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第181話、詩織「油断したわ!」鈴子「何っ、このsoldierっ…!」メリル「絶対絶命のピンチデス!?」

書き上がりました!

これからもよろしくお願いします!

「鈴子っ!もう他に集中力を回さなくていいわ!この場だけに集中よ!」


「分かってるっ!」


「何ですかこれ!?一体何がどうなっているですか!?」


「メリルは鈴子と協力して壁に大穴を作って!人質とテロリストを突き落とすのよ!」


「ちょっ!?え!?突き落とすって何ですか!?」


詩織が黒い剛腕を作って、巨大soldierソルジャーの顔面に拳を叩き込む。だがすぐに剛腕に亀裂が走り、黒い肉片へと姿を変えた。


「急ぎなさい!足止めもままならないのよ!」


その必死な形相と怒声に、メリルは即座に『振動粒子』を生み出し壁に浴びせた。そこに鈴子の『誘導改変』も加わり、白い粒子の渦が外へと貫通する。


「連れて行きなさいっ!!」


詩織の命令に反応して、人質とテロリストを包み込んでいた黒い肉塊が動き出す。足や手を生やして、一目散に外に繋がる穴へと飛び込み、その姿を消した。


「これで人的被害の心配は要らないわ」


『ほほう。やはり戦闘学。他者を助ける事を第一にするとは良い心がけだね』


「ジョン・マイヤーっ…!」


『まぁ私には誰を逃がそうとも関係ない。本来ならオーストラリア支部だけが狙いだったが、これは素晴らしい副産物だ』


「副産物っ?」


「ああそうだ」


鈴子の疑問に、ジョン・マイヤーは嬉しそうに答える。


「このホテルでテロ事件が起これば、戦闘学が序列者を派遣すると踏んでいたのさ」


「「「っ!?」」」


突然とsoldierの背骨が伸び、部屋の物を薙ぎ払い一掃した。


『ハハハ、すまないね〜。私のsoldierは自動で戦闘を継続する。まあ戦いながら話を聞きたまえ』


「くっ!!このっ!」


詩織がsoldierの装甲に細胞を生み出し、関節の身動きを封じようとする。だがすぐにsoldierは身体を振り回し、取り付いていた細胞が肉片となって飛び散った。


『無駄だよ。そんなやわな肉塊で私のsoldierは止まらん。たとえ鉄柱てっちゅうを差し込んだとしてもね』


「っ!」


『だが驚いたよ。まさか姫路詩織の能力がそのような変化を遂げたとは。いや、進化だろうか』


関心と興味を口にして、ジョンはカメラ越しで詩織に言う。


『君の解体が楽しみだ。その身体にある情報を全てあばき、新たに生まれるsoldierの発展に役立ててあげよう』


「そんな事を許すと思いますかっ!」


soldierの背後を取り、メリルが振動粒子の渦を放つ。


「これでっっ!」


『倒せたと思ったかい?──アアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』


soldierが咆哮し、覆っていた粒子が一瞬にして壁に叩きつけられた。


『君の能力は分析済みだ。いや、正確にはオーストラリア支部の序列者全員だがね』


「なっ!?」


鋼の剛腕を床に叩きつけ、soldierが高速で移動する。


『私はテロリストにsoldierを売ったが、実は別の目的があったのだよ』


向かってくる頭突きを間一髪で回避するメリル。その背後から詩織が飛び出し、黒い剛腕をsoldierに叩きつける。

だが剛腕は肉片となって吹き飛び、詩織の身体が跳ね飛ばされた。


『私の目的は戦闘力者の『脳』さ。だからテロリストを利用し、今回のチャンスを狙っていた』


soldierが倒れた詩織に狙いをつけて、背骨を振るって跳躍する。だが詩織はすぐに触手を壁に伸ばし、身体を引っ張らせて回避した。


『彼等は良い道化どうけになってくれたよ。まさに私が待ち望んだ光景…いや、それ以上の光景だ!』


「全てはアナタ達のてのひらだったって事ですか!?」


『ハハハっ!ああそうなるね!』


ジョンは愉快に笑い、そしてsoldierが再び剛腕を振るう。


『君達にこのsoldierを討ち倒すのは不可能だ。何せ私の傑作機だからね』


度重なる攻撃に激震が走り抜け、床や壁に亀裂が生じ始める。それを見たジョンは平坦な声を漏らした。


『ああ…、これはいけないね。君達が埋もれでもしたら、探すのに苦労しそうだ』


「「「っ!?」」」


『このままでは部屋が壊れてしまう。だから仕方ないね』


ジョンが何かを指示したのか、soldierは両腕を振りかざして、そこに空間の捻れを生み出した。


『特別に教えてあげよう。このsoldierに搭載されている能力は『風力操作ウインドキネシス』と『硬度操作バードネス』でね』


「っ!?能力を二つも搭載したsoldierなんて聞いた事がないわ!」


詩織の驚愕に、ジョンは機嫌良く答えた。


『ハハハハ!良い表情だ!その顔が見たかった!そして言おう。時代は日々進化するのだよ。そしてここからが肝心だ』


soldierが剛腕を薙ぎ落とす。それと同時にジョンは言った。


『脳を地表にぶち撒けないでくれたまえ』


部屋を崩壊させる程の大衝撃。そこから生み出された風圧と飛来物、そしてsoldier自身が詩織達を一斉に襲った。


『さあ吹き飛べ!能力を上乗せした渾身の一撃だ!そして戦場を変えようではないか!ハハハハッッ!!』



────。

────。



「お、おい…大丈夫か?」


「ああ…この黒い肉が、クッションになってくれた」


「一体何が起こったんだ…」


地上に落とされた人質とテロリスト。彼等は自身に何が起こったのかを理解し切れず、何もできず困惑していた。


だがすぐに真上から聞こえた激震に、その瞳が上を向く。そして見えたのは最上階から飛び出した瓦礫の嵐だった。


「に、逃げろぉおお!!」


誰かがそう叫び、全員が必死になって走り出した。その中で、


「お、おいお前!」


「ハァっ…ハァっ…」


「クソがぁあ!」


テロリストのボスが肩を貸したのは、自分が撃ち抜いた政府の大臣。ケニーは歯を食いしばって、ジョウソンの身体を支えて走り抜けた。


「お前がっ…どうしてっ…」


「知るか!身体が勝手に動いているんだよ!」


ジョウソンの質問にケニーは乱暴に答える。そして飛び込むように茂みに入った直後だった。


『ハハハハッッ!無事かい?私のうるわしい研究材料達!』


巨大soldierが石床を砕いて、意気揚々と声音を振り撒く。そして辺りを覆っていた土煙りから、触手に包まれた三人の少女が姿を現した。


「鈴子っ、まだ出来ないの?」


「繰り返しやってるっ…でも」


『んん?……ああ、そうかそうか。その娘が戦闘に加わらなかったのはそれが理由か』


険しい表情を見せる鈴子に、ジョンは納得したように言う。


『やけにsoldierの反応が鈍かった訳だ。soldierと脳を繋いでいる無線回線に介入しようとしていたんだね』


「っ!?」


『だが困難を極めるだろう。一歩間違えれば人間の『脳』に悪影響を与えてしまうからね。更にsoldierと繋いでいる無線も特別だ。君には到底不可能だったのだよ』


ジョンは鈴子の事情を全て看破し、無理難題だったと嘲笑った。


『だがsoldierの反応を鈍らせただけでも称賛に値する。流石は日本支部の『誘導改変』だ。そして、だからこそ…』


soldierが剛腕を振り上げて、その瞳に鈴子の姿が写り込む。


『君が一番価値があり一番危険なのだ。だから困る。脳と戦い、どちらを優先するべきかをね!──アアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』


地鳴らしを帯びた強烈な咆哮。soldierは剛腕を石床に跳ねつけて、空中を飛んで鈴子に飛来した。


「メリルっ!急いで人体強化ァッッ!」


詩織が全身全霊の力を込めて能力を発動する。出現させたのは肉塊ではなく太い棘。

完全な防御にてっした黒色の棘山を生み出した。


『これは凄い!まさかMaryメアリーを受け止めるとは!だがいつまで持つかな』


「メリルっ!」


詩織と鈴子の身体を抱き締め、メリルはsoldierの巨影から飛び出した。


『まあまあ良い結果だ。だろう?姫路詩織くん?』


「っ…ァッ…ハァっ…ハァっ……」


息を切らし、今にも倒れそうな姿を詩織は見せていた。


『もう諦めてはどうだい?今ので君は体力を使い果たした』


「ッ…何をっ……言っているのかしらっ」


自分を支えていたメリルを払い除け、詩織はsoldierを睨みつけた。


『ほほう。じゃあその言葉を信じようじゃないか』


soldierが床に剛腕を叩きつけて跳躍する。


『脳だけは綺麗に残したまえよ!戦闘学の序列者諸君じょれつしゃしょくん!』


巨大な影が詩織達を覆い、詩織はすぐにメリルに叫ぶ。


「メリ──『逃さん!』っ!?」


周囲に突風が巻き起こり、詩織達を中心に引力の渦が現れた。


『『風力操作』だ!これで逃げられんよ!』


すずッッ」


『もう遅いわぁああ!』


既にsoldierの剛腕が鼻の先にあった。今から鈴子が風力を操作しても間に合わない。

もう逃げる手段がないのだと、ジョンは高らかに笑いながら告げた。


そして、


────────ッッ!!!


轟音と激震が地面を揺らし、あらゆるものが暴風と共に吹き飛ばされる。

そこに起こったのは回避と防御を許さない一方的な重殺。


『アアアアアアアアッッ!』


soldierが咆哮を上げ、剛腕を振るってその場から飛び退いた。


『ああ、一人くらいは綺麗に残っていて欲しいものだ』


残念そうながらも、そこには醜悪な声音があった。そしてゆっくりと土煙りが晴れると、


『さあ、誰が無事だったか──っ!?』


ジョンが声を詰まらせ、soldierに『引け!』と指示を出す。


『何故っ、貴様がっ!?』


捻り出すような驚愕の声に、地にひれ伏していた少女達が反応した。


「何がっ…起こったの?」

「私達…無事?」

「まだ生きているみたいです……でもなんで?」


覚束おぼつかない意識の中で、三人はゆっくり立ち上がり、土煙りに写った人影に固唾を飲んだ。


まさか……そんな……

三人の意識が定まって、そこに立っている人物の正体を悟る。


そして詩織がその名を漏らした。


「広樹…私達を助けに…」



「…………あれ?なんかゴメン、なのかな?」


そこに聞こえてきたのは女性の声で、


「広樹って人じゃなくて、サラ・ホワイトです。オーストラリア支部の」

読んでくれてありがとうございます!


広樹の登場シーンでも良かったのですが……ごめんなさい!サラ・ホワイトの参戦です!


それとメリルの言葉からカタカナが消えてますが、ジョンが現れた事によって英語を喋っています。よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒュー!ヒロキさ……いや違った! ヒロキさんェ一体何をしているのか…… 幼女をガードしてるからね仕方ないね。 次も楽しみにしてますぜ!
[良い点] ジョン・マイヤーが、悪役として素晴らしいですね! [一言] 規制来てたのか。次だと問答無用でなろうだと削除なのでお気をつけ下さい。 ジョン・マイヤーの無様な負けっぷりが本当に楽しみです!…
[良い点] お疲れ様でした。 広樹君は現在おやすみ中です。 ご用の方は「早く起きねぇとベッドの下のアレを大公開しちまうぞ!」と叫んでください(笑)
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