんだが、これのどこが武器なんだ?」
「へっへー、取っ手の上にスイッチが二つあるよね」
確かに二つのスイッチがあった。間違えて押しそうな位置に。
「あの壁に傘先を向けて、下のボタンを押してみ」
その壁は他の壁とは色が違い、凹んだ跡があった。
そこに傘先を向けて、
「こうか?」
ボタンを押した。
そしてドンッと強い衝撃で傘先が上にズレてしまった。
「これは?」
壁に焦げた凹みができたことと、傘先から煙が上がったことに質問をした。
「まだまだ!次は上のボタンを押してみて!ああ、傘先はどこに向けてもいいよ!」
ボタンを押した。
カチャッ
傘の骨と布が変形し、現れたのは輝かしい刃だった。
「これは?」
「『隠し傘』だよ!あるときは銃!あるときは刃!凄いでしょ!ちなみに、銃弾を通さない素材でできているので盾にもなります!」
「じゃあこれで」
「よっしゃぁあー!」
流れるままに武器を決めて行く。
「でも、やっぱり普通のデザインの武器を持っておいた方がいいよね。私が言うのもアレだけど」
突然テンションを下げ、やはり普通の武器も必要と考えた榛名。
「じゃあ、適当に見繕ってくれないか?」
「それでいいの?」
「ああ」
武器のことについては何も知らない広樹は、選ぶこともできなかった。
よって、榛名に任せるしかなかった。
「分かった!じゃあ手の大きさを測らせて!あとホルスターとかも作るから体格も測るね!」
メジャーを出した榛名はテンションを取り戻し、広樹の身体にペタペタ触り始めた。
「じゃあ拳銃二丁とホルスターを作ろうかな!いい?」
「おお」
「よっしゃ!ああ、それと拳銃なんだけど、最新式のシステムを搭載してもいいかな?」
「何でもいいよ」
全てを聞き流して返事を返す。
もう広樹の中では、全てを聞き流すことにしていたのだ。
「よし!じゃあ安全装置を取り外して、指紋認証にしようかな〜。いや、赤外線指紋認証にしよう!手袋の上からでも使えるように!それと……」
理解のできない独り言を始めた榛名。
「じゃあ俺は帰るよ」
そんな彼女を一瞥し、広樹も精神面で疲れたので帰ることにした。
「ん?分かった!バイバイ!ああ、明日には全部用意できるから!取りに来て!」
そんなことを言ってきた榛名に、ドアにいる広樹は片手を上げて返事を返した。
「ん!広樹!詩織を忘れているよ!」
その言葉を聞いた途端、全力ダッシュを開始した広樹だった。
ぜひ!また読みにきてください!!
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