第154話、鈴子「フフフッ」詩織「アハハハッ」メリル「怖いデス。何か嫌な予感がしマス……もしかして、広樹が?」
投稿が遅れてすみません!
書きあがりましたので投稿します!
よろしくお願いします!
8日間連続で投稿しているので、確認お願いします!
「明日は」
「うん、一緒に見て回ろう、凄く楽しみ」
「ええ、楽しみね」
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ああ、何度吐きそうになった事か。
私は苦汁を舐める気持ちで、あの気持ち悪い内守谷鈴子を演じていた。
それは何の為に?決まってる。明日の幸せの為だ。
あの姫路詩織は、どういう手段を用いたか知らないが、広樹を追いかけてオーストラリアまで来たのだと分かっていた。
その移動距離、約6,800km。それも私達がオーストラリアに到着した翌日である。
旅行に出発する前日まで、詩織は研究施設で意識不明のまま眠っていたのだと、私は序列者の権限を使って情報を得ていた。
つまり、目覚めてすぐに追いかけて来たのだと、あの会場に現れた詩織が証明してくれたのだ。
異常だ。あり得ない。だが彼女はやって見せた。
これ程までに頭のおかしな人間は、次に何をするのか予想がつかない。
きっとどんな策を練ろうとも、その上を突いてくるだろう。
だから私も本気を出した。
本心を捻じ曲げ、我慢の境地に私は立っていた。
『詩織との仲直り』
バスケの時に広樹達が言っていた、『仲間は仲良くするもの』と言うメッセージ。それを利用して、今の状況を作り出した。
・あの助言があったからこそ、私は詩織と仲良くなる機会を得られた。
・あの助言があったからこそ、詩織も私と仲良くせざるを得なかった。
そして仲直り以上の関係を築こうとする意思を、私はあの吐きそうになる行動で示し続けた。
だがそれは全て、私の目的への足がかりである。
詩織には、『鈴子は広樹達の注意で、私と仲良くする演技をしなければいけなくなった…』そう思わせるのが私の作戦。
そうだ。私は広樹達の言葉によって、詩織と仲良くする演技に没頭した。
だが違う。それは全て明日の為。
明日は詩織抜きで、私と広樹の二人っきりで旅行を満喫するのだ。
その為には手段を選ばない。詩織には『口約束』で明日も一緒に行動しようと伝えてある。
そう『口約束』で。
それは証拠も生まれない、簡単に捻じ曲げる事の出来る『魔法の約束』。
ちょっとの文字違いや勘違いがあるのは当たり前。
詩織はこう考える筈、『明日もきっと演技で仲良くしてくる』と。
だが、詩織との明日は無い。
あるのは、広樹との明日だ。
そして準備は整った。次に私がしなければいけないのは、
『広樹へ
今日はとても楽しかった。友達と一緒に旅行に行くのが、こんなにも楽しかったなんて──
(広樹だけだったら、もっと楽しかったのに……もう邪魔させない)
──明日の予定だけど、その前に相談に乗って欲しい事がある、出来れば会って話したい──
(私が詩織を誘わない事を、不可解に思わせない内容で広樹を誘い出す……)
──仲良くなったばかりの詩織には、聞かれたくない事だから。今の詩織には絶対に聞かせたくない、詩織に内緒の、とても大切な話──
(これで十分、後は……)
──広樹の好きな時間と場所でいい、でも、出来れば詩織の居ない外がいい。勝手なお願いをしてごめんなさい、でも、私は真剣だから──
(うん、これだ)
──お休みなさい、鈴子より──』
(フフフっ──計画通り)
『※ヒロインが見せてはいけない顔』
────。
────。
ああ、何度吐きそうになった事か。
私は舌を噛み切る気持ちで、あの気色悪い姫路詩織を演じていた。
でも、これで……
(アハハハッ──計画通り)
『※ヒロインが見せてはいけない顔』
────。
────。
((計画通り))
『『※ヒロインが見せてはいけない顔』』
ビクッッッッ!?!?
一瞬、ナニカに心臓を握り締められた感覚に見舞われた。
背筋に走った悪寒。
身体から流れる異様な汗。
自然と荒くなってしまう謎の過呼吸。
この謎の感覚の正体が分からない──と、普段の俺なら言っていたが、今はこの感覚の正体が分かっていた。
By鈴子『今の詩織には絶対に聞かせたくない、詩織に内緒の、とても大切な話』
By詩織『まだ鈴子には言えない。誰にも相談出来ない、とても大切な話』
これはいくら俺でも察しがつく……
By鈴子『でも、私は真剣だから』
By詩織『でも、私は真剣なのよ』
はい、この文面から読み取れる内容は──アウトォオオ!!
もう同性愛確定!だって二人がお互いを想っている風な文だもん!
真剣に恋してます!真剣に世間と戦おうとしてます!同性愛の旗を掲げる二人の姿が思い浮かび上がります!
でもそれに俺を巻き込まないで欲しい!
俺も同性愛を認めろ運動的なアレに参加しろと!?
出来ない!俺にはソッチ属性の理解は無理だ!
これはマズイ!もし下手を打てば俺も呑み込まれる!俺も同性愛運動に参加させられる!
あの二人に脅されれば、弱い俺は逃げられない!
どうする!どうするの俺!
・協力する。
・逃げる
・刺激しない様に保留を伝える。
どの選択肢で行く?
って言っても全部詰んでる!!
どの選択肢も結果的にバッドエンド確定だ!
このままでは、このままでは!
Byメリル『それで、明日また皆んなで遊びたいと考えています。』
……………………俺は女の気持ちを知らない男だ。
でも同じ女なら?
女なら協力し合えるんじゃないか?
そして男の俺は必要ないのでは?
…………あぁメリル、お前と連絡先を交換しておいて良かったよ。
俺は翻訳機の電源を入れて、ある相手に連絡を取った。
「あ、もしもし、荻野広樹と言いますが、ルーカスで……はい!今日はありがとうございます!……あ、それで突然お願いがあるんですが……」
パンフレットに記載された住所を確認しながら、
「明日、タクシーをお願いします」
読んでくれてありがとうございます!
今回は、詩織と鈴子が仲良くなった理由と、ルーカスがタクシーをやっている設定、その二つの伏線を回収しました!
どうか次話も楽しみにしていてください!