表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/221

第158話、ルーカス「スーツ姿も似合ってるぞ広樹!」

書きあがりましたので投稿します!

よろしくお願いします!

「こんな感じか…」


「いいじゃないかな!似合ってるぞ!」


白色のワイシャツ。

灰色のベスト。

黒色のスーツとズボン。


安くてシンプルだが、これから行く場所には高級なスーツは必要ない。

今日だけで事足りる数千円の特売スーツで十分である。


「決まりだな。ソレ着て行くんだろ?着て来た服はどうするんだ?」


「レンタルロッカーを借りる予定です」


「そうか。じゃあ、そこに荷物を預けたら、ようやくだな」


「はい」


ようやくだ、と胸を踊らせる。

当初の旅行目的は、鈴子との旅行に行く約束を守る事だったが、そこに嬉しい誤算が待っていた。


『○○○○○○○○管弦楽団!オーストラリアにて特別コンサート開催!』


旅行の途中で知った、まさかの知っている管弦楽団のコンサートが近くで開催する情報。


これを前にして、鈴子と詩織の禁断の恋に構っている余裕は無い!禁断の恋よりも、こっちの方に行きたい!


だからメリル!心の底からごめんなさい!夢の中にメリルが現れるくらい、俺は罪を感じているかもしれない!でも、どうか俺の代わりに二人の愛の解決をはかってくれ!


俺にあの二人は厳し過ぎる!本音を言えば、関わりたくない!逃げたい!そしてあの二人によって蓄積された恐怖や疲労を、このコンサートで癒したい!


だからメリル──


「ほんとすまん…」


「ん?なんだ?」


「いえ、何でもないです」


「そうか。…で、これでドレスコードは大丈夫なんだろ?」


「はい。大丈夫です」


そのコンサート会場は、裕福層セレブが利用している事で有名な巨大高級ホテルリゾートにある。

そこに入場するにはドレスコードがあり、向かう前に此処で買い揃える必要があった。


後は向かうだけなのだが……


「……」ジ〜


「ん?」


「此処までありがとうございましたここから安全運転で向かってくれるタクシーを拾うので大丈夫ですそれでは─グェッ!」


早歩きで立ち去ろうとしたが、ルーカスに後ろから襟元を引っ張られ止められる。


「待て待ていきなり消えようとするなっ、もう爆走しないからよ!最後まで乗ってけって!」


そう言われても説得力が微塵も感じられない。

もしまた吐いて、最悪買ったばかりのスーツが嘔吐色に染まったらどうするんだ。


「……」ジ〜


「大丈夫だって!だからそんな親のかたきを見る様な瞳で睨むなよ!」


親の仇ではなく、未来の俺の仇を睨んでいる。

ちょっとの失敗で、次は本当ガチの三途の川を見る事になりそうだ。


「あの急加速はもう使えない!一回使用する毎に補給が必要なんだ!だから大丈夫だって!それに今日の運賃は貰うつもりはねえ!これはバスケの時の謝罪なんだからな!」


…………そこまで言うなら、


「……じゃあ、よろしくお願いします」


「おう!任せな!」


渋々了承……。

本当に渋々だ。


運賃無料には勝てなかった…



────。

────。



ちゃんとした安全運転で、難なく到着する事が出来た。

出来たのだが…


「申し訳ありません。本日は入場規制を上げており、その、お客様では…」


「……え?」


「本日はお引き取り頂くしか……本当に申し訳ありません」


「…………ぇ、ぇ〜」


ガッカリが声に出る。

ヤバイ。詰んだ。受付ゲートで止められた。


だが、ここまで来て、どうしてこうなった…


「実は当ホテルは今、厳重な警戒態勢に入っております」


「警戒態勢?」


「はい。ある危険な組織がこの国に潜伏していると情報があり、このホテルを利用するのは裕福層や重鎮じゅうちんが多いので、その方々が狙われる可能性を考慮した結果、入場規制を設けさせてもらう事になりました」


ある危険な組織?そう言えば、校長も出国前にこう言っていたな…


『非殺傷用だけど、常備していて欲しいんだ。海外は物騒だからね』


そう言われて、旅行に非殺傷用の武器を持ち込んだ訳だが。


その言葉通りなのか、今オーストラリアで物騒な情報があり、目の前のホテルが厳重な警備門を敷いている。


…………でも、やっぱり諦め切れない。


生で知っている管弦楽団のオーケストラを聞けるのだ。この機会を逃せば、次に聞けるのが何年後か分からない。


「…どうしても、無理でしょうか?」


「ええ、誠に申し訳ありませんが」


駄目なのか……せっかく此処まで来たのに──



『念の為にね。この学生証は様々な施設と団体で融通が利くから、もしもの時は使いなさい』



(ッ!?)


校長の言葉が頭に出てきた。


オーストラリアの情報と共に、その場で校長から貰った物がある。


(あの黒い学生証!)


何処かのブラックカードみたいに、VIP扱いで通してくれるかもしれない。

そう思い、学生証を差し出した。


「あの、これで入れたりしますか?」


「…?、少し拝見します…」


スタッフがそこに記載された情報を読むと、「っ!?少々お待ち下さい!上司に確認を取ってきます!」と言い残し、別の受付スタッフの所へと向かった。


(まさか、何かマズかった?)


不安が脳裏にぎる。

もしかしたら、俺はあの学生証を使ってはいけない用途で提示したのかもしれない。

考えてみれば、あれは校長がもしもの為にと用意してくれた物だ。

この個人的な娯楽が、もしもの為であってはいけない。


改めて、自分がしてしまった間違いに気づき、すぐに学生証を返してもらおうと決めた。


(早く帰ろう!)


そしてちょうど、上司らしきスタッフを連れながら、学生証受け取ったスタッフが戻って来た。


「すみません!やっぱり─」

「誠に申し訳ありませんでした!どうぞ!お通り下さい!」


上司が頭を深々と下げてきた。


え?どういう事?


「宜しければ、案内人をお呼び致しましょうか!」


「い、いえ…大丈夫です」


「そうですか!それでは御ゆるりと当ホテルを御満喫して下さい!」


上司の声音に圧倒されて、考えるよりも先に敷地内に入場させられた。


「……えっと……つまり?」


これはつまり、問題無かったって言う事か?


「…ん」


後ろを振り返ると、スタッフ達が頭を下げていた。

そこから考えられるは、恐らく今持っている学生証が原因だろう。


(…………これは、もしかしなくても、ヤバイ?)


嫌な予感が凄くする。だが、今さら遅い。

敷地内ここまで来てしまったら、もう後戻りは出来ない。


スタッフは自分が戦闘学の生徒だと知ってしまった。


(……なら)


戦闘学にバレれば怒られる。ならば、コンサートを鑑賞してからでも一緒じゃないか。

そう考えてしまったら、勝手に足が動いてしまう。

もう自棄やけだと、怒られるのを覚悟して、鑑賞してから帰ろうと決めた。


(…………ん?ちょっと待て…)


ふと思った。

もし怒られれば、その責任を何らかの形で取らさせる。それが普通だ。


なら、この学生証を娯楽の為に使用した事がバレたら、一体どうなる?



「…………退学?出来る?」

読んでくれてありがとうございます!


黒い生徒証と、クラシック好きの設定をつかいました!


これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ