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第18話、詩織「ああ!ああ!ああ!!!彼は絶対に誰にも渡さないっ!!絶対!!」

書けました!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

これからもよろしくお願いします!


感想・コメント・アドバイス・訂正・助言をお待ちしております!!


ストーリーの進行速度がうまく掴めず苦戦しています。

できる限り、面白くできればと思い、これからも頑張って行きます!╰(*´︶`*)╯

「おはよう」


「……うんおはよう、なんで来た?」


早朝七時

インターホンの音を聞き、ドアを開けた先には詩織が待ち構えていた。


「天草先生からの連絡事項があったから、登校前に伝えなきゃと」


「その連絡内容は?」


詩織は複雑そうな顔を作る。


「しばらくクラスは学級閉鎖になりました」


「……へ?…なんで?」


間抜けな声が漏れてしまう。呆然としながら、再び息を吸い込み何故かと聞いた。


「ちょっと問題が発生して、しばらくそっちに時間を費やさなきゃいけないと」


詩織の知らせに、疑問を浮かべる。

学級閉鎖になるほどの何かが起こった。


「どんな問題なんだ?」


「…広樹には関係ないことだよ」


「おい、質問の答えになってないぞ」


「広樹には関係ないことなの。だから気にしないで」


強く押してくる言葉に、広樹は頭をかきながら追求するのをやめた。

ここまで言うなら無駄だと判断したからだ。

だが、もう一つ聞きたいことがあった。


「じゃあ勉強とかはどうすればいいんだ?」


「ああ、それについてだけど」


突然その瞳に異様な光が宿った。


「私が広樹の勉強を」


「間に合ってます」


ガチャンと扉を勢いよく閉じ、ガチと鍵を閉め、チャリと鎖をかける。


もちろん理由はその言葉にあった。推測があっていれば、それは恐らく勉強会に他ならない。


今の広樹にとって、目の前にいた少女との勉強会は恐怖でしかなかった。


『ちょっと!広樹!まだ最後まで言ってないよ!ねぇ!』


聞こえない。

広樹は耳を両の人差し指でがっちり塞ぎ、リビングのソファーまで移動した。


(ああー、でもこれはこれでラッキーかも)


勉強をしないで国のお金で楽々生活。


(金もあるしな)


一億円の当選宝くじは厳重に保管。

それとは別に戦闘学から生活費という名目で金が送金される。

その額五〇万、しかも一ヶ月に一回支給。


(一年間で六〇〇万……ぐふふ)


広樹は完全に歓喜の酔いに溺れていた。

今までにない生活を味わって、その精神は少し悪い方向へと腐敗し始めていたのだ。


『あのー!広樹さん!お願いだから!せめて開けて中に入れてー!何か悪いことをしたなら謝るからー!』


その声によって笑みが歪む。

ゆっくり立ち上がり玄関に再び戻る。

そして、扉を開けずに立ち止まった。


「すまん。体調が悪くなったんだ。また今度話さないかー?」


棒読みが混ざった言葉で伝える。


『え!そうなの!じゃあ看病とか必要じゃない!私は今日一日中なにもないから、世話とかできるよ!いえ!病院に行きましょう!』


「いやいや。病気だったらうつすと悪いしさ、薬飲んでゆっくり寝るから大丈夫だ。じゃあなー」


『駄目よ!酷い病気だったらどうするの!?もしも、脳にダメージや後遺症とか残したら危険よ!』


そんな病気にかかるか、と言いたい。

広樹は心の中で気にしすぎだと思いながら、その言葉を無視し、リビングの方向へと身体を向けた。


ガンッ


鍵が閉まっている扉から音が鳴った。

それは開けられた音ではなく、開かないドアを無理やり開けようとした音だった。


『…本当に危険なのよ』


(危険なのはお前だ!!)


広樹の中で恐怖が蘇った。

ただのドアの音なのに、この威圧と恐怖はヤバイと防衛本能がアラートを鳴らす。


蘇ったのは彼女とのデスレース。コンクリートを抉りとる脚力と猛獣のような叫び。あれは広樹のトラウマになっていたのだ。


『ねぇ…開けてよ…病院に行こう…』


怖いという文字が頭の中で埋め尽くされる。

その言葉と行動に、広樹の精神は動揺と恐怖に襲われていた。


汗を滲み出しながら、震えた口で弁明を図る。


「いや、そこまで酷くはないから大丈夫だぞ」


『…広樹は今まで外に居たから何も知らないのよ。…お願いだから病院に行こう…ね?』


威圧が和らいだ。

それに少し声が震えている感じる。


突然のシリアスな雰囲気に理解が追いつけず、広樹は仕方なくドアをゆっくり開けた。


そして目の前にいたのは、瞳を潤ませる詩織だった。


(えっ、何で泣きそうなの?)


「何でそこまで病院に……」


「いいから来て」


その一言と同時に腕を掴み取り、玄関を後にした。










目の前に見えるのは白い大きな建物。


「早く行きましょう」


「お、おう」


タクシーに無理やり乗せられてここまで来た。

車内では詩織は一言も発さず、ただただ何かを恐れた表情で爪をかじっていた。


建物に入ると結構な人集りがいた。それは学生には見えない大人からお年寄りまで。


そう考えている間にも、腕を引かれるままに到着したのは、受付カウンターだ。


「すいません。精密検査をお願いします」


「はい、それでは整理券を」


「これを」


「ッ、すぐ先生に連絡いたします」


詩織が見せたのは生徒証だった。それを見た途端に顔を豹変させた受付スタッフは、すぐに備え付けの電話に手をつけた。


(序列者だからか?)


様々な権限と融通が利くという序列者の力に驚く広樹。


「連絡をとりました。二階の第一診察室に向かってください」


「ありがとうございます」


また腕を引かれながらエスカレーターに乗った。


そして到着したのは第一診察室の白い扉。


「失礼します」


「どうぞ」


部屋にいたのは眼鏡をかけた老人、キャリアを積んだ年齢に見える男性医師だった。


「本日はどのような?」


「彼、荻野広樹の精密検査をお願いします。」


「彼がっ…何があったのですか?」


「体調不良を訴えています。まだ彼は戦闘学に来てから安全検査を受けていません」


「すぐに準備をします。検査室に行きましょう」


汗を見せる医師は慌てた様子で電話をとり、部下に連絡を始める

詩織はまだ何かに怯えた様子を見せていた。


(え?安全検査?人間を安全検査するって?)


広樹は戸惑った表情を見せる。

そんな広樹に視線を合わせた詩織。


「大丈夫よ。何があっても私は味方だから」


シリアスな雰囲気が二人の間に生まれる。

目の前にいる詩織が少しかっこよく見えたのは広樹の錯覚だろうか。

そしてあっという間に検査室。


「それではここで横になってください」


そう言われて機械のベットに横になる。

その機器は普通の病院で見たことがあるものにそっくりだった。

ドーナツ型の機械が、ベットの上部から下部へ行ったり来たりするやつだ。


グィィィンという機械音を鳴らし、検査が始まる。












「先生、広樹は」


「今のところは何もありません。しかし…」


別の部屋に数人の医師と詩織がいた。

目の前のガラス窓には検査を続けている広樹の姿が見え、モニターには検査の状況が映し出されていた。


「しかし…何ですか?」


「いえ、……詩織さん。戦闘力の危険性については習いましたね」


「はい。だからここに連れてきました」






戦闘力の危険性。

それは人体強化、もしくは能力を使用したとき以外にもある。


戦闘力の影響によるDNA分解構築。


戦闘力者とは、簡単に言ってしまえば、体内に機械のかたまりを入れた人間と考えていい。その機械が作動して、人体強化と能力を発動することができる。


その機械は臓器として存在せず、脳を流れる一部のDNA情報に組み込まれているのだ。


だが、そのDNA情報に損傷や暴走が発生した際、身体にある全てのDNAが壊され、新たに別の形となって構築される。


それによって、『人間(DNA)』から『別の何か(DNA)』へと変貌する者が生まれてしまうのだ。それは人の知性を持たない化物。


DNA情報に問題が発生する要因は様々ある。そのために、戦闘学では戦闘力者に定期的な安全検査を義務付けていた。




「広樹くんの戦闘力なんですが…こんな事がありえるのか……」


「先生?」


詩織だけが理解していなかった。周りにいる医師たちは全員瞳を震わせながら、検査モニターを見ていた。


「戦闘力の安定値は知っていますね」


「はい。戦闘力から発するパルスを測定し、その者がどれだけ戦闘力をコントロールしているか分かる数値ですよね…そして0%になれば」


「ええ、人ではなくなります」


それは戦闘力を持っている者たちが必ず知る常識だった。


「そして現在の平均安定値が約40%、詩織さんは確か…」


「70%です。能力も付属されていますので、総合的に高い数値だと理解しています」


第十位の実力は数値にも現れていた。その評価は世界から見ても高い評価なのである。


「はい。そして……彼、荻野広樹くんなのですが……安定値が100%という結果が出ています」


「……はい?」


聞いたことのない数値に声が漏れた。


「パルスが完全に安定しています。こんなのは見たことがない」


先生がその結果を映し出したモニターを指摘する。


モニターには心電図のような表が映し出されていた。

黒い画面には横一直線に伸びた緑色の線。


「本来であれば、この直線の揺れを観測して安定値を計ります。揺れが大きければ、それほど不安定ということになりますが……」


「……揺れが起きていない?」


「完全に静止しています」


この部屋にいる医師たちも、見たことがない結果に汗を流していた。

それほどまでに驚く結果だった。

そんな前例は世界には無い。


彼と戦闘力は完全に調和をしていた。


この場にいる全員がそう理解した。


「多重能力者の前例もまだありませんので、私たちの知識だけではなんとも言えません……ただ言えることは、彼に分解構築が起こる可能性は無いと思います。」


「そう……ですか……」


「では、お帰りになられますか?校長の方へは私から報告を」


「はい。…お願いします。……彼には待合室で待っているように伝えてもらっていいですか。お手洗いに行きたいので」


「分かりました。伝えておきます」


詩織はゆっくりと部屋から出ていった。








「ッ!?」


声を抑えて悶える一人の少女がいた。

その表情は赤く、汗を滲み出し、酔った瞳を揺らしていた。


今までに無い存在が近くにいる。


完全という数値を持った男が目の前にいた。


世界が欲する戦闘力者が隣にいる。


「……絶対…どこにも渡さない!」


顔を上気させながら、天井を仰ぎ見る少女はとても幸せで、とても欲望に染まった顔をしていた。








広樹は戦闘力が無いと自覚している。

戦闘力が無いということは、体内に『戦闘力=機械のかたまり= DNA情報』が無いということだ。


心電図に反応がない?

パルスが揺れていない?


『結論』

戦闘力が無い=揺れるはずがないのだ。

ぜひ!また読みに来てください!

これからもよろしくお願いします!(≧∀≦)

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