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第160話、エリス(ギャンブルに大切なのは、ただ逃げない事だ)(逃げておけば良かったぁあ!!)

書きあがりましたので投稿します!

よろしくお願いします!

「赤の7番に50!」

「ストレートフラッシュ」

「揃えっ、揃えっ、揃えっ」

「くっ、バーストしちまった…」


ルーレット、ポーカー、スロット、ブラックジャック、etc…と、様々なギャンブルが繰り広げられた空間で、


(くっ、凄くヤりたい…)


俺は賭博を楽しむギャンブラーと同じ空気を吸った影響で、ギャンブル依存初期症状ヤりたいになってしまった様だ。


(見るだけの筈だったのにっ…)


周囲の興奮と歓喜と嗚咽を聞いていくうちに、ポッと胸に欲心が芽生える。


俺もあの空間に入りたいと。


だが出来ない。

当たり前の様に、賭博場ここでは未成年のゲームへの参加は禁止されていた。


(生殺しじゃないかっ…)


本当にキツイ。

ただ日本に無い光景が見られると思い、軽い好奇心で訪れてしまったが、こんなにも自分の琴線よくぼうに触れるとは思わなかった。


「貸してくれ!50!いや、100だ!」

「お、お客様、本当によろしいのですか?」

「いいから貸せ!俺は社長だぞ!すぐに返せる!」

「畏まりました…」


額に汗を流し、瞳を血走らせる大人もいれば、


「これに勝ったら、君に指輪をやろう」

「わぁあ!おじ様ありがとう!」

「フハハ、君は可愛いから、勝たなくてもあげるよ」


若い美女を腕にはべらせる、富豪らしき老人がいる。


日本では到底見れない光景がそこにあった。


これを前にして、何も思わない方がおかしい。


(ヤバイ、我慢が出来ない…)


ドラマやアニメや映画みたいに、バンッ!と決めてみたい。

そんな膨れ上がる気持ちを胸にしながらも、足先を出入り口に向けた。


(出よう…)


欲望に負けてしまう前に、おのれりっして歩き出す。

もしヤってしまったら?一時の気の迷いで欲望に身を任せてしまったらどうなる?


後に訪れる後悔を予感して、やっとの思いで我慢を耐え抜いた。


「賭けて行こうぜ!思いっきり!」

「よっしゃァア!50倍!」

「次はデッカく賭けてやる!」

「こんなにワクワクする事は無いぜ!」

「このハイリスク!このハイリターン!た・ま・ら・な・ィイイイ!!」


ギャンブラー達の欲求を満たす声が耳に届く。それはまるで悪魔の囁きの様だった。


(ヤバイ!このまる気持ちを何かにつけないと本当に我慢出来ない!)


じゃないと、出来心でヤってしまう精神じぶんが現れそうだ。


他所よそから聞こえるギャンブラーの歓喜悲鳴こえから逃げる様に、ふところからパンフレットを取り出して広げる。


そして、(お昼も近いし昼食を─!)と、次の目的地を急いで決めようとした時だった──



「おじい様。私、次はこのギャンブルがやりたい」



聞き覚えのある幼女の声が耳に入った。


「おじい様か……すまないがディーラーよ、この娘を座らせても良いかの?」


「え…ええ、保護者が付き添っていただければ、構いませんよ」


ちょうど目の前にあるポーカーのテーブル。そこに座る五人のギャンブラー。その一席に座り込んだ幼女の横顔が、記憶の中で鮮明に覚えていた。


「ふふんっ、これは勝てるね」


「いや、貴女アナタは昔から運勝負うんに弱かったと思うのだが」


「くっ、それは言わない約束だろ。確かに最近もガチャで大損したけど、臨時収入で再チャレンジしたら勝ったんだよ!」


「臨時収入?まさか、日本支部の…」


老人が何かを思いこんでいる最中に、幼女は手札をテーブルに叩きつけた。


「勝負だ!フルハウス!」


だがディーラーは、


「フォーオブアカインドです」


そして他のギャンブラーからは、


「あ、私はストレートフラッシュです」

「偶然ですね、私も」

「おや、私もですよ」

「どうも…」


幼女を除いた全員がディーラーに勝利。その結果に負けた幼女は、


「ドッキリかぁ!こんな偶然普通あるか!」


「すまぬ、うちの娘が泣き崩れたので退席を。これっ、こっちに来いっ」


「はっ、放せ!まだ勝負は終わってない!次は絶対に勝つ!」


「その次が終わらないのであろう!ガチャとやらも、次で次でと繰り返した結果で部下の財布を荒らしたのが見え見えじゃあ!」


襟元えりもとを掴まれ、子猫の様に連れて行かれる白髪の幼女。

黒いワンピースドレスを揺らしながら、テーブルから立ち去ろうとする中で、「ん?」と、幼女の赤い瞳が自分を写した。


「…………」無言で背を向けて歩き出す俺。


「っ!ちょっと放してくれ!」老人に急ぎ頼む幼女。


「ん?どうしたのじゃ」必死な幼女の頼みに、放してしまう老人。


やばい。やっぱりあの幼女は大物だった。

何となく良いところのお嬢様ではと危惧きぐしていたが、やはりそうだった。


そして記憶によみがえるのは、自分が彼女にさせてしまった行為。


『隣のトイレで幼女にコポコポさせてしまった事』である。


本当にやばい。偉い立場にあるご令嬢だったら、いやそうでなくても社会的に殺される。


明日のニュースで、『旅行で訪れていた日本人学生が、○○財閥のご令嬢に個室トイレでわいせつな行為をさせたと、オーストラリア警察から情報が届きました』とか報道される!


そんな未来は絶対に回避!逃げなければ!全力疾走でこの場から逃げるんだ!

そうしなければロリコンとして世界規模で祭り上げられてしまう!


世界中のテレビでロリコンと騒がれるのは絶対に嫌だ!死刑にならなくても、社会的に死刑じゃないか!


「広樹くんー!!」


「っ!っ!」


とにかく全力ダッシュ!


後ろから声をかけられるも、脇目も振らずにただ走る。

捕まったら一貫の終わりだと、その足は本気だった。


だが、


「スライディング!」


「うぉっ!?」


いつの間にか背後に接近していた幼女からの、思わぬスライディングで足を崩される。


「捕まえたよ広樹くん!やあやあ偶然だね!」


「ど、どうも…です。エリスさん」


逃げられない。

笑顔で足に抱き着くエリスに対して、俺は苦笑いしか浮かべられなかった。


「また敬語かい?この幼い容姿で敬語を使われると、まるで私の秘密を知られている気分になるよ。え?私について何か知っているのかい?まさか此処に来た理由も?」


今知ったんですよ。良いところのお嬢様だとね。

警戒態勢の強化されたこのホテルに入れるのは、お金持ちのVIPに準ずる関係者のみ。


ここにいる事で、エリスの素性すじょうは完全にれた。


「まあいいや!とりあえず、偶然の再会を祝して一緒に昼食でもどうだい?おごるよ、このホテルの豪華フルコースを!」

読んでくれてありがとうございます!


琴線『きんせん』なのですが、読み方を『よくぼう』に変えてみました。


これからもよろしくお願いします!

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