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第159話、さやか「葉月!良い情報が手に入りましたよ!なんと詩織と鈴子が──っ!」

投稿が遅くなってすみません!

書きあがりましたので投稿します!

よろしくお願いします!

『レストラン』、『BARバー』、『スポーツセンター』、『エステ』、『プール』、『劇場』、『ショッピングモール』…


多い……


改めてパンフレットに載っている施設を確認したが、一日で回りきれるか分からない施設数に圧巻あっかんした。


これも世界中の裕福層セレブを呼ぶ為の努力なのかと、ホテルリゾート運営者の頑張りが伝わってくる。


「まだ時間があるしな…」


時刻は十一時。

目的のコンサートは十六時からの開演予定。


残念ながら座席チケットの購入が間に合わず、立ち見を余儀なくされた。


コンサート会場には屋根が無く、なんとかホテルの上階から見える。そこにあるテラス席で、鑑賞する事に決めた。


だが、まだ五時間も残っている。


詩織と鈴子から逃げたいが為に急ぎ過ぎた……


「メリルにメールでも……いや…でも」


絶賛機内モードに設定している端末を取り出して、そこから少し考える。


全てから逃げたいが為に機内モードにしたが、今になって解除するのが怖い。


メッセージだったら良いが、いきなり電話なんて来たらと考えると、本当に怖い。対処に困り果てる。


だが、向こうの状況も気になってしょうがない。

無事に会場に着けた安心感の影響なのか、今になってあの二人の恋愛相談がどうなったかモヤモヤと来ていた。


「……よし」


端末の『飛行機マーク』に指をかけ、今からする事に心構える。


メッセージが来ていなかったら、状況確認の質問メッセージを送信。そして機内モードに再設定。


もしメッセージが届いていたら、『飛行機マーク』を押して機内モードに再設定。


これで受け身の体制さえ作っておけば、もし電話が来た時には出る必要は無く、メッセージだったら後から見れる。


もし呼び出し的なメッセージが来たとしても、『すまん!ちょっと忙しかったんだ』や『急用が入ってたんだ』などと後からメッセージで伝えればなんとか…………なる!たぶん!


つまり、メッセージだけを受け取るだけに専念して、電話は機内モードで防ぐ。既にメッセージが届いていた場合は、即撤退、機内モード再設定。


これしかない。正直、詩織と鈴子は勿論、メリルから来るかもしれない悲痛の叫びは聞きたくない。


だからすまん!電話だけは許して!


「解除を…」


覚悟を決めて、飛行機マークを……


『ピッ!』─『やん〜で〜れの〜、かな〜た〜へと〜』!!


「っっ!!?」


いきなり来た!

設定した着信メロディーが鳴り響き、心臓の鼓動が飛び出そうになる。


そしていだいたのは恐怖。


相手は誰だ。

詩織か、鈴子か、メリルか…


出来る事ならメリルが良い。彼女だけは、そこそこ会話が通じる相手だ。


俺はそう希望を念じながら、端末に表示された名前を確認する。



『斉木』



「…………」


『──脆弱ぜーいじゃくの、き〜みに〜、あーらわれた、やーみは〜──『ピッ!』』


『おう!広樹か!俺だ!』


「っ…お前でっ…お前で本当に良かったっ…」


これで切った後に機内モードに出来る!


『んっ!?お前ちょっと泣いてないか?』


やばい、ちょっと涙腺に来た。

覚悟して出てみれば、安全な相手からの連絡だ。

そりゃあ色々とほどけて涙腺くらい緩む。


「大丈夫だ」


『そうか?凄く心配なんだが…』


「いやいや本当に大丈夫だから!あ、お前に勧められた着信メロディーなんだけど、どうして俺にピッタリだと思ったんだ?」


斉木が心配してくれるのを悪いと思い、思いつきの話題を投げかける。

これで心配が晴れてほしい。


『あ、あ〜……』


ん?どうしたんだ?……


『……ちょっと昔に、お前によく似た友達がいてさ……それで、まぁ……』


……なんか長くなりそうな話が始まった?

声に真剣味があって、言っておきながら複雑な感情が芽生える。


「すまん、ちょっと話題を逸らしたかったんだ。言い辛い事ならいいぞ」


いや、実はちょっと気になる。

そこからどうして『ヤンデレ』に繋がるのか分からない。


『そうか……まぁ、重い話だからな。助かる』


やばい、メッチャ気になった。

詩織と鈴子の捻れた恋愛と同じくらい、斉木の昔の友達が凄く気になる。


その友達に一体何があったんだ?

そしてどうして俺と繋げた?


『それで電話しておいてなんだが、特に理由は無いんだ。すまん』


「ん?じゃあ、つまり?」


『単純にお前の声が聞きたかったんだ』


「……」


…………ホモなのか?


『おい!変な勘違いをしている様だが!俺はホモじゃないぞ!』


「ホモは皆んなそう言うんだよ!」


『言わねえよ!犯罪者みたいな例えは止めろ!』


「ホモめ!信じてたのに!遊園地の時から狙っていたんだな!ホモめ!」


『ホモめ言うな!そして遊園地は誤解だ!あの時はっ…その』


「…………?」


…………え?ちょっと待って。


いたずらの気持ちで会話していたが、どうしてそこで言葉が詰まる?


…………え?ないよね?

これは本気で考えないといけないパターンな訳ないよね?


「お前……しばらく着信拒否にしていいか?」


『本当に大丈夫だから!ああ!そうだ!一度通話を切るぞ!』


『ピッ!』と、勢い強い言葉と共に通話を切られ、すぐに『ピロリン!』と斉木からメッセージが送られて来る。


そして中身を開くと、『綺麗なショートヘアーの女性』の写真が添付されていた。


「……つまり、あれか?」


『やん〜で〜れの〜、かな〜た〜へと〜』!


「お前の彼女だと?それと名前は?」


『……さやか…だ。いや!ちょっと違うって言うか……狙っている相手だ』


「そんな曖昧な理由……俺にホモを悟らせない方便の可能性がある。この写真も画像サイトから取ってきた可能性も」


『お前めんどくさいな!取ってくる時間なかったよな!即座に送ったよな俺!』


「今の俺は同性愛者に敏感なんだよ!悪い意味でな!そして真剣な話、お前から電話が来た時は嬉しかったんだぞ!それなのに!」


本当にメンタルがどうにかなってしまいそうだ。


詩織と鈴子の同性愛。

信じていた斉木の同性愛疑惑。


なんだこれ!同性愛スパイラル!?

俺はいつからそんな気持ち悪い渦に飛び込んでいたんだ!!


「どうしてっ、俺の周囲には同性愛者が集まるんだっ」


『っ!?……お前の周囲に何かあったのか?』


独り言を聞かれてしまった。

まぁ、此処まで話したなら、


「今オーストラリアに旅行に行ってるんだけどさ……一緒に来た友達の二人がな……同性愛に目覚めたみたいなんだ……今カップルになりかけてる」


『…………は?おい、ちょっと待て。待て待て待て』


「信じられないよな。けど、マジなんだ」


『…………すまん。ちょっとリアルにバグってフリーズしてた』


リアルにバグってた?フリーズ?

変な例えを使うくらい動揺してるのか?


『これは……安心していいのか?』


「ホモ確定、じゃあな相棒」


『ちょっと待て!どうしてそうなった!』


「お前が安心する要素が何処にあった!?俺の周囲でカップルが誕生して喜ぶという事は、完全にライバルの消滅を喜んでいたって事じゃないか!」


完全推理だ。これで言い逃れは出来ない。

信じたくはなかったが、まさか斉木にそんな趣味があったとは、本当に残念だ……


『待って!本当に切るな!安心したのは…………何を言っても、友達辞めないよな?』


「ホモ宣言だったら辞める」


『はぁぁぁぁ〜……まぁ、あれだ……お前の近くにいる女の子が同性愛カップルになりかけて、気の毒になったお前に対して喜んだんだ』


「よし、切るぞ」


『ホモ宣言じゃなかったよな!?どうして切る!』


「友達としてアウトだろ」


『いやいや!仲のいい男友達がいたとして、先に彼女を作られたらどう思う?』


「…………はぁ〜」


『納得したな』


まぁ、うん。

最初から悪ふざけの気持ちだったし、そこまで本気にはなっていない。


ただ疑ったのは事実だけど…


「それで話を戻すが、どうして俺の声を聞きたくなったんだ?普通にホモと捉えられてもおかしくない発言だぞ」


『もう直球に言うぞ。今めんどくさい事で難儀しててな、この電話は俺の心休めだ。お前だったら適当な話題でも話せるだろ』


心休めか。

元の学校で何かあったのだろうか。


『俺の…妹みたいな女の子がな。少し厄介な事に足を突っ込んでるんだ』


学校ではなく、それ以上にヤバイ臭いがしてきたのは気の所為か?


「おい、ちょっと内容が怖いぞ。それ俺に話してもいい話なのか?」


『大丈夫だろ。別に関わってる訳じゃ…ないからな』


「親御さんやそのの担任に相談した方がいいんじゃないか?」


『いや、大人達に相談する様な暗い話じゃないぞ。変な勘違いをさせたならすまん。実はその女の子さ、狙ってる男がいるんだ』


狙ってる?…ああ、恋愛関係か。


『それでその男が訳ありでな。それをどうにかしようとその娘が無茶してるんだよ』


「無茶って。その男、もしかして駄目男みたいな?」


『……最近、俺もソイツが分からなくなってきた』


「おいおい」


それは駄目だろう。


「その男から切り離した方がいいんじゃないか?」


『それは出来ない。確かにソイツの事が最近分からなくなってきたが、根は良いヤツだってのは知っている』


斉木が深く信頼している男か。

その斉木が良いヤツだって言っているのなら、これ以上言える事は思い浮かばない。


応援するのみだ。


「そうか。だったら、その女の子が今以上の無茶をしない様に、影から見守るしかないんじゃないか?」


『だよな……はぁ〜』


「本当に疲れてるんだな」


『ああ。かなり疲れてるよ。だが、お前に話せて少しスッキリした。ありがとうな』


「これぐらいの話なら、いつでも大丈夫だ。俺も溜め込んでいた事を話せてスッキリしたからな」


『同性愛か…お前の周りには面白い事がいっぱい起きてそうだな』


「勘弁してくれ…考えてみれば、転校してから色々と起こってるよ。本当にヤバイ事がな」


『はは!そりゃあ本当に面白いな!また会った時に、その話を聞かせてくれよ』


人の気持ちも知らないで…まぁ、次会った時にたくさん話してやろう。

あの恐怖と苦労の数々を。


『じゃあな!良い土産話も出来た!お前が話した同性愛カップルの事、さっき言った女の子にも話していいか?』


「いいんじゃないか。別に断る理由は無い」


『そうか!ありがとうな!これでストレスが減りそうだ!』


ストレスが減る?それはどう言う意味だ?


「おい、ストレスが減るって─『じゃあな!また連絡する!』』


質問している最中に『ピッ!』と通話が切られた。


…………最後まで気になる事を残していったな。


「はぁ、まぁいいか」


いつでも連絡が取れるんだ。

だったら別に、今聞かなくても次の機会に聞けばいい。


…………ん?


(俺……同性愛者の、詩織と鈴子の性別を教えたか?)


一緒に旅行している相手が女子であると伝えていたか?それを覚えていない。


だが、斉木は『女の子同士のカップル』と理解していた。であれば……


(会話の何処かで話したんだな…)


それしかない。変な詮索をした自分がおかしかった。

そう結論づけて、改めて通話の切れた端末に視線を伸ばす。


…………うん、分かってた。


『未読メッセージ件数、99件』

『不在着信件数、99件』


件数が上限突破カンストしてて震えた。正直、誰の名前なのかも覗きたくない。


「見なかった事にしよう……」


そうしないと精神的に耐えられない。

こんなに連絡を取ろうとしているって事は、向こうで何かあった筈だ。


それが何かは、今は知りたくないし逃げたい。

きっとコンサートが終わった頃には、全てが解決している筈だ。


ああ、そうであってほしい。

俺はメリルを信じてる。


でも、小さな好奇心で『ピッ!』と押してみる…


不在着信欄…


『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『姫路詩織』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『メリル・キャンデロロ』

『内守谷鈴子』

『メリル・キャンデロロ』


…………。

メリル、ほんとごめん。


こんな気持ちになるなら、覗かなければ良かったと後悔した。


いや、信じていたんだ。そして今でも信じている。

メリルなら二人を導けるって!だから機内モードに再設定させて下さい!


「やばい、また涙腺が…」


何かに打ち込まないと、メリルの苦労が伝わって涙が落ちそうだ。


何か無いのか?コンサートの開演まで楽しめる何かが……ん?



『カジノ』

※18歳未満の方でも入場は可能ですが、ゲームに参加する事はお断りしております。

読んでくれてありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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